【Page6】カムチェーンは生命をつなぐ神経である。

掲載日:2010年03月12日 特集記事KAWASAKI Z1/Z2 延命治療    

記事提供/2008年12月1日発行 モトメンテナンス No.80

クランクケース右側のポイントカバーを取り外し、メガネレンチでクランクシャフトをゆっくり回転させる。

クランクケース右側のポイントカバーを取り外し、メガネレンチでクランクシャフトをゆっくり回転させる。

  クランクケースの突起マークとガバナー側面に記される1.4番のTマーク(上死点マーク)を合わせる。上死点時に調整するのが鉄則だ。

クランクケースの突起マークとガバナー側面に記される1.4番のTマーク(上死点マーク)を合わせる。上死点時に調整するのが鉄則だ。

シリンダー後方、キャブレター下にあるカムチェーンテンショナーのロックボルト&ナットのナットを緩め、次にボルトも緩める。

シリンダー後方、キャブレター下にあるカムチェーンテンショナーのロックボルト&ナットのナットを緩め、次にボルトも緩める。

  ここまでの作業でスプリングがプッシャーを押し出すのだが、固着例もあるため工具で軽く叩いて衝撃を与えた後にボルト&ナットを固定する。

ここまでの作業でスプリングがプッシャーを押し出すのだが、固着例もあるため工具で軽く叩いて衝撃を与えた後にボルト&ナットを固定する。

 

カムチェーンは生命をつなぐ神経である。
周辺パーツのコンディションが極めて重要だ!!

国産初のツインカム4気筒量産モデルには数多くのパーツが組み込まれている。なかでもカムチェーン周辺パーツの多きは顕著だ。例えば、アイドルギヤのゴムダンパーが弾けるとどうなるのか? ここではトラブル実例も含めてカムチェーンに注目しよう。

 

Z1/Z2エンジンは頑丈である。しかし、その頑丈さを過信してしまうと取り返しのつかないトラブルに発展してしまう可能性もあるので要注意だ。特に、注意したいのが「カムチェーン周辺」を構成するパーツである。

 

具体的なトラブル例として多いのが、アイドルギヤの「ゴムダンパー弾け」である。そのようなトラブルを起こした実例が、まさに写真のパーツだ。

 

写真のカムチェーンテンショナーギヤは、ゴムダンパーが弾けてバラバラになっている。ゴムローラーも劣化で弾力性を失うと磨耗が早まる。スリッパーとて割れてしまうケースがあるのだ。このようになれば少なからずメカノイズは発生するが、それでもエンジン始動できてしまうのが空冷Zの頑丈なところであり「落とし穴」でもあるのだ。

 

ヘッドカバーを外した際には、フレームの上からカムチェーンラインを覗き込み、チェーンラインがズレていないか確認しよう。また、カムチェーンテンショナープッシャー本体を取り外したときに、プッシャーが異様に飛び出していないかも要注意だ。プッシャーの異様な飛び出し=カムチェーンのタルみ=チェーンのズッコケ方程式が成立する。テンショナー部は、取り付け穴から指先を突っ込み確認することで、ガイドローラーとチェーンの状況がある程度は確認できる。とにかくカムチェーンのズッコケは重大トラブルなので、不安なときは徹底的に点検しよう。

 

 
 
 
 

カムチェーン周辺を構成する様々なパーツ。頑丈な作りなのだが、各ギヤアイドラーはダンパーゴムの焼き付けによって軸心に固定されているため、このダンパーゴムが劣化でちぎれるとチェーンラインが狂い、カムチェーンがギヤアイドラーから外れてしまうトラブルが発生する。カムチェーンズレが発生しても、普通に走ってしまうところが空冷Zシリーズの怖い部分だ。最悪でズレたカムチェーンがシリンダーやヘッドに直に触れてガリガリ削り、エンジンオイルにアルミ粉が大量に混じって・・・・

 

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