【Page4】DUNLOP Qualifier II

掲載日:2010年02月22日 特集記事タイヤ最前線!    

記事提供/2009年12月1日発行 月刊ロードライダー 12月号
■Photo/柴田直行 ■Text/編集部
■取材協力/ダンロップファルケンタイヤ株式会社 70120-39-2788(タイヤお客様相談室 受付=平日[月~金]9~12時および13~17時)

主力タイヤメーカーに聞く、今イチ押しのタイヤ

MAKERS' CHOICE

TT100GPやK300GPといったスポーツバイアスではトレッドパターンで、ライディーンは初期市販ラジアルの中軸となるなど、印象に残るタイヤを輩出してきたダンロップ。老舗ならではの幅広いユーザー層への今の答えは、あくまでも自然なフィーリングを意識した作り込みだった。

 

バイクがどうやって曲がるかを軸に考えてバランスを取り
自然なフィーリングを作り出した

カタログの掲載順がお勧め順と言っていいでしょう。そんな吉木さんの言葉に沿ってダンロップの'09カタログを見ると、オンロード向けラジアルのスポーツマックスシリーズは、まずスポーツのクオリファイヤーII、次いでサーキット走行会も見込んだGPRα-11と10(両者の差異は現在では排気量)。そしてスポーツツーリングのロードスマート、オールラウンドツーリングのGPR-200という順。さらにST600などレース向けのGP/GPアンビートゥンも顔を揃える。

GP/GPアンビートゥン以外で共通した特徴を吉木さんは“乗りやすさ”だという。これまで本誌を含めて気になっていた“つぶし”を気にせずに、自然に乗れる。これが今のタイヤの特徴というわけだ。その軸になっているのは、自然なフィーリング。例えば開発テストでのハイグリップが必ずしも一般ユーザーに合うものでもなく、グリップが高いことで生まれる、グイグイと内向性を持ってコーナリングしていくような特性が、逆に一般には、切れ込んでいくと感じられて嫌がられることもある。その場合はグリップ力を確保した上で、バランスを取っていく。もちろんダンロップでも今のラジアルタイヤを象徴する多くの技術を持ち、駆使している。ただ、そのバランスを最重要視するがために、どの技術が主になって特徴を作るという形での語られ方がされていないのだ。

クオリファイヤーIIも、センターとショルダーに異なるコンパウンドを使うMT=マルチプル・トレッド構造やスチールコードを周方向に巻き付けるベルトのFS-JLB構造は当然。JLB構造ではスチールコードを従前より多く縒り集めるHES-JLB(スチールコードは元々1本ではなく、複数を撚って構成。この撚りによって強さが出てバンク時の接地感やグリップ力が向上するし、スチールの特性上、発熱が繊維よりも早い。つまり、暖まりがいい)構造に発展していたり、CTCS=カーカステンションコントロールという、ベルトの張力分布も適正化する(これまではカーカスでの調整が主)手法も採り入れられている。

素材もラバーだけでなく、前述のスチールコード、各種繊維にシリカ(Si系素材で、C=カーボンの代わりにゴム分子の補強に使う。シリカ配合はカーボン配合に比べ、低温時(気温が低い時、雨天時)の柔軟性が高いため路面追従が良くグリップする。低温時からの暖まりは早いが、レースでの限界グリップのような大きな力が加わった時にちぎれやすく元に戻らないため、この分野には使われにくい)といった現代標準はいずれも使われている。

フロントはJLBでなく通常のベルト+クロスカーカス構造を使うが、これもそれぞれのタイヤがメインで使われるシチュエーションに合わせてチューニングしてのこと。同じサイズであってもパターン/トレッドゴムだけが違うのではなくケースやブレーカーの材料や構造も異なる。使用条件に合わせて細かくチューニングして自然なフィーリングを目指しているわけだ。昨今のニュータイヤ続出の中でもダンロップ、というユーザーやショップが少なくないのは、この自然なフィーリングを好んでのことだ。

