2013 AMA スーパークロス ラウンド8 アトランタ GA レースレポート

2013 AMA スーパークロス ラウンド8 アトランタ GA レースレポート

掲載日:2013年02月27日 エクストリームモトクロス    

文・まとめ/宮本 将平

450cc クラス メインレース

J・スチュワートが完璧なレースで今シーズン初勝利!

先週のアーリントンから舞台をイースト地区へ移した2013 AMAスーパークロスシリーズ。アーリントンではライアン・ビロポート(カワサキ)が貫禄のレースで今シーズン3勝目を挙げたが、シリーズポイントで彼の前を走るデイビー・ミルサップス(スズキ)、ライアン・ダンジー(KTM)もしっかりとポディウムフィニッシュで終わったため、ビロポートは大きくポイント差を詰めるまでには至らなかった。今回のラウンド7 アトランのヒートレース1では、先週、ビロポートに競り勝ちながらも、マシントラブルによりメインレースをまさかのDNS(Did Not Start 棄権)となったジェイムズ・スチュワート(スズキ)が2位のジャスティン・バーシア(ホンダ)に10秒もの大差をつけ勝利し、メインレースへと進んだ。もうひとつのヒート2では、ポイントリーダーのミルサップスがこちらもきっちりと勝利し、メインレースに駒を進めた。今回、唯一トップライダーでLCQ(ラストチャンスクォリファイ)へと回ってしまったトレイ・カナード(ホンダ)も、そちらでは勝利しメインレースに進出した。

 

メインレース(20周)、ホールショットはアーリントンでDNSに終わったスチュワート。しかしそのすぐ後方には、ビロポートがピタリと着ける。さらにその後ろにはケガから復帰のジェイク・ワイマー(カワサキ)、そしてジャスティン・ブレイトン(ヤマハ)、マイク・アレッシ(スズキ)、ミルサップスと続く。2ラップ目、早くもミルサップスは前の2人をパスし3位へ。その後方ではブレイトンとバーシアがサンドセクション手前のバンクで接触し、ブレイトンは転倒、順位を最後尾まで落とす事になる。一方、その後方ではこのレースが450ccクラスのデビューレースとなるイーライ・トマック(ホンダ)が、10位以降から追い上げて徐々に順位をアップ。9ラップ目にはアレッシを、10ラップ目にはワイマーをパスし、7位までポジションをアップしていた。一方のトップ争いは、スチュワートがビロポートを大きくリードする事はできないものの、ほぼノーミスの完璧なレース運びで2秒程度の差を保ち続けていた。そんな彼らの5秒ほど後方ではミルサップス、バーシアの2人が同じようなハイペースでそれぞれ単独走行する。

 

結局、今回のレースはその後、大きな順位の変動は無く、スチュワートが常勝だった時代を彷彿とさせるような強さで勝利。決して2位のビロポートと差は大きくないものの、昨年のようなミスやクラッシュも無く、素晴らしいレース展開だった。ここ数ラウンドで彼はどんどん調子を上げていたため、ある意味必然的な勝利だったのかもしれない。そしてビロポート、ミルサップス、ダンジーのポイントランキングトップ3も、きっちりと上位に入る結果となった。シーズン前から予想されていた通りではあるが、とにかく今シーズンは近年に無いほどのビッグタレントが接戦を繰り広げている素晴らしいシーズンが続いている。さらには、今回から450クラスにエントリーし7位をゲットしているトマックも、今後は間違い無く上位に食い込んでくるだろう。依然、ミルサップスがポイントトップを走り続け、中盤戦に突入した450クラスだが、まだまだ絶対的なポイントリードを築いているわけでは無いだけに、今後のポイント争いはさらにヒートアップして行きそうだ!

 

