【Page4】操る醍醐味が濃厚なローソンレプリカ 特集記事

【Page4】操る醍醐味が濃厚なローソンレプリカ

掲載日:2009年12月11日 記事カテゴリ 特集記事AMAスーバーバイクの輝きを再び! Z1000 R&J

記事提供/2009年8月1日発行 月刊ロードライダー 8月号
Report/和歌山利宏 Photo/鶴見 健

操る醍醐味が濃厚なローソンレプリカ

Z1000(J)は登場した’81年、エディ・ローソンのライディングでAMAスーパーバイクチャンピオンに輝き、翌’82年、ローソンレプリカが市販された。それがこのZ1000R1だ。J2(’82年型)をベースにカラーリングをライムグリーンとし、ビキニカウル、KERKERマフラー、リザーバータンク付きリヤショック、レースタイプのアンコ抜きシート、オイルクーラーを装着したホットイメージのモデルである。

 

そして、このBLファクトリーのR1には、エンジン、車体ともにカスタム化の手が及んでいる。フロントブレーキはS1(市販レーサー使用)に準じ、S1同様、フロントは18インチ化、前後ともにラジアルタイヤとそれに合ったリム幅のホイールを履く。エンジンもボアアップされ、1105ccに排気量を拡大。でも、それらは、R1の基本素性を壊すことなく、今日的に楽しむためのものと考えて差し支えない。

 

さて、Z1000Rに跨ると、ステップ位置がやや高めの印象である。大き目の車格からするとやや窮屈にも感じ、レース用のS1はもう少し前下にあったと思えないでもないが、ワインディングを走っていてステップワークしやすく、また踏ん張りやすくてホールド感も抜群である。

 

傾いた車体を起こすときは、大柄なエンジンが高い位置に搭載されているとの印象もあるが、意外にも軽いことに驚かされる。Z1で230kgだった車重は、MkⅡで245kgまで肥大化し、1000(J)で再び230kgまで軽重化、さらにR1が222kgを公称していたことを頷かせないでもない。

 

ギヤをローにいれクラッチミートしていくと、太いトルクが伝わり、豪快に発進。いかにも骨太の重量マシンという感じだ。ただ、トルクフルであっても、3000rpm以下でスロットルを大きく開くと、キャブセッティングが合っておらず、息を付くのが残念である。そのため、コーナーは4~5000rpmをキープしていくことになる。そうして力強くコーナーを立ち上がっていくと、トルクピークとなる7000rpmぐらいに加速Gのピークを感じる。

 

日常域からちょっと精神的テンションを高めた領域で1100ccのトルクを味わえるわけで、現在の高回転型エンジンとは違って、身近な高性能を感じてしまう。そして、さらに勢いを増し、8500rpm辺りに向かってパワーが盛り上がっていく。豪快であってもエンジンを使い切る面白さがあるのだ。

ボアアップによってトルクを増強、ヨシムラST-2カムによって高回転型としたエンジンは、かつての武骨な力量感を、今日的な水準で楽しませてくれると言っていい。

 

ハンドリングに今のバイクにない重厚さはあっても、フロントからの接地感が、最新のラジアルタイヤらしいものであることにホッとさせられる。安定感があって、寝かし込みに応じてタイヤがたわみ、スムーズに向きを変えていく。

 

ただ、身体をインに入れて旋回速度を高めていくような走りは得意ではない。向きを変え、リヤに荷重し、トラクションをかけて脱出していく。そうした基本への要求度は高いが、大きいリズムでのそうしたライディングに導かれていく。いかにも大型車を操っているという面白さを満喫するし、今のバイクにない豪快さである。

 

サスペンションもそうしたライディングに合わされているし、ブレーキも車両ポテンシャルに合った効きを発揮してくれる。今のマシンのように、初期からガツンと効くわけではないが、効いても挙動を乱すだけだし、レバーを握り込んだだけマシンを減速させることができる。

 

今思うと、Z1000Rは、スーパーバイクライディングを楽しむことのできる唯一の市販マシンだったのかも知れない。適度の難しさはあっても、スパルタンでもシビアでもない。だからこそ、愛され続けるのだと気付いた次第である。

 

あわせて読みたい記事