【Page6】METZELER Roadtec Z6 Interact

掲載日:2010年02月22日 特集記事タイヤ最前線!    

記事提供/2009年12月1日発行 月刊ロードライダー 12月号
■Photo/富樫秀明 ■Text/中村友彦
■取材協力/ピレリジャパン株式会社 103-5418-6500 営/9~18時 休/日祝

主力タイヤメーカーに聞く、今イチ押しのタイヤ

MAKERS' CHOICE

かつての日本ではツアラーイメージが強く、スポーツ指向ユーザーのターゲットになりにくかったメッツラーだが、スチールベルトの技術を会得した上で数々の最新技術をモノにした昨今、スポーツ系でも人気は着実に高まってきた。

スチールベルトで前後方向の
しなやかさも作り出す万能タイヤ

'80年代中盤以降、ピレリグループに属するメッツラーだが、その開発姿勢は変わらず、最も重視するのは落ち着いたハンドリングを含めたツーリングでの安定感。もっとも、サーキットランを前提としたレーステックK1/2/3や運動性を徹底追及したスポルテックM3が市場で高評価を得ている今、メッツラー=ツーリング、ピレリ=レースという選択をするという図式は必ずしも正解ではなくなってきている。

「確かにそういう傾向はありますね。実際、レーステックはピレリのディアブロ・スーパーコルサに勝るとも劣らない実力を持っているし、スポルテックM3の運動性は公道用ハイグリップラジアルではかなりの上位にくると思います。ただ、どんなタイヤを作るときでもメッツラーの技術者は、落ち着いたハンドリングっていうのを念頭に置いているんです。落ち着きつつも十分以上の戦闘力をという感じで」(ピレリジャパン株式会社・加藤さん/矢野さん)

そんなメッツラーが'09年に発売したロードテックZ6インタラクトは、ある意味では同社の真骨頂と言えるスポーツ&ツーリングタイヤ。トレッドコンパウンドのセンター部をハード、ショルダー部をソフトな設定とし、両者の継ぎ目をグラデーション状として特性変化を穏やかにしたNMC(ノンステップ・ミクスチュア・コンパウンド)と、スチールベルトの間隔や張力を自在に変化させるMMW(メッツラー・マルチ・ワインディング)のふたつからなるインタラクトテクノロジーを軸にしている。同時期に登場したレーステックもこれを軸にしつつ、違う性格を作り込んでいる。

「スチールベルトに関しては、おそらく、メッツラーとピレリは世界一の技術を持っていると思いますよ。表面のコンパウンドに依存するのではなく、中のベルトの張り方で理想の剛性や接地感を作り出すことができる。だから走行中にコンパウンドに依存できなくなったとき、リヤホイールが空転したりスライドしたりといった状況下でのコントロール性が素晴らしいんです。一方のNMCはメッツラー独自の技術。ひとつのタイヤに複数のコンパウンドを用いる手法は今のラジアルタイヤのトレンドですが、メッツラーの場合はセンターとショルダー部に異なる特性を与え、両者がいきなり切り替わるのではなく、継ぎ目なく徐々に硬さが変わっていくんです。これは自然な乗車フィーリングを重視した結果ですね」

基本的なスチールベルトの技術とノウハウを共有しながら、独自の方向性を持った開発を続けるメッツラーとピレリ。ツーリング、レースという従来の得意分野からそれぞれ踏み出て、同じカテゴリー内でもお互いの持っていない特質を狙ったタイヤ作りが行われているのだ。

 

トレッドパターンは既存のロードテックZ6と同様ながら、レーステックシリーズで培った技術を転用して開発されたインタラクトは、あらゆる状況を想定して生まれた万能スポーツ&ツーリングタイヤ。特性の異なる2種のコンパウンドを用いずに、トレッド部位ごとに硬さの異なるコンパウンドを配置したNMCはメッツラー独自の技術だ。

矢野真也さん

ピレリジャパン株式会社 関西エリア営業担当 2輪車タイヤ部門。「メッツラーの魅力は落ち着いたハンドリング。その思想はスポーツ&ツーリングタイヤのZ6だけではなく、レーステックやスポルテックM3にも受け継がれています」

メッツラーのラジアルタイヤの中で最も競技指向の強いレーステックには、サーキット専用のK1(ソフト)/K2(ミディアム)と、公道走行にも対応するK3があり、これは“つぶして走れる”ライダーに向いた1本。フロント:120/70-17、リヤ:180/55-17、190/55-17というサイズはK1/K2/K3共通だが、K3のみ190/50-17も用意。

単なる剛性部材と思われることもあるスチールベルトだが、メッツラーではベルトの張り方を自在に変化させることで、理想の接地感やバランスを作り出している。

上はNMC(ノンステップ・ミクスチュア・コンパウンド)の概念図。車体をバンクさせていく過程で、ある一線を超えたら突然ソフトになるのではなく、徐々にハード→ソフトに切り替わっていく。右はMMW(メッツラー・マルチ・ワインディング)の解説図。ベルトの太さや配置(並び幅など)に加えて複数線の縒りで構成されるベルト自体の巻きの強弱を調整することで、横向き=寝かせた状態だけでなく縦=立ち上がり時等タイヤ全体の剛性を無段階かつ自在に変化させている。この複合が“インタラクト技術だ”。

METZELER Roadtec Z6 Interact サイズ表

フロント

リム径 タイヤサイズ タイプ 標準リム幅 許容リム幅(inch)
17inch 120/60 ZR17 MC (55W) TL    
  120/70 ZR17 MC (58W) TL 3.50 3.00-3.50
  120/70 ZR17 MC (58W) TL(G) 3.50 3.00-3.75
18inch 110/80 ZR18 MC (58W) TL    
  120/70 ZR18 MC (59W) TL    

 

リヤ

リム径 タイヤサイズ タイプ 標準リム幅 許容リム幅(inch)
17inch 150/70 ZR17 MC (69W) TL    
  160/60 ZR17 MC (69W) TL 4.50 4.25-5.00
  160/70 ZR17 MC (73W) TL    
  170/60 ZR17 MC (72W) TL 4.50 4.25-5.00
  180/55 ZR17 MC (73W) TL 5.50 5.00-5.50
  180/55 ZR17 MC (73W) TL(C) 5.50 5.00-5.50
  190/50 ZR17 MC (73W) TL 6.00 5.50-6.00
18inch 160/60 ZR18 MC (70W) TL    

 

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