2013 AMA スーパークロス ラウンド5 アナハイム3 CA レースレポート

2013 AMA スーパークロス ラウンド5 アナハイム3 CA レースレポート

掲載日:2013年02月06日 エクストリームモトクロス    

文・まとめ/宮本 将平

450cc クラス メインレース

R・ダンジーがLCQから今シーズン初勝利を飾る!

今週はオークランドから再びアナハイムへ開催地を戻し、ラウンド5が開催された。先週のオークランドで圧倒的な強さとスピードで2連勝したライアン・ビロポート(カワサキ)が3連勝するのか? それとも他のトップライダーが彼の3連勝をストップさせる事ができるのか、という点に注目が集まったが、この日もビロポートはヒートレース(予選)から強さを見せ、ラップタイムでも他をリードしていた。もちろん、他のトップライダーたちも順当にプラクティス、ヒートレースを走り切り、メインレースへと駒を進めた。そんな彼らとは逆にライアン・ダンジー(KTM)のメインレースまでの道のりは過酷だった。ヒートレースではサスペンションのトラブルでDNF(Did Not Finish リタイア)。さらには、LCQ(ラストチャンスクォリファイ)でもスタート直後のクラッシュに巻き込まれ絶体絶命のピンチを迎えるが、なんとか追い上げ、ボーダーラインの2位でメインレースへ進むという波乱が起きた。

 

メインレース(20周)、ホールショットはマイク・アレッシ(スズキ)。それにジャスティン・ブレイトン(ヤマハ)、チャド・リード(ホンダ)と続くが、3コーナーのバンクでインサイドに入りこんだブレイトンにリードが突っ込み、共にクラッシュ。さらには、そのすぐ外側を走っていたビロポートまでそれに巻き込まれるという波乱のスタートとなった。2ラップ目、ペースの上がらないアレッシをLCQからメインレースに進んできたダンジーが早くもパスし、トップを奪う。さらに、リズムセクションで後から並びかけて来たデイビー・ミルサップス(スズキ)とアレッシが接触し、アレッシは転倒、ミルサップスはその間に2位へポジションを上げた。そしてその後からは今シーズン、ケガや不運でなかなかトップ争いへ加われなかったジェイムズ・スチュワート(スズキ)が3位へポジションを上げ、その後にはラウンド2で優勝して以来、2ラウンド連続でDNFのジャスティン・バーシア(ホンダ)が続いた。

 

7ラップ目、2位以下との差を3秒近くまで広げたダンジーの後でレースが動き出した。ミルサップスにプレッシャーをかけ続けていたスチュワートが、ついにミルサップスをフープス直後のバンクでクリーンパス。しかし、ポイントリーダーのミルサップスは簡単には諦めなかった。パスされた後もスチュワートに食らいつき、14周目のリズムセクションで再び2位を奪うが、その時点でトップのダンジーは2位に6秒近いリードがあり、その差を埋める事は困難な状況にあった。17周目、ペースが落ちてきた3位のスチュワートに徐々に近付いて来たバーシアが、リズムセクションでミスしたスチュワートをあっさりパス。結局そのままの順位でゴールを迎えた。

 

今回のラウンド5 アナハイム3では、ここまで我慢のレースを続けてきたダンジーが初優勝を飾り、ランキングも2位まで上げた。しかし、ポイントリーダーのミルサップスも2位フィニッシュで、結果的には2位とのポイント差をさらに広げるかたちになった。一方、2連勝中だったビロポートは、8位フィニッシュで再びポイント差を広げられてしまう結果に。そして、ラウンド4まではトップ5にも絡む事のできなかったスチュワートが今回初めて4位入賞を果たし、健在をアピールしてくれた。次週は同じくカルフォルニア州の最南端、サンディエゴ。シーズンも中盤戦を迎えようとしているが、開幕前に予想していた通り大混戦が続いている。まだまだタイトルの行方はまったく予想できない、ファンにとっては見応えのある素晴らしいシーズンは続くだろう。

 

