【ケイク カルク アンド 試乗記】北欧デザインが映えるオフロードタイプの電動マシン

掲載日:2024年02月13日 試乗インプレ・レビュー    

取材・文・写真/増谷 茂樹

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CAKE Kalk&

2016年にスウェーデンで誕生した電動バイク専門のブランドがCAKE。日本ではゴールドウィンが2023年から輸入販売を開始している。「Kalk&」はオフロードタイプの車体で同ブランドのトップモデルだ。

ゼロエミッションで自然の中に入って行ける
北欧デザインの多目的オフロードモデル

CAKEは2016年にスウェーデンで設立された電動バイクメーカー。ゼロエミッション社会の実現をミッションに掲げ、北欧らしいデザインの電動2輪車を複数ラインナップしている。日本での輸入販売はゴールドウインが行っており、公道走行可能なモデルとしては4車種をラインナップ。「Kalk&」はそのフラッグシップに位置付けられる多目的オフロードモデルだ。元々アウトドアスポーツに親しんでいた創立者が排気ガスや排気音を出すことなく自然を楽しむというコンセプトで開発されたモデルで、スウェーデンでは森林パトロールなどにも活用されているという。販売価格は298万610円(税込)。

ケイク カルク アンド 特徴

ミニバイクっぽい車体だが前後オーリンズサスを装備した
引き算デザインのオフロードモデル

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「Kalk&」は軽二輪(250cc)にカテゴライズされ、定格出力5.8kW、最高出力10kWを発揮するモーターを搭載。リアタイヤで発揮されるトルクは252Nmと電動バイクらしく非常に強力だ。搭載されるバッテリーは51.8V/50Ah(約2.6kWh)の容量を持つリチウムイオンで、連続走行時間は約3時間。航続距離にすると都市部での走行で約86km (WMTC タイプⅡ)、 高速度での走行 (時速70km):で約35kmとされている。充電は家庭用の100V電源で0〜100%までは約5時間、80%までで約3時間かかる。

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車体デザインは、エンジン付きのオフロードマシンから余計なものを削ぎ落としていったようなシンプルさ。北欧デザインの家具のような引き算の美学を感じさせる。水平基調のシートは前後の着座位置変更がしやすそうだが、シート高が910mmとかなり高いのが気になるところだ。ただし、車重はバッテリー込みで79kgとおそろしく軽量なので、片足で支えるのにそれほど気を使う必要はなさそう。ホイール径は前後とも19インチで、動力伝達にはカーボン製のベルトを採用。サスペンションは前後ともにオーリンズ製となっている。

ケイク カルク アンド 試乗インプレッション

緻密なコントロールが可能なモーター制御と
自由度の高いライディングポジション

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高さのあるシートなので恐る恐るまたがったが、幅がかなり細身なので数値から予想するほど足付き性は悪くない。お尻を少しズラして足を付くオフロードマシンの乗り方ができれば、軽い車体もあって不安に思うことはないだろう。シート座面はフラットで長いので、前後のポジション変更は非常にやりやすい。ただ、ガソリンタンクがないため、ニーグリップをしようとしても膝が当たる部分がなく、内腿で車体をホールドするかたちになる。車体が軽いため、それでも十分にホールドは可能だが、慣れないうちはやや戸惑った。

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電源をONにして、走行可能な状態となっても当然のごとくエンジン音はない。走行モードは3種類選ぶことができるが、最も穏やかなモードで走り出しても車体を押し出す力は十分にパワフル。それでいて、その力のコントロールがとてもしやすく、低速域では後輪の回転を右手で操っている感覚が面白い。エンジンをアクセルで操り、そのエンジンが駆動輪を回すエンジン付きバイクとのフィーリングの違いが明確で、滑りやすい路面などではこちらの方がコントロールしやすいと感じた。

