【Page7】油圧のチカラでオイルシールを押し出す!!

掲載日:2010年01月08日 特集記事バイクの足回りメンテナンス    

記事提供/2009年4月1日発行 モトメンテナンス No.82

油圧のチカラでオイルシールを押し出す!!

オイルシールの交換時に、意外にも手こずってしまうのが旧オイルシールの抜き取りである。ここでは、オイルシールの抜き取り方法のあれこれを解説しよう。旧シールがスムーズに抜けただけでも、その後の作業が手際良く進むようになる。

880年代後半以降の車両になると、オイルシールを抜く前にインナーチューブとボトムケースの分割ができない車両が多くなってくる。例えばこのW650のフォークの場合、「油圧」を利用してオイルシールを抜くと、作業はスムーズに進む。

 

やり方としては、まずトップキャップのボルトを緩めて、スプリングを抜き取り洗油(灯油で良い)で満たす。その状態でトップキャップを閉じて、フォーク全体を縮める方向にプレス機で押せば、行き場のなくなったオイルがオイルシールを押し出してくれる、という原理だ。実はメーカーのサービスマニュアルでこの方法を指定しているモデルもある。この方法であれば、他の部品に傷つけることなく作業が進み、オイルシール交換のみなら新品シールの打ち込みも容易。流し込んだ洗油でフォーク内部も洗浄できるので、まさに一石二鳥だ。

 

 

  • 右/フォ-ク内を洗油で満たしたらプレス機にセッ卜する。トップボルトは直接押さず、間にアルミ板を挟む。左上/大きな力を一気に掛けすぎないように、プレス機の目盛りを見ながら作業を行う。
    左下/少しプレス機で押してやるだけで、オイルシールがボトムケース端面から浮き上がってきた。大成功だ。

 

通称「ゴンゴン」スライドメタル付きならば・・・・

上で紹介した、油圧を利用するやり方以外でも、オイルシールを抜く方法がある。それがこの「ゴンゴン」である。
 
実験車両は上と同じくW650。これはどういうやり方かというと、インナーチューブを何度も引っ張ることで、組み込まれているスライドメタルの段差をオイルシールの裏側に引っ掛けて抜く、という比較的お手軽な方法である。

 

ただし、オイルシールにぶつける衝撃でスライドメタルに傷が入ってしまうケースもあるので、この方法を実行するならフロントフォーク内部の部品を全て新品に交換するフルOHが前提と考えよう。

 

80年代以降の車両では、このW650のようにオイルシールが抜けないことにはフロントフォークがバラせない、といった車両も多い。また、OHはしたいが油圧プレス機がない、そんな場合には事実上この方法しかない。

 

ボトムケースをしっかり万力に固定して、インナーチューブをゴンゴン! と数回引っ張る。するとインナーチューブに固定されたスライドメタルに押されて、オイルシールがボトムケースから外れる。ただし、このやり方ではスライドメタルに傷が入ることもあるので、パーツ交換を前提にしたバラシ方法と考えよう。

 

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