新車だから効く!? 足周りのグリスアップ/ホンダ CRF250後編

掲載日:2018年07月06日 メンテナンス    

文/丸山淳大 写真/モトメンテナンス編集部  記事提供/モトメンテナンス編集部
※この記事は『モトメンテナンス vol.109号』に掲載された内容を再編集したものです。

ディスクブレーキ周りにも
要グリスアップ箇所あり

バイクの車体の中でもスムーズに動かしたい箇所は、サスペンションだけではなく、ブレーキ周りにも多い。キャリパーならば、ゴムと金属の摺動部分に主にシリコン系のグリスを塗布しておくことで、制動がスムーズになると共に引きずりの予防にもなる。

ブレーキパッドの裏面バックプレートには制振して鳴き止めするためのグリスを塗布しておきたい。そして、レバー、ペダルのピボット部のグリスが切れると動きが悪くなるのは間違いないので、定期的にグリスアップしておこう。

ただしブレーキのグリスアップ時は、油分を制動面に絶対に付着させないようにしたい。言うまでも無く、ブレーキが効かなくなって大変危険だ。作業後は念のため、パッドの摩擦材とブレーキローターをパーツクリーナーで脱脂洗浄しておきたい。

HONDA CRF250L

チェーンアジャストボルトは固着しやすい箇所の代表格。スイングアームに折れ残ると最悪なので、事前にグリスアップしておこう。銅ベースのコパスリップは焼きつき防止効果が非常に高い。

ホイールカラーとホイール側ダストシールも作動抵抗になりやすいので、グリスアップしておく。このグリスはホイール組み付け時のカラー脱落防止接着剤としての役目も果たす。

アクスルナットの座面にもグリスを塗っておくとトルクを安定させると同時に、締め付け座側の磨耗を防ぐことができる。特に高トルクがかかるナットは必ずグリスアップしたい。供回りしにくくなる。

リアブレーキペダルピボットにはグリス溜まりの溝ができていたが、グリス分は明らかに不足気味。この先作動が重くなっていくのは明らかだったので、しっかりとグリスアップしておいた。

オフモデルだけに、ピボット部にはしっかりとダストシールが付いていた。こういった細部までしっかり気が配られているのは国内メーカー車ならでは。シール内側に薄くグリスを塗布して組み付ける。

オフロード車はリアタイヤを外さなければブレーキキャリパーが単品にならない機種も多い。CRF250Lもこのタイプだったので、リア周りの分解を機会にグリスアップなどを行なった。

ブレーキパッドを外してみると、グリスやシムなどの鳴き止め処理が行なわれていないようだ。このままでも効きにはまったく影響がないが、ブレーキ制動時に鳴きが発生する可能性がある。

摩擦材の面取り処理も行なわれていなかったため、ヤスリで面を落としておいた。バリがブレーキの鳴きの原因になったり、摩擦材の割れや欠けの原因となるためしっかりと処理をしておきたい。

バックプレートにパッドグリスを塗布することで制振し、鳴きを防止する。今回はデイトナのスプレー式鳴き止め剤を使用した。手を汚すことなくスムーズに作業することができる。

パッドピンの磨耗や錆もブレーキの機能に悪影響を与えるがグリスアップで長寿命化が望める。粘度が高く耐熱性にすぐれたコパスリップを使用した。塗りすぎると飛び散って非常に危険なので注意!!

ブレーキピストンとシールの摩擦抵抗で作動に影響が出るため、ピストンを露出させてスプレー式のラバーシール組み付け剤を塗布しておく。新車なので、ピストンは手で戻るはずだ。

ピンスライド式は、ピン部分の潤滑にも気を配りたい。ここは金属対金属の潤滑がほとんどなので、リチウムやウレア系グリスをピンの部分に詰め込んでおこう。はみ出た分は拭き取っておく。

フロントフォークインナーチューブにもラバーシール組み付け剤を塗布しておく。このスプレーはゴム部品の潤滑性向上に驚くほど効果があるので、サスペンションの動きが格段に良くなる。

倒立フォークはアウターチューブを締め付けて固定しているため、締め付けトルクがフォークの動きに大きく影響する。一度上下のブラケットを緩めて、ボルトにグリスを塗布する。

ブラケットのボルトを規定トルク32N・mで締め付ける。上下ともに規定トルクは一緒だ。締め過ぎるとアウターチューブが変形するのでフォークの動きが悪くなるので、倒立フォークほどトルク管理は重要。

インナチューブをグリスアップし、上下のブラケットを適正トルクで締め直すことで、フォークの動きは顕著に良くなった。新車でなくともこの作業は効果的。今一度トルク管理を徹底したい。

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