450cc クラス レース結果
順位 ゼッケン ライダー名 チーム名 メーカー ベストタイム
1 7 J・スチュワート Yoshimura Suzuki Factory Racing   Suzuki 52.502
2 1 R・ビロポート Monster Energy Kawasaki   Kawasaki 52.876
3 18 D・ミルサップス Rockstar Energy Drink/Motosport.com/ONE Indu   Suzuki? 52.795
4 51 J・バーシア Team Honda Muscle Milk   Honda 52.537
5 41 T・カナード Team Honda Muscle Milk   Honda 52.820
6 5 R・ダンジー Red Bull/KTM/Motorex/Dunlop/Foremost/WP/Ak   KTM 53.038
7 17 E・トマック GEICO Honda/AMSOIL/Muscle Milk/Planet Fitne   Honda 54.002
8 12 J・ワイマー Monster Energy Kawasaki   Kawasaki 54.235
9 22 C・リード TWOTWO Mortorsports   Honda 54.342
10 800 M・アレッシ Motoconcepts Racing   Suzuki 54.688
11 62 M・ゴーキー BTOSports.com/KTM   KTM 54.481
12 20 B・ティックル RCH/Dodge/Suzuki   Suzuki? 54.706
13 10 J・ブレイトン JGRMX Toyota Yamaha   Yamaha 54.486
14 29 A・ショート BTOSports.com/KTM   KTM 54.196
15 69 P・ラーセン Rocket Exhaust   Honda 55.542
16 75 J・ヒル RCH/Dodge/Suzuki   Suzuki 55.538
17 84 C・ブルース N-Fab TiLUBE Yamaha   Yamaha 55.741
18 54 L・スミス BTOSports.com/KTM   KTM 55.571
19 55 J・アルバートソン Fly Racing/HRT/MotoThump/Merge Racing/Beer   Honda 55.305
20 39 R・キナイリー Velocity3 Racing/Yamaha   Yamaha 55.171
450cc クラス ポイントランキング
順位 ゼッケン ライダー名 メーカー ポイント
1 18 D・ミルサップス   Suzuki 174
2 1 R・ビロポート   Kawasaki 152
3 5 R・ダンジー   KTM 148
4 41 T・カナード   Honda 135
5 22 C・リード   Honda 127
6 51 J・バーシア   Honda 116
7 29 A・ショート   Honda 102
8 7 J・スチュワート   Suzuki 100
9 10 J・ブレイトン   Yamaha 91
10 62 M・ゴーキー   KTM 79
11 20 B・ティックル   Suzuki 77
12 12 J・ワイマー   Kawasaki? 61
13 800 M・アレッシ   Suzuki 60
14 33 J・グラント   Yamaha 40
15 46 W・ペイック   Suzuki 39
16 11 K・チゾム   Yamaha 37
17 47 M・ラモイン   Kawasaki 34
18 55 J・アルバートソン   Honda 31
19 42 V・フリッシー   Honda? 30
20 39 R・キナイリー   Yamaha 24

 

 

 

250cc クラス イースト メインレース

W・ハーンがスタートから飛び出し、そのまま初優勝を飾る!

先週のラウンド1、アーリントンでの250ccクラス イーストは、カチカチのハードトラックの中、今シーズンからイーストシリーズにスイッチ・エントリーしているディーン・ウィルソン(カワサキ)が勝利し、ルーキーたちも素晴らしいライディングを見せてくれたベストスタートとなった。そして今週は、アトランタでのラウンド2。ウィルソン、ウィル・ハーン(ホンダ)の2人がそれぞれヒートレースで勝利し、メインレースを迎える事となった。注目のルーキー、ジャスティン・ヒル(カワサキ)、ザック・ベル(ホンダ)という2人も、アグレッシブなライディングでメインレースへの出場を決めた。

 

注目のメインレース(15周)、ホールショットはこの日絶好調のハーン。1ラップ目から攻めのライディングで、後ろを走るウィルソン、ブレイク・ウォートン(スズキ)、マービン・ムスキャン(KTM)、ヒルからリードを築いていく。3ラップ目、先週はスタート直後のクラッシュでポディウムを逃したムスキャンが早くもウォートンをパスし、トップ2人の追撃を開始する。7ラップ目、ルーキー同士のバトルが激化する。6位のジェレミー・マーティン(ヤマハ)が5位のヒルを捕らえ、さらには後ろから迫るギャビン・フェイス(ホンダ)もヒルをパス。一方、彼らの後ろ、9位争いはビンス・フリージー(ホンダ)とベルの2人が序盤からずっと接近戦を繰り広げていた。12ラップ目、なかなかペースの上がらないウォートンにマーティンが迫るが、なかなかパスするまでには至らない。一方、トップのハーンはレース後半までノーミスで走り続けているが、2秒差でウィルソン、そのさらに5秒後ろにはムスキャンも彼を追い続けていて、ラップ遅れも多数現れ始める。それでもこの日のハーンは強く、ラップ遅れにペースを乱される事なく最後まで安定したライディングを続け、ウィルソンとの緊迫したトップ争いを制し、初優勝を飾った。そして2位には先週のウィナー、ウィルソン、3位にはムスキャンがそれぞれ入賞した。

