【ヤマハ YZF-R15 試乗記】税抜50万円ジャスト! 250ccにも見劣りしない、クラスを超えたハイスペックマシン

掲載日:2024年01月24日 試乗インプレ・レビュー    

取材・文・写真/伊井 覚 走行写真/小松 男

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YAMAHA YZF-R15

2023年10月、ヤマハはYZF-R、XSR、MTの3カテゴリーに125ccモデルを投入。それと同時に東南アジア市場で人気を博していた155ccのスポーツバイク、YZF-R15も日本のラインナップに加わった。

アジア圏で人気の150ccクラス
原付2種と250ccの中間がちょうど良い

インド、タイ、ベトナム、中国などアジア圏では125〜200ccのバイクが人気を集め、大きなマーケットを形成している。日本のメーカーも現地法人を設立し、多くのモデルをアジア向けに開発。精力的に販売を行っており、この度日本で発売されたYZF-R15も2008年にインドで発売されて人気を博しているモデルだ。

日本の法規制に照らし合わせると125のように原付2種免許で乗れるメリットはないが、代わりに高速道路を走ることもでき、街乗りや通勤・通学だけでなく県を跨いだツーリングも楽しみたいというユーザーに向けた、YZF-R125とYZF-R25の中間に位置するモデルとなっている。

ヤマハ YZF-R15 特徴

150ccクラスにしてハイスペック
スポーツバイクデビューに最適

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YZF-R15はヤマハのハイエンドスポーツモデルであるYZF-R1の遺伝子を受け継いだ入門スポーツモデルとして、ワインディングやサーキット走行、レースまで楽しめるモデルとなっている。同時に発売された兄弟車のYZF-R125と比べると、シリンダーのストローク量はそのままにボアを拡大することで排気量向上を果たしている。

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車体は完全に共通かと思いきやそうではなく、YZF-R15の方が全長が40mm短くなっており、排気量が異なるにも関わらず重量は同じ141kg。また、リアスプロケットはYZF-R125の52丁に対し、48丁を装着することでファイナルはロングレシオに振られており、125に比べてマイルドなパワー特性を実現している。

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さらに驚くべきことに150ccクラスにしてVVA(Variable Valve Actuation:可変バルブタイミング機構)を備えており、アシスト&スリッパークラッチにトラクションコントロールまで搭載している高機能ぶりで、価格は税抜50万円ジャスト。まさに普通自動二輪免許を取得した若者がバイクデビューするのに最適な一台と言えるだろう。

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ヤマハ YZF-R15 試乗インプレッション

必要十分なパワーと圧倒的な軽さ
VVA採用による懐の深いエンジン

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そんなYZF-R15を千葉県にある茂原ツインサーキットの西コースで試乗する機会を得た。1周700mのショートコースは155ccにはちょうど良く、125ccだと2速で吹け切ってしまうホームストレートだったが、155ccだとシフトアップなしでも2速で最後まで引っ張ることもできたし、逆に3速固定でもタイトコーナーをエンストせずにクリアすることができ、スムースライディングを楽しむこともできた。本来、排気量の大きさはそのままエンジンの懐の深さに通じるため、155ccという小排気量でありながら低回転から高回転までトルクフルな特性に仕上げることは難しい。これは搭載されているVVAによる恩恵が大きいだろう。

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ハイエンドモデルのYZF-R1だけは特別だが、小排気量モデルでも上位モデルに通じるデザインやサイズ感、ライディングポジションを実現している点にも注目したい。YZF-R25/R3やYZF-R7などと比べても遜色のない、少しだけゆとりのある前傾姿勢でスポーツライディングの基礎を学ぶことができ、141kgという圧倒的な軽さからくる倒し込みや旋回性の良さはこのクラスならではのものだろう。

