カワサキ Z250FT(1979)

掲載日:2014年08月22日 絶版ミドルバイク    

文/柏 秀樹(柏 秀樹のライディングスクール『 KRS 』)

記事提供/ロードライダー編集部

※この記事はカスタムNo.1マガジン『ロードライダー』の人気企画『ミドルバイク流星群』を再編集したものです

KAWASAKI Z250FT(1979)

「スポーティブ・ハートの実証」というキャッチコピーとともに、大空へ舞い上がるイメージを強調したカタログ。これがZ400FX・Z750FX などと共通するデザイン処理だった

250ccといえば350ccや400ccの廉価版=大人しいキャラというのが通り相場だった。
だが、カワサキが唱えた答えはノー! だった。

クォーター最前線へ

1979年登場のZ250FTは、現在の250ccクラスで高い人気を誇っているニンジャ250Rのルーツ的な存在だ。もちろん、Z250FTの空冷エンジンとニンジャ250Rの水冷エンジンはまったく別物だが、ドルルーンというリズミカルな鼓動感を持つ180度クランク採用の4スト並列2気筒エンジンという点では共通。カワサキ初の4スト250cc並列2気筒という点で、Z250FTはまさに原点と呼べるものだ。

そのZ250FTがデビューした’79年はスズキRG250がパワフルな走りを実現し、250cc専用のエンジンおよび車体がもたらす2ストスポーツの可能性を大いに見せつけた頃だった。これに対して4ストのZ250FTは、同クラスのライバルたちが400とのフレーム共用をしている中で、車体の軽量性を明確に主張していた。

当時のカタログによると「狙いは250のパーフェクション……Z250FT。フレーム、エンジンユニット、スタイリング……すべて250ccならではの持ち味をフルに表現するためにゼロからスタートし、250ccとしてのトータルパフォーマンスを完成……」などとアピールしていた。そもそも250は400ccモデルとの車体共有というのが当時の常識だった。そのために250としてはウエイト面で不利となり、ユーザーとしてみれば、400ccが購入できない人のためのバイクというチープなイメージも残っていた。

そもそもこの図式の代表的例は、ホンダの’60年代初頭の4スト・ベストセラー車として君臨したCB72(250cc)だった。CB72(北米輸出名ホーク)の上級モデル、CB77(305cc:同スーパーホーク)を用意。その後継車であるCB250に対してホンダはCB350を用意するというバックボーンがあった。これを期に250/350の同時開発スタイルは4スト・2ストを問わず当時の常識となったのだ。

しかし、Z250FTは250cc専用の車体・エンジンとしたことで、排気量ヒエラルキーの呪縛から放たれたわけだ。クラス初のキックペダル廃止、エンジン始動はセルスターターのみという思い切った判断もエンジンや電装系の自信の表れだった。

空冷2スト3気筒のKH250がその終焉を迎え、それだけカワサキが4ストのZ250FTに掛ける期待もひとしおであったに違いないことが伝わる。

Z250FTのエンジンはクランク両サイドの軸受けをボールベアリング、センターをニードルローラーベアリングで支持して高耐久性を確保。Z1やZ2で培った信頼性重視の考え方は、Z250FTでも活かされた。

このクラスではいち早く前後輪ともディスクブレーキを採用。そしてメタルパッドの採用で雨天時の高い制動力も確保。軽量で扱いやすい車体により、4ストエンジンならではのスポーティさとテイストを両立。ライバルよりも高いエンジン出力数値を誇った2スト車ではなく、トータルパフォーマンスのカワサキを250ccクラスに投入したのだ。

Z250FTはシャープなデザイン性もウリだったが、ライバルと異なるのは頂点モデルであるZ1-R、Z1000Mk II 、Z1300、Z750FX、Z400FXなどと共通する角張ったラインを採用したことだった。この後のカワサキは、Z250FTの後継モデルであるGPz250で、400、550、750、1100、750ターボシリーズに共通する流麗なデザイン統一性を実現。ライバル他社は、ここまでデザインの統一性にそれほどのこだわりがなかった頃だが、カワサキはシリーズの統一イメージを徹底し、排気量は異なってもデザインバランスを保持し、車体サイズこそ小さくても、各部の仕上げも含めて大型モデルと比較して引けを取らない点が素晴らしかった。

Z250FTはリンク式リヤサス導入のGPz250の後にアバンギャルドなスタイルの水冷GPZ250Rへシフト。そしてZZR1100イメージのZZR250を経て現在のニンジャ250Rへ。カワサキといえば「男カワサキ」や「骨太」でビッグバイクのイメージを思い浮かべるが、この250ツインの歴史を垣間見ると、なかなか力強い足跡を残してきたことがわかる。

カタログは時代の証明。カタログで知る名車の系譜…

’80年代初頭のカタログは、各社とも宇宙時代・スペース感覚のデザインを積極的に採用。一般のバイクライフでは絶対にあり得ないコスチュームがカタログを賑わした。直線基調のスタイルは、他にはないカワサキらしさの象徴。今なお高い存在感を見せる大きなポイントとなっている

バランサーを持たない180度クランクの並列2気筒エンジンは、同時期販売されたZ400とともに、あらゆる市場での定番モデルの構築を狙った手堅い選択だった。振動対策のため、エンジンにはラバーマウントを採用。このカタログは車体色が追加された’79年後期のもの。2in1マフラーとスポークホイール、ドラムブレーキという構成の廉価モデル、B型も輸出用として用意された

’79年10月にA1からA2へ、塗装色のみ変更。1万円UPの32万8,000円となった。’81年4月にはA3。車体色変更、オートカムチェンテンショナー追加。’82年1月A4。角形ヘッドライト、セミエア式フロントフォークなど装備。1万円UP。同年6月A5ではCDI点火に

“角Z”と呼ばれるZ1000Mk. II やZ1-Rなどと同様の角ばったデザインで、ひと目で兄弟車と分かる

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