 

250クラス イーストはまだ序盤戦だが、ここまではウィルソン、ハーン、ウォートン、ムスキャンといった、昨年も上位常連だったライダーたちが優位に見える。だが、ヒル、ベル、マーティンといったルーキーたちもトップ争いにまでは絡まないものの、着実に上位に顔を出している。彼らがルーキーシーズンから超有力チームに所属しているという事は、今後ラウンドが進むごとに頭角を表す事も十分に考えられ、もしかしたら最終的にはこのクラスのトップライダー VS 若手という構図になるかもしれない。まだまだ続くシーズンでタイトルを獲得するのは、一体誰だろう。

 

250cc クラス イースト レース結果
順位 ゼッケン ライダー名 チーム名 メーカー ベストタイム
1 19 W・ハーン GEICO Honda   Honda 54.018
2 15 D・ウィルソン Monster Energy/Pro Circuit/Kawasaki   Kawasaki 53.920
3 25 M・ムスキャン Red Bull KTM   KTM 54.200
4 13 B・ウォートン Rockstar Suzuki   Suzuki? 54.392
5 77 J・マーティン Starracing/Yamaha   Yamaha 54.577
6 317 J・ヒル Monster Energy/Pro Circuit/Kawasaki   Kawasaki 54.826
7 67 G・フェイス Motoconcepts Racing   Honda 55.785
8 50 K・ピーターズ AG Motorsports   Honda 55.551
9 42 V・フリージー Slaton Racing/Tuf Racing/ONeal/Shoei/Dunlop/A   Honda 56.308
10 167 Z・ベル Motoconcepts Racing   Honda 56.197
11 248 M・オールデンバーグ Core MX Performance/Karl Klement Ford/One In   Honda 56.385
12 87 L・ビンセント Munn Racing   KTM 56.429
13 48 C・トンプソン -   Honda 56.039
14 613 J・デコティス High octane Harley Davidson/Dedicated athletics   Honda 56.502
15 552 S・クラーク Shea Racing/SMS Racing/Passportworld.com/N   KTM 57.112
16 45 G・スワンプール Motosport.com/Motul/WeAllRide/MX707 Designs   Kawasaki 56.466
17 385 A・ガレイ DG Flooring/Glory Hog/Fly/Shades of Gray/DZ G   Kawasaki 58.611
18 73 AJ・カタンザーロ Pilgrim Powersports/Pickett Weaponry/TLR Perf   Kawasaki 57.432
19 890 C・マケーブ Storm Lake Honda/Race Tech/Moose Racing/Bl   Honda 58.603
20 194 J・リチャードソン XPR Racing/Mongrel Custom Moto/Lusty Industr   Honda 58.335
250cc クラス イースト ポイントランキング
順位 ゼッケン ライダー名 メーカー ポイント
1 15 D・ウィルソン   Kawasaki 47
2 19 W・ハーン   Honda 45
3 13 B・ウォートン   Suzuki 40
4 25 M・ムスキャン   KTM? 35
5 50 K・ピーターズ   Honda? 31
6 317 J・ヒル   Kawasaki 31
7 67 G・フェイス   Suzuki 28
8 42 V・フリージー   Honda? 24
9 613 J・デコティス   Honda 20
10 87 L・ビンセント   KTM 20
11 248 M・オールデンバーグ   Honda? 19
12 77 J・マーティン   Yamaha 16
13 167 Z・ベル   Honda 14
14 45 G・スワンプール   Kawasaki 13
15 48 C・トンプソン   Honda 12
16 194 J・リチャードソン   Honda 11
17 385 A・ガレイ   Kawasaki 10
18 412 L・キルバーガー   Honda 7
19 552 S・クラーク   KTM 6
20 244 R・ジマー   Honda 5

 

宮本 将平
プロフィール
宮本 将平

WEB・GRAPHIC DESIGNER/PHOTOGRAPHER 元プロMXライダー。トランスワールドMX編集部を経て、同社でデザイナーとして勤務。退社後に独立、いわきで バンザイマガジン (FMXフリーマガジン)を立ち上げ、編集長を勤めている。

こちらの記事もおすすめです

この記事に関連するキーワード

新着記事

タグで検索