「基本的に今あるタイヤでダメなもの、というのはほぼないと思います。その中で、よりグリップがいいとか乗りやすいとかという形での選択になっています。GPR-200でも十分なんだけど、ワインディングでバンクした時にタイヤがグリップしてくれるのなら、十分な保険になる。そんな考えでクオリファイヤー?を履いて下さる方も増えました。GPR-200でリプレイスの良さがお楽しみいただけたら、ロードスマートやクオリファイヤーIIも試してみていただきたいですし、α-11だと使えるかどうか分からないという方にも、先に試してもらうといいですね。

あとはタイヤの基本ですが、メーカーの指定空気圧を守って使ってほしいです。今のタイヤは10kmも走れば空気圧は変わりますから、測定は走る前の冷間時に。その意味でも暖まりは早いんです」と吉木さん

グリップも持ちも、タイヤの魅力的な要素。その上で、ドライから雨天、街中からワインディングと変わっていく条件の中でも安定した自然なフィーリングのままで走り続けたいのなら、クォリファイヤーIIは選択の筆頭に挙げていいだろう。

 

2004年にシングルコンパウンドの通常モデル、パイロットパワーがデビューし、'06年に2CT仕様を発売。毎年のように新製品が投入されるスポーツ指向のラジアルタイヤの中で、異例と言えるほどの長寿を誇っている=支持されているミシュランの定番モデル。まずは、というときのベンチマークになっている1本、との説もある。

吉木弘之さん

自身もBMW K1200Rでいろいろなタイヤを履き替えて楽しんでいるというダンロップファルケンタイヤ株式会社 消費財部MCグループの吉木弘之さんが対応くださった。安心(=楽しく)して使える、が今の主眼だそう。

今春登場のGPR-200は、中~大排気量車用にサイズ設定を充実。構造やトレッドパターンに今のタイヤの基本を織り込んで耐久性と乗りやすさを重視し、通勤・通学・商用を主にたまに1泊程度のツーリングというライダー向けに発売。その層に厚く支持されているという。ここからロードスマート等への乗り換えも期待したい1本、と

 

“ダンロップ・ツーリングステーション”は'08年から実施しているツーリングイベントで、ダンロップタイヤの情報発信基地として、またツーリング途中の休憩や仲間との待ち合わせ場所として、ライダーのコミュニケーションスポットとして開催されている。

 

クオリファイヤーIIの内部。上がリヤで、トレッドラバーの下に見えるのはベルトという補強材。ダンロップでは細いスチール(鉄)線を撚ったものをさらに数本撚って、ラバーコートしたものを周方向に巻き付けている。しなやかさや暖まりの良さに貢献。下はフロントで、複数のカーカスを貼り合わせているのが分かる。

 

クオリファイヤーIIはスチール・ジョイントレスベルト構造と、マルチプルトレッド構造とをリヤのみに採用。スチールベルトはしなやかさや暖まりの良さに貢献。

ダンロップでもレース活動は実験の場で、ここからのフィードバックはやはり大きい、と捉える。同社タイヤの供給を受けた全日本JSB1000のYSPレーシングチーム/YZF-R1+中須賀克行選手(写真は'09年の第5戦・岡山)は'08年チャンピオン。

 

DUNLOP SPORTMAX Qualifier II サイズ表

フロント

リム径 タイヤサイズ タイプ 許容リム幅(inch)
16inch 130/70 ZR16 MC (61W) TL 3.50-4.00
17inch 120/70 ZR17 MC (58W) TL 3.00-3.50
  120/65 ZR17 MC (56W)※ TL 3.50-3.75 ※Qualifierのみ
  120/60 ZR17 MC (55W) TL 3.00-3.50

 

リヤ

リム径 タイヤサイズ タイプ 許容リム幅(inch)
17inch 160/60 ZR17 MC (69W) TL 4.50-5.00
  170/60 ZR17 MC (72W) TL 4.50-5.50
  180/55 ZR17 MC (73W) TL 5.50-6.00
  190/55 ZR17 MC (75W) TL 5.50-6.00
  190/50 ZR17 MC (73W) TL 5.50-6.00
  200/50 ZR17 MC (75W) TL 6.00-6.50

 

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