450cc クラス レース結果
順位 ゼッケン ライダー名 チーム名 メーカー ベストタイム
1 5 R・ダンジー Red Bull KTM   KTM 53.236
2 18 D・ミルサップス Rockstar Suzuki   Suzuki 53.424
3 51 J・バーシア Team Honda Muscle Milk   Honda 53.540
4 7 J・スチュワート Yoshimura Suzuki   Suzuki 53.498
5 22 C・リード TWOTWO Mortorsports   Honda 53.407
6 29 A・ショート -   Honda 54.132
7 41 T・カナード Team Honda Muscle Milk   Honda 54.067
8 1 R・ビロポート Monster Energy Kawasaki   Kawasaki  53.699
9 20 B・ティックル RCH Suzuki   Suzuki 54.100
10 10 J・ブレイトン RJGRMX Toyota Yamaha   Yamaha 54.755
11 47 M・ラモイン JAB Motorsports/SCOTT/Silkolene/FMF/JM Racing   Kawasaki 55.169
12 55 J・アルバートソン -   Honda 54.945
13 62 M・ゴーキー BTOSports.com/KTM   KTM 54.740
14 11 K・チゾム Velocity3 Racing   Yamaha 54.594
15 42 V・フリッシー Slaton Racing/Tuf Racing/ONeal/Dunlop/Shoei   Honda 55.534
16 69 PJ・ラーセン -   Honda 55.649
17 800 M・アレッシ Motoconcepts Racing/Smartop/JT Racing/FMF   Suzuki? 55.713
18 33 J・グラント JAB JGRMX Toyota Yamaha   Yamaha 54.375
19 84 C・ブルース N-Fab TiLUBE Yamaha   Yamaha 56.019
DNF 12 J・ワイマー Monster Energy Kawasaki   Kawasaki
450cc クラス ポイントランキング
順位 ゼッケン ライダー名 メーカー ポイント
1 18 D・ミルサップス   Suzuki 107
2 5 R・ダンジー   KTM 93
3 41 T・カナード   Honda 92
4 1 R・ビロポート   Kawasaki 90
5 22 C・リード   Honda 81
6 29 A・ショート   Honda 71
7 51 J・バーシア   Honda 61
8 7 J・スチュワート   Suzuki 56
9 10 J・ブレイトン   Yamaha 53
10 12 J・ワイマー   Kawasaki 48
11 62 M・ゴーキー   KTM 47
12 20 B・ティックル   Suzuki 47
13 33 J・グラント   Yamaha 40
14 11 K・チゾム   Yamaha 37
15 42 V・フリッシー   Honda 30
16 800 M・アレッシ   Suzuki 29
17 47 M・ラモイン   Kawasaki 26
18 46 W・ペイック   Suzuki 22
19 14 K・ウィンダム   Honda 21
20 55 J・アルバートソン   Honda 21

 

 

 

250cc クラス ウエスト メインレース

K・ロクスンが2連勝で一気にタイトルを引き寄せる!

ラウンド5 アナハイム3。先週のオークランドで3連勝中だったイーライ・トマック(ホンダ)から今シーズンの初優勝を奪ったケン・ロクスン(KTM)が2連勝を飾るのか、それともトマックが再びトップへ返り咲くのかでシーズンの流れが左右される大事なラウンドとなった。大方の予想通り彼らは順当にメインレースに進んだが、ランキングで上位を走る、クリスチャン・クレイグ(ホンダ)、ザック・オズボーン(ホンダ)、タイラ・ラトレイ(カワサキ)、マルコム・スチュワート(KTM)の4名がヒートレースでクラッシュし、LCQへ進むという波乱が起きた。もちろんLCQでは上位2名のみがメインレースへ進めるため、スチュワートとラトレイはメインレースにさえ進むことができなかった。

 

メインレース(15周)、ホールショットは好調のルーキー、ジョーイ・サバージー(KTM)。しかし、すぐ後に着けていたロクスンが1ラップ目にすぐにパス、リードを広げる。2ラップ目にはプロサーキットへ移籍し好調のマーティン・ダバロス(カワサキ)もサバージーをパスし、トップのロクスンを追撃開始する。一方のトマックはスタートでミスし、10位前後からのレースという厳しい展開となった。もちろんこのクラスでは圧倒的な強さを見せるトマックは、同じようにスタートに出遅れてしまったコール・シーリー(ホンダ)と共に順位を徐々に上げるが、この日の彼はスリッピーなトラックに苦戦し、細かなミスを連発。追い上げ途中、シーリーにパスされたりと、イマイチ乗り切れてないように見えた。8ラップ目、なんとか集団から抜け出し4位まで順位を上げたトマックは、3位を走っていたサバージーをクリーンパスしトップ2へ照準を合わせるが、この時点でトップのロクスンとの差は9秒。2位を走るダバロスとでさえ7秒以上の差があり、残りの周回数を考えるとトップを奪うまでは難しいようにも見えた。また、タイトル争いを展開中のシーリーは転倒で13位まで順位を落としており、入賞する事さえ難しい状況にあった。一方、トップを走るロクスンは2位のダバロスとの差を徐々に広げ始め、ラスト3ラップの時点でリードは3秒にまで広がっていて、あとはミスの無いように残りのラップを走り切るだけだった。もちろんその3ラップをミス無く走りきったロクスンはトップでフィニッシュして2連勝、2位にはダバロス、3位にはトマックがそれぞれ入った。ランキング2位のシーリーはなんと12位でフィニッシュ、トップの2人から大きく離される結果に。

