シンプルさを追求したライトウェイトスポーツ、ハスクバーナ ヴィットピレン701 試乗インプレ・レビュー

シンプルさを追求したライトウェイトスポーツ、ハスクバーナ ヴィットピレン701

掲載日:2018年04月06日 記事カテゴリ 試乗インプレ・レビュー   

取材協力/Husqvarna Japan  取材・文/伊丹 孝裕  写真/Husqvarna Japan

ハスクバーナ ヴィットピレン701(2018-)

HUSQVARNA VITPILEN 701(2018-)

115年の歴史を誇る名門から登場した
待望のビッグシングルスポーツ

1689年に銃器メーカーとして創設され、1903年から2輪の生産を手掛けているスウェーデンの名門ブランドがハスクバーナだ。30年代にはマン島TTを始めとするロードレースで、50年代以降はモトクロスやエンデューロで無類の強さを発揮しながらも、近年はいくつかの企業に買収されて国をも転々としてきた。しかしながら、2013年にKTM(オーストリア)の傘下に入ると再び勢いを取り戻し、現在続々とニューモデルを発表。その中の1台がこのヴィットピレン701だ。シンプルさを突き詰めたライトウェイトスポーツが見せる爽快な走りをお届けしよう。

ハスクバーナ ヴィットピレン701(2018-) 特徴

クラシックにもモダンにも見える
新時代のスポーツシングル

ハスクバーナ ヴィットピレン701(2018-)の試乗インプレッション

2015年秋にコンセプトモデルとして披露され、正式発表が待たれていたヴィットピレン701がついに走り出すことになった。ハスクバーナはモトクロスやエンデューロ、スーパーモタードといったオフロード系のカテゴリーで名を馳せてきたが、純粋なオンロードモデルをラインナップするのは久しぶりのこと。今、最も話題を集めている1台だ。

ハスクバーナ ヴィットピレン701(2018-)の試乗インプレッション

コンセプトに“SIMPLE. PROGRESSIVE.”という言葉を掲げている通り、車体は最小限のパーツで構成されているにもかかわらず、他のどのモデルにも似ていないオリジナリティを持つ。クラシックにもモダンにも見えるそのスタイリングにはスウェーデン由来の高い美意識が根づいている。

ハスクバーナ ヴィットピレン701(2018-)の試乗インプレッション

そんなヴィットピレン701の話題はデザインだけではない。なにより注目を集めているのがパワーユニットで、693cc(正確には692.7cc)の水冷単気筒エンジンをクロモリパイプで組まれたトラスフレームに懸架。ベーシックな車体構成は車重に反映され、157kg(燃料なしの半乾燥重量)という軽量ボディを実現するなど、ライトウェイトスポーツとしての高い資質が与えられている。

ハスクバーナ ヴィットピレン701(2018-)の試乗インプレッション

ハスクバーナ ヴィットピレン701(2018-)の試乗インプレッション

ハスクバーナ ヴィットピレン701(2018-) 試乗インプレッション

よどみなく吹け上がるエンジンと
流れるようなハンドリング

ハスクバーナ ヴィットピレン701(2018-)の試乗インプレッション

またがると見た目のスパルタンさとは裏腹に前傾姿勢の度合いは常識的だ。ワインディングを丸一日走り回っても疲労は少なく、取り回しやUターンも楽に行えた。830mmのシート高だけは万人向けとは言えないものの、この数値は国産スーパースポーツとほぼ同等でもある。ゆえに170cm程度の身長があれば両足のツマ先は接地し、なによりスリムなため極低速域でもプレッシャーはまったくない。

それをサポートしてくれてるのが穏やかな出力特性だ。エンジンを始動させると周囲に響く、パンチの効いた弾けるような排気音に気難しさを感じつつもクラッチ操作はイージーそのもの。バランサーが組み込まれた4バルブOHC単気筒はアイドリング付近から充分なフレキシビリティを発揮し、ストップ&ゴーもストレスなくこなすことができる。実用上、数少ないリクエストがクラッチレバーの長さにあった。ストリートバイクにしては短いレバーが装備されているため、4本掛けや3本掛けでレバーを操作するライダーには違和感が残るところ。オフロードモデルにはよく見られる設定で、このあたりにメーカーの出自や得意分野を感じさせる。

ハスクバーナ ヴィットピレン701(2018-)の試乗インプレッション

その他はストリートバイクとしてもオンロードバイクとしても極めて上質だ。エンジンはφ105mmに達するビッグボアをまったく感じさせることなく爽快に回り、9,000rpm超で作動するレブリミッターまでスムーズに到達。特に120km/h~130km/h近辺で巡航した時の心地よさはいい意味でビッグシングルらしくない。そこにあるのは全身を震わせるような「ガツンガツン」とした振動ではなく、優しく体を包んでくれるような「コロコロ」とした鼓動だ。それは2気筒にも4気筒にもなく、他の単気筒にもない、ヴィットピレン701だけのまろやかな世界である。

