【Page3】分解しなくても「オイル交換可能」な機種もアリ!

掲載日:2010年01月08日 特集記事バイクの足回りメンテナンス    

記事提供/2009年4月1日発行 モトメンテナンス No.82

分解しなくても「オイル交換可能」な機種もアリ!!
ボトムケースにドレンボルトがありませんか?

80年代以前のオートバイには、たいていフロントフォークのボトムケースに、ドレンボルトが付いていた。本誌の読者にはその年代のマシンのオーナーさんも多いことだろう。しかし、実際にこのボトムケースのドレンからフォークオイルを抜いて、交換を実践したサンメカがいったい何人いるだろうか。ドレンボルトを外し、フォークをストロークさせると、水鉄砲よろしく(原理はそのものですね)勢いよく噴出したフォークオイルが、作業場の壁、隣のバイクを直撃し、掃除にえらく手間がかかったなんて失敗談はよく聞く話。結局、普段からフロントフォークを外して、トップキャップから古いオイルを排出させる、通常のフォークオイル交換を実施し、ボトムケースのドレンボルトは単なる飾りとなってしまってはいないだろうか。

 

モトメンテでは、このフォーク非分解オイル交換をさらに簡単に、楽しく、スマートかつクリーンに行うため、ペットボトルを利用した作業方法を実践した。

製作したぺットボトル廃油受けをボトムケースにセットして、フォークをストロークさせる。すると透明な容器を通して、ドレンホールからフォークオイルがドピューッと飛び出す様を、実際に見ることができる。抜け出たオイルの汚れ具合や混入した鉄粉もしっかり目で見て確認できて、これが意外と楽しかった。汚れたオイルを見た後ならば、新たなオイルを入れたフォークの動きも、一段と良く感じるものだ。そして作業後の後片付けもペットボトルならば、蓋を開けて中のオイルを捨てるだけ。汚れたフォークオイルに手を汚すことなく実にスマートだ。

 

また、この方式のフォークオイル交換でも、トップキャップを外した状態で、インナーチューブの口をウエスで押さえながらエアーを吹けば、駄目押しとばかりに、さらに多くの汚れたオイルを排出させることができる。フォークオイルの代わりに灯油を入れてフォークをストロークさせれば、フロントフォーク内部をフラッシングすることも可能だ。非分解式オイル交換でも、工夫次第でもう一歩踏み込んだメンテナンスが可能なのである。

 

これならフォークオイル交換にかかる手間は激減。ちょっと走りに行く前に、番手をブレンドさせたオイルを注入し、セッティングなんて芸当も簡単にできてしまう。自然とオイルの交換サイクルも短くなるだろう。

 

さあ今すぐモトメンテを置いてガレージの愛車を見に行こう。愛車のボトムケースの外側にドレンが付いていたら、儲けもの。今回の作業を実践することができる。再びモトメンテを手に取り、ペットボトルの飲み物が飲み終わったら、今回の作業を実践してみましょう。

 

オイルを抜く前に、実油面を測定する。
  • 作業に入る前に、車体を正立させてフロントホイールを浮かせ、フロントフォークが完全に伸びきった状態にする。そのまま、トップブリッジのクランプボルトを緩めて、トップキャップを取り外す。その際は、スプリングの反力に十分注意しよう。

    作業に入る前に、車体を正立させてフロントホイールを浮かせ、フロントフォークが完全に伸びきった状態にする。そのまま、トップブリッジのクランプボルトを緩めて、トップキャップを取り外す。その際は、スプリングの反力に十分注意しよう。

  • 続いて、スプリング装着時の油面を測定する。スプリングの中を通して計測するため、細長い棒状のものをレベルゲージとして使用する。今回は溶接棒を使用し、あらかじめオイルの油面を予想し、適当な位置にビニールチューブとテープで目印を付けた。

    続いて、スプリング装着時の油面を測定する。スプリングの中を通して計測するため、細長い棒状のものをレベルゲージとして使用する。今回は溶接棒を使用し、あらかじめオイルの油面を予想し、適当な位置にビニールチューブとテープで目印を付けた。