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一方で、最もパワフルなモードにすると、そのダッシュの鋭さに驚かされる。軽量な車体が蹴り出されたように加速するので、アクセル操作にやや気を使うほどだった。ただ、コントローラブルなフィーリングは変わらず、右手を捻るだけでどこからでも車体を加速させられるのはかなり気持ちいい。最高速度は90km/hだが、そこまでは全く鈍ることなく加速感が続くのも電動マシンらしいところだ。

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オフロードマシンのようなルックスだが、ホイールが前後19インチで同径のためか、ハンドリングはオンロードマシン的。舗装路ではリーンアウトよりも少し腰を内側にズラしてリーンインのようなフォームの方が、気持ち良く曲がれると感じた。ライディングポジションの自由度が高いので、着座位置やフォームを色々と工夫しながら乗るのも楽しかった。

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オフロードも走ってみたが、アクセルで後輪のトラクションを緻密にコントロールできるので、滑りやすい路面でも不安なく走れる。ただ、ハンドリングがオンロードマシン的なので、未舗装路でのコーナリングを楽しむには少し慣れが必要。攻めた走りをするよりは、無音で走れる特徴を活かしてトレッキング的に自然を楽しむライディングの方が向いているだろう。

ケイク カルク アンド 詳細写真

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直線基調のアルミフレームに、永久磁石埋込式同期モーターと2.6kWhのリチウムイオンバッテリーを搭載。バッテリーは2本を縦に並べるかたちでスリムな車体に貢献している。

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細身でフラットな形状のシートは、ライディングポジションの前後移動がしやすく、オフロード走行ではありがたい。長時間の走行ではお尻が痛くなりそうな形状ではあるが、実際に走り回っている際には負担を感じることはなかった。

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19インチのリアホイールには、ちょっと見たことないような大きさのドリブンスプロケットが付く。駆動はベルトドライブで、ドライブスプロケットはスイングアームピボットの奥に配置されるが、アンチスクワットはきちんと働く。

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フロントホイールも同じく19インチで、タイヤはオン・オフどちらにも対応するものを履く。フェンダーがダウンタイプとなっているところからも、本気でオフロードを攻め込むタイプのマシンではないことが伝わってくる。

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フロントフォークはオーリンズ製の倒立式エアフォークでCAKE専用に開発されたもの。3段式エアスプリングを採用しており、車高とボトム抵抗を個別に設定することが可能。ステムの取付部近くに電源ボタンがある。

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ハンドルは剛性の高いテーパー形状で、幅は800mmと広くライズは小さめ。ハンドルポストはトップブリッジより前方にハンドルを配置するユニークな形状となっている。

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メーターはシンプルな長方形のディスプレイで、速度のほかバッテリー残量や走行モード、3段階に調整できる回生ブレーキの効き方などを表示する。表示はコントラストが強く、晴天でも見やすい。

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丸目1灯のライトは、クラシカルなデザインで、配線もきれいに処理されている。細く長いウィンカーステーもシンプルなルックスに貢献しているが、オフロードなどでの転倒時の耐久性は気になるところだ。

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テールランプとリアウィンカーはシートから伸びる2本の細いフレームで支持される構造で、シンプルな見た目を実現している。走行中にブレてしまうようなことはなかった。

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リアサスペンションはオーリンズ製のTTX22。CAKE独自開発インターナルとスプリングを採用していて、リンクを介してスイングアームに接続される。クリアなマッドガードで覆われている構造もユニークだ。

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モーターの下部には金属製のアンダーガードが装備されている。右側に見えるのは充電口で、専用の充電器を介してバッテリーを充電できる。

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フロントブレーキは対抗4ピストンキャリパーを採用したシングルディスク。ディスク径は220mmで、リアブレーキも全く同じスペックのものが装備されているので、オフロードでは気をつけないとロックしやすい。

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電動なのでクラッチレバーは存在しないが、リアブレーキは足で操作するタイプとされている。ステップやブレーキペダルは、直線基調のデザインとなっていて細かい部分にも北欧らしいデザインエッセンスが感じられる。

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