 

ラウンド5を終え、残り4ラウンドとなった250ウエスト。オークランドでのDNFにより、一気にロクスンにポイント差をつけられてしまったトマックは今回のアナハイムでも3位に終わり、優勝のロクスンにさらに5ポイントのリードを許してしまい、現時点でのポイント差は20ポイント。まだ決定的とまでは言えないが、ロクスンが初のタイトルへ向け、確実に優位なポジションにいる。これからのラウンドは、いったいどう展開していくのだろうか?

 

250cc クラス ウエスト レース結果
順位 ゼッケン ライダー名 チーム名 メーカー ベストタイム
1 94 K・ロクスン Red Bull KTM   KTM 53.459
2 40 M・ダバロス Monster Energy/Pro Circuit/Kawasaki   Kawasaki 53.117
3 1 E・トマック GEICO Honda   Honda 53.203
4 38 K・カニンガム StarRacing   Yamaha 54.186
5 21 J・アンダーソン Rockstar Suzuki   Suzuki 53.905
6 31 T・ベイカー Valli Motorsports Yamaha   Yamaha 54.850
7 176 J・サバージー JDR/J-star/KTM   KTM 54.334
8 76 A・ポリテリ -   Honda 54.415
9 74 M・アンスティ Rockstar Suzuki Europe   Suzuki? 54.817
10 338 Z・オズボーン GEICO Honda   Honda 54.410
11 36 J・ネルソン Troy Lee Design/Lucas Oil/Honda   Honda 55.075
12 43 C・シーリー Troy Lee Design/Lucas Oil/Honda   Honda 54.123
13 59 C・クレイグ Troy Lee Design/Lucas Oil/Honda   Honda 55.382
14 205 J・カヒア JDR/J-star/KTM   KTM 56.184
15 78 S・チャンピオン -   Honda 56.478
16 948 K・モーシグ -   Kawasaki 56.138
17 992 J・ラモス -   Kawasaki 55.835
18 72 D・テッダー -   Kawasaki 56.949
19 653 T・ベアマン -   Kawasaki 57.630
20 63 D・アンダーソン -   Kawasaki 58.078
250cc クラス ウエスト ポイントランキング
順位 ゼッケン ライダー名 メーカー ポイント
1 94 K・ロクスン   KTM 116
2 1 E・トマック   Honda 96
3 43 C・シーリー   Honda 89
4 40 M・ダバロス   Kawasaki 70
5 21 J・アンダーソン   Suzuki 68
6 338 Z・オズボーン   Honda 68
7 38 K・カニンガム   Yamaha 67
8 59 C・クレイグ   Honda 54
9 176 J・サバージー   KTM 52
10 36 J・ネルソン   Honda 49
11 32 M・スチュワート   KTM 45
12 28 T・ラトレイ   Kawasaki 45
13 76 A・ポリテリ   Honda 39
14 31 T・ベイカー   Yamaha 38
15 74 M・アンスティ   Suzuki 38
16 35 R・サイプス   Suzuki 31
17 23 J・カナダ   Honda 21
18 205 J・カヒア   KTM 20
19 80 M・リーブ   Honda 16
20 992 J・ラモス   Kawasaki 14

 

宮本 将平
プロフィール
宮本 将平

WEB・GRAPHIC DESIGNER/PHOTOGRAPHER 元プロMXライダー。トランスワールドMX編集部を経て、同社でデザイナーとして勤務。退社後に独立、いわきで バンザイマガジン (FMXフリーマガジン)を立ち上げ、編集長を勤めている。

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