  • 目印のビニールチューブの断面が、インナーチューブ上端にぴったりと合うまで、自作オイルレベルゲージーを差し込んでいく。斜めに差し込んでしまうと、インナーチューブ上端から油面までの距離が変化してしまうので、必ず真っ直ぐに差し込む。

    目印のビニールチューブの断面が、インナーチューブ上端にぴったりと合うまで、自作オイルレベルゲージーを差し込んでいく。斜めに差し込んでしまうと、インナーチューブ上端から油面までの距離が変化してしまうので、必ず真っ直ぐに差し込む。

  • レベルゲージを抜き取ったら、フォークオイルが付着した場所から、目印までの距離をメジャーで計測する。この数値がスプリング装着時の油面となるので、必ずメモをとっておこう。サービスマニュアルには、スプリングを抜いた、フルボトムの油面データしか掲載されていない。

    レベルゲージを抜き取ったら、フォークオイルが付着した場所から、目印までの距離をメジャーで計測する。この数値がスプリング装着時の油面となるので、必ずメモをとっておこう。サービスマニュアルには、スプリングを抜いた、フルボトムの油面データしか掲載されていない。

  • 次にペットボトルの空き容器を利用して、排出されるフォークオイルをキャッチするための、廃油受けを製作する。使用するペットボトルは、小排気量車なら、350ml。それ以上ならば、500mlのものが適当だろう。このペットボトルにハンダゴテで、ボトムケースのドレンホールがはまる穴を開ける。

    次にペットボトルの空き容器を利用して、排出されるフォークオイルをキャッチするための、廃油受けを製作する。使用するペットボトルは、小排気量車なら、350ml。それ以上ならば、500mlのものが適当だろう。このペットボトルにハンダゴテで、ボトムケースのドレンホールがはまる穴を開ける。

  • 今回は、ペットボトルのくびれの少し下あたりの、出っ張っている部分に穴を開けた。この辺は、自分のバイクを見ながら、現物合わせで製作していくのが良いだろう。ボトムケースのドレンホール周辺は盛り上がっているので、穴の大きさは、この突起より一回り大きくすることにした。

    今回は、ペットボトルのくびれの少し下あたりの、出っ張っている部分に穴を開けた。この辺は、自分のバイクを見ながら、現物合わせで製作していくのが良いだろう。ボトムケースのドレンホール周辺は盛り上がっているので、穴の大きさは、この突起より一回り大きくすることにした。

  • 作ったペットボトル廃油受けを、タイラップでボトムケースに固定する。この時、タイラップを強く締めすぎると、ペットボトルが変形してしまうので注意しよう。くびれ部分にタイラップを引っ掛けると、排出されたフォークオイルによって重量を増したペットボトルが落ちにくい。

    作ったペットボトル廃油受けを、タイラップでボトムケースに固定する。この時、タイラップを強く締めすぎると、ペットボトルが変形してしまうので注意しよう。くびれ部分にタイラップを引っ掛けると、排出されたフォークオイルによって重量を増したペットボトルが落ちにくい。

  • この状態で、フロントタイヤを地面に下ろし、フロントフォークをストロークさせると、ボトムケースのドレンホールから、古いオイルが排出される。ペットボトルは透明なので、中でフォークオイルが勢い良く噴出する様子を見ることができる。さらにオイルの汚れ具合も一目瞭然だ。

    この状態で、フロントタイヤを地面に下ろし、フロントフォークをストロークさせると、ボトムケースのドレンホールから、古いオイルが排出される。ペットボトルは透明なので、中でフォークオイルが勢い良く噴出する様子を見ることができる。さらにオイルの汚れ具合も一目瞭然だ。

  • フォークオイルはスズキの純正10番を使用した。排出された量を参考に、新しいオイルを計量、注入する。トップキャップを締めて、フォークを何度かストロークさせ、再びフロントタイヤがフリーなった状態で、作業前に計測した数値に油面を調整する。

    フォークオイルはスズキの純正10番を使用した。排出された量を参考に、新しいオイルを計量、注入する。トップキャップを締めて、フォークを何度かストロークさせ、再びフロントタイヤがフリーなった状態で、作業前に計測した数値に油面を調整する。

 

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