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せっかくサーキットで試乗できるのだから、コーナー手前で回転を落とさずにシフトダウンして、アシスト&スリッパークラッチの効果を体験してみた。小排気量かつ軽量ということもあるのだろうが、結果は上々。本来受けるはずのエンジンブレーキの衝撃はほとんど感じられず、スムースかつ安全なコーナリングができた。正直、技術説明会でこの説明を受けた時には“155ccクラスにアシスト&スリッパークラッチはオーバースペックなのではないか”と思ったのだが、スポーツ走行時には疲労軽減に繋がるし、ツーリングでも急制動など危険回避のための安心材料となる。トラクションコントロールについても同様のことが言えるだろう。特に雨の日の滑りやすいマンホールや新品タイヤに履き替えた直後など、初心者が転倒しやすいシチュエーションにこそ効果を発揮してくれるはずだ。

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僕が普通自動二輪免許を取得した20年前は125ccや150ccクラスが今ほど多くなく、“スポーツバイクは250cc以上”という印象が強かったが、125ccや150cc、200ccクラスのスポーツバイクがこれだけ普及してきている現代でこの考え方はナンセンスと言えるだろう。今回の試乗会では国道や高速道路を走行することはできなかったが、サーキットを走行して感じたパワーは250ccクラスと一緒にツーリングをしてもほとんど遅れを取らないはずだ。免許を取り立てのライダーのデビューバイクとしても、熟練のライダーのセカンドバイクとしても見逃せない一台と言えるだろう。

ヤマハ YZF-R15 詳細写真

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兄弟モデルと同じく、MotoGPマシンであるYZR-M1のM字ダクトデザインを採用し、その中心にハイビーム、ロービームの役割を兼ね備えたシングルヘッドライトを搭載。両サイドにはLEDポジションライトを配置している。

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しっかりと肉抜きされたトップブリッジも大排気量のYZF-Rシリーズと共通したもの。トップブリッジ下側にマウントされたハンドルバーはセパレートタイプでスポーティな走りを可能にする。

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メーターにはマルチファンクションLCDメーターを採用し、街乗りやツーリングに最適なストリートモードと、ラップタイムを計測できることからサーキットなどのスポーツ走行に適したトラックモードから選択が可能。シフトアップインジケーターも装備されている。

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エンジンは水冷4ストロークSOHC4バルブ155cc単気筒。ボア×ストロークは58.0×58.7mmのロングストロークで、最高出力は14kW/10,000rpm、最大トルクは14Nm/7,500rpm。

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燃料タンク容量は11L。メーカーが掲げる燃料消費率の国土交通省届出値・定地燃費値は65.7km/L(60km/h・2名乗車時)と高い燃費効率を実現している。

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シートはセパレートタイプで、スポーツライディングに適した体重移動とホールド感を考慮した設計。シート高は815mmと低めなため、ツーリング使用時も疲れづらく、低身長のライダーでも立ちゴケのリスクを軽減。

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思い切りタンクに伏せて全開ストレートのライディングフォームを取ると、まるでレーシングマシンに乗っているかのようなコクピットビューを堪能することができる。

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ステップは純正状態でメインフレームよりも後ろにセットされており、いわゆるバックステップの恩恵を味わえる。前傾姿勢を取っても窮屈さを感じにくく、よりレーシーなライディングフォームを取ることが可能だ。

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タイヤはフロントに100/80-17M/C 52P、リアに140/70-17M/C 66Sサイズを採用。兄貴分のYZF-R25/3に対しフロントはワンサイズ細いが、リアは共通サイズで、クラスを超えた迫力を醸し出している。

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エンジンにはVVA可変バルブタイミング機構を備えることで低中速域での扱いやすいトルク特性を持たせている。リアフェンダーのデカールには誇らしくVVAのロゴがプリントされている。

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サイレンサーは標準的な筒形を採用。大型のヒートガードを装備することで火傷やライディングパンツの焦付きなどを予防している。なお、ホイールカラーは車体のカラーに合わせてブルー、ブラック、ネオンイエローの3色が設定されている。

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モニター下部に表示されるインフォメーションディスプレイの操作は、右スイッチボックスに設置された「TRIP/INFO」ボタンで行う。トラックモードへの切り替えや、トラクションコントロールのON/OFFなど様々な操作が可能だ。

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リアショックはボトムリンク式のモノショックを採用しており、プリロードの調整が可能だ。タンデムや大きな荷物を積載するツーリングと、スポーツ走行を楽しむサーキットではプリロードを変更することで走りやすさが劇的に変化するので、ぜひ試してみてほしい。

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