ハスクバーナ ヴィットピレン701(2018-)の試乗インプレッション

また、ハンドリングにもそのイメージを覆す軽い裏切りがあった。軽量なスポーツシングルと聞けば否が応にも俊敏な動きを連想するが、このモデルはいたずらにそれを追求していない。コーナーへ向かって車体をターンインさせる時のレスポンスは早すぎず遅すぎず、手応えもまた軽すぎも重すぎもしない絶妙なもの。スーパースポーツのように積極的に体重を移動したり、バンク角を意識しなくともナチュラルに旋回していく、流れるようなコーナリングシークエンスが与えられていた。

ハスクバーナ ヴィットピレン701(2018-)の試乗インプレッション

その一方で、単気筒の醍醐味がしっかり残されているのがコーナー立ち上がりだ。スロットルを開ければ「タタタンッ」という小気味いいトラクションが明確に感じられ、ギアのアップにもダウンにも対応してくれるオートシフターを駆使することでいつでも望んだ通りの鋭い加速を得ることができる。

シンプルにして最新のコンポーネントを持つヴィットピレン701には、ライディングプレジャーのほとんどすべてが詰まっている。今や希少とも言えるビッグシングルをオンロードで楽しめることの意義は大きく、日本へ上陸を果たすこの夏を楽しみに待ちたい。

詳細写真

ハスクバーナ ヴィットピレン701(2018-)の試乗インプレッション

ヘッドライトとテールライト、そしてウインカーにはLEDを採用。丸型ヘッドライトにはその形状に合わせたデイタイムライトが配置され、ハイビームとロービームは上下に分割して備えられている。

ハスクバーナ ヴィットピレン701(2018-)の試乗インプレッション

LCDディスプレイによるシンプルな単眼メーターを装備。WP製フロントフォークの減衰力は左右で独立し、右側でリバウンドを、左側でコンプレッションを調整することが可能だ。調整幅はそれぞれ28段階。

ハスクバーナ ヴィットピレン701(2018-)の試乗インプレッション

燃料タンクフィラーキャップには機械加工が施され、高い質感を誇る。このブロンズカラーは古き良き時代のモデルにも採用されていたものだ。タンクの容量は12リットル(2.5リットルのリザーブ含む)。

ハスクバーナ ヴィットピレン701(2018-)の試乗インプレッション

フロントブレーキにはブレンボ製のφ320mmディスクとラジアルマウントされた4ピストンキャリパーが組み合わせられ、ボッシュ製のABSが制御。タイヤはブリヂストン製のバトラックスS21が標準となる。

ハスクバーナ ヴィットピレン701(2018-)の試乗インプレッション

フロントと同じくWP製のリヤショックにはプリロードとリバウンドの調整機構が備わる。シフトペダルにはギヤのアップにもダウンにも対応するオートシフターを標準装備され、その作動精度は極めて高い。

ハスクバーナ ヴィットピレン701(2018-)の試乗インプレッション

シートにはMOKKAレザーと呼ばれる表皮が採用され、内包された高品質ウレタンフォームとともにライダーの下半身をしっかりホールドしてくれる。一見シングルシートに見えるがタンデムも可能だ。

ハスクバーナ ヴィットピレン701(2018-)の試乗インプレッション

シャープなスタイリングに貢献しているスチールマフラーにはブラックコーティングが施されている。エンジン下部にはプリサイレンサーが設けられ、高い消音性と排ガスのクリーン化を両立している。

ハスクバーナ ヴィットピレン701(2018-)の試乗インプレッション

パウダーコートが施されたクロモリフレームに単体重量43.4kgの水冷OHC単気筒エンジンを搭載。これらはKTM・690DUKE/Rから踏襲されたものだが、独自のディメンションとセッティングを持つ。

ハスクバーナ ヴィットピレン701(2018-)の試乗インプレッション

ハスクバーナの伝統と歴史はロゴマークに見て取ることができる。これは銃口と照準器、王冠をモチーフにデザインされたもので、かつて王室向けの銃器メーカーとして設立されたことを今に伝えている。

SPECIFICATIONS – HUSQVARNA VITPILEN 701(2018-)

ハスクバーナ ヴィットピレン701(2018-) 写真

価格(消費税込み) = 135万5,000円
※2018年7月発売予定

693ccの水冷単気筒エンジンをパイプフレームに搭載したライトウェイトスポーツ。パワーや電子デバイスに頼ることなく、その軽さを武器にコーナリングの楽しさを追求している。

■エンジン型式 =4ストローク 水冷OHC4バルブ単気筒

■総排気量 =692.7cc

■ボア×ストローク = 105.0x 80.0mm

■最高出力 =55kW(75hp)/8,500rpm

■最大トルク =72Nm/7,500rpm

■トランスミッション =6速リターン

■サイズ =N/A

■車両重量(燃料なし) =約157kg

■シート高 =830mm

■最低地上高 =140mm

■ホイールベース =1,434±15mm

■タンク容量 =12リットル(リザーブ2.5リットル)

■Fタイヤサイズ =120/70-R17

■Rタイヤサイズ =160/60-R17

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