【Page2】パフォーマンスアップを支えるディテイルのアップデート

掲載日:2010年04月09日 特集記事カワサキ・ハチマル・空冷Z    

記事提供/2009年8月1日発行 絶版バイクス4

81年に登場したJ系エンジンは、開発当初から1000cc仕様と1100cc仕様の2タイプがプロダクションされ、83年に登場したGPz1100Fにてもっともハイパフォーマンス仕様となった。最終モデルにあたるGPz1100Fは、Z1000J/Rはもちろん、Z1100GPやZ1100Rとも異なる燃焼室形状を持ち「ビッグバルブ化」を実現していた。

 

パフォーマンスアップを支えるディテイルのアップデート
フラッグシップもナナハンも「熱き時代」を闘い続けた!!

カワサキはZ1の大成功によって「ビッグバイク=カワサキ」の地位を確固たるものとした。ヨーロッパを中心にした世界耐久選手権では、快進撃を続けたカワサキフランスチームを筆頭に、数多くの有名コンストラクターやプライベートチームが市販Z1ユニットを搭載したレーシングマシンで大健闘。日本のヨシムラやモリワキが、Z1用レーシングパーツを数多く開発し、世界中のレーシングコンストラクターをサポートしていたのは周知の事実である。もうひとつの大陸アメリカでは、USカワサキチームを率いるロブ・マジーが、AMAスーパーバイクシリーズにワークス参戦。80年にはE・ローソンをライダーにKZ1000MK-Ⅱ改を走らせたが、ホンダCB750F改のF・スペンサーに苦戦を強いられた。USカワサキチームは、同シーズン終盤にはニューエンジンで実戦テストを開始。このニューエンジン=J系エンジンを搭載したニューモデルが翌81年モデルとして登場し、同年USカワサキチームは初代丸タンク仕様のKZ1000Jでスーパーバイクシリーズを闘い、ニューエンジンのデビュー年に見事タイトルを奪取した。

 

当時は世界的バイクブームの到来を予感させた時期であり、各バイクメーカー、とりわけ世界市場をほぼ独占していた日本の4メーカーは、新技術を次々投入したニューモデルを年毎に発表。カワサキに関しても、J系エンジンを搭載したニューモデルは、発表段階ですでに1000cc仕様と1100cc仕様の2本立てだった。詳細仕様の異なる派生モデルを数多くラインナップし、バイクブームの到来=ユーザーニーズに対応したカワサキの回答だった。

 

一方、日本国内市場では、依然フラッグシップだった「ナナハンクラス」においてもカワサキは健闘した。ザッパー系650ccエンジンは、81年モデルで750ccのZ750FX-Ⅱ/Ⅲに発展。当時は、あのホンダCB750Fシリーズが爆発的な販売を記録していたため、同モデルの影は極めて薄かったが、82年にはZ750GPへと進化し、さらに83年には、世界市場向けフラッグシップモデルであるGPz1100Fと同デザインを持つGPz750Fへと発展。ホンダの国内フラッグシップが水冷V4エンジン車にシフトしていこうとする時代の中で、カワサキは空冷インライン4モデルを重要視していた。

 

ザッパーことZ650Bに搭載され、進化し続けてきたカワサキの第2世代空冷4気筒エンジン。このユニットが、如何に先を見据えて開発されていたかは、21世紀に入っても好調なセールスを続けた、ゼファー750の実績からも明らかであり、もはや「名機」と呼ぶに相応しいのがザッパー系エンジンである。

 

新技術の投入によって、時には、技術者のエゴや自己満足によって次から次へとニューモデルが登場し、気が付けば、姿を消してきた時代の中で、カワサキが誇る空冷4気筒シリーズは、ユーザーのハートを常に掴み、着実に進化し続けてきた。基本設計を変えることなく生産され続けてきたので、「幅広い世代のライダーに受け入れられている」のは、紛れも無い事実である。こんなカワサキイズムが、今後の世代にも受け継がれていくことを期待するバイクファンは、カワサキ開発陣が考える以上に数多くいるのではないか!?

 

Z1と基本設計思想は同一ながら、もはや不要と考えられたキックスターターユニットが廃止され、クラッチ容量の確保およびメンテナンス性がより向上したJ系エンジン。81年に登場した初代Z1000JでAMAスーパーバイクシリーズのタイトルを奪取したカワサキは、翌82年にライダー名を冠ったエディー・ローソン・レプリカを発売した。

Z1の市販化によって証明されたオーバークォリティ要素を見直し、高い生産性とコストダウンに成功したザッパー系ユニッ卜。1000ccクラスは80年代半ば以降、その主力が水冷エンジンとなったが、ナナハンクラスは空冷ザッパー系が依然生産され続け、ゼファー750へと継承された。83年登場のGPz750Fターボはオーバー100馬力を誇った。

 

こちらの記事もおすすめです

この記事に関連するキーワード

車種情報
車種情報
新着記事

タグで検索