【Page2】BRIDGSTONE BT-016ハイパースポーツ

掲載日:2010年02月22日 特集記事タイヤ最前線!    

記事提供/2009年12月1日発行 月刊ロードライダー 12月号
■Photo/富樫秀明 ■Text/中村友彦
■取材協力/株式会社ブリヂストン 70120-39-2936(お客様相談室 祝日を除く月~金の9~17時)

主力タイヤメーカーに聞く、今イチ押しのタイヤ

MAKERS' CHOICE

ブリヂストンは2輪と4輪の最高峰レース、モトGPとF1にタイヤを供給する世界で唯一のメーカー。当然同社の製品にはレース技術のフィードバックが窺えるが、その一方で、開発陣は速さやグリップ力だけでなく、一般公道での理想の特性を追求し続けている。今のイチ押しは……。

 

モトGP譲りのハイグリップを普通に使っても堪能できる
そのためのベストセレクト・ワン

モトGPでは強豪ミシュランを破った後に'09年からオフィシャルタイヤサプライヤーとなり、鈴鹿8耐では'07~'09年を3連覇など、いろいろな意味で磐石の地位を築きつつあるブリヂストン。そんな同社の主力公道用ラジアルタイヤは、BT-003ストリート、BT-016、BT-021、BT-020の4種で、数字がひと桁の製品はサーキットを視野に入れたハイエンドモデル、10代はスーパースポーツ、20代はスポーツ&ツーリングという見方が、分かりやすいだろうか。

「実は021は020の後継として開発したんですが、020には熱烈な愛好者がたくさんいらっしゃる上に対応サイズが幅広いので、現状では併売としているんです。016は運動性を重視しながらウエット性能や耐摩耗性にも配慮した公道用スーパースポーツ、003ストリートはドライコンディションでのグリップを徹底追求したハイエンドモデル、という位置づけですね」(株式会社ブリヂストン・谷口さん。以下同)

この話を聞くとスポーツ指向のユーザーの興味はすぐさま003ストリートに向きそうだが、谷口さんは003ストリートをあらゆるユーザーにオススメするというつもりはないと言う。その背景にあるのは、ウエット性能と耐摩耗性。003ストリートの脅威のグリップ力は、そういった要素を少なからず犠牲にしたうえで達成されたものなのだ。

「逆に見れば、016のグリップ力に不満を感じる人は、そうはいないと思いますよ。刻一刻と状況が変化していく一般公道を普通のライダーが走るなら、003ストリートより016のほうが安全に楽に、速く走れます。と言っても、開発に携わった身としては、003ストリートで初採用のウルトラクションコンパウンド(前後ともショルダー部のみに使用)を、多くの人に体感してほしい。だから、まずは016を履いて、例えばサーキットや峠道を走って何らかの不足を感じたら、そこで初めて003ストリートを試してほしいというのが本音ですね」

003ストリートと016にはブリヂストンが先鞭を付けた分割トレッドが投入されているが、不思議に思えるのはその構成。003ストリートが全前後とも3LC(Layer Compound)を採用しているのに対し、016は前輪が3LCで後輪が5LC。そしてサーキット専用の003レーシングは、前後ともシングルコンパウンドなのだ。

「分割トレッドを初めて量産化した私たちがこう言うのも何ですが、タイヤの性能はトレッド面のコンパウンドだけで語れるものではないんですよ。カーカスの配置やスチールベルトの張り方など、内部構造と合わせてトータルで考える必要がある。そうやっていろいろな要素を考慮した結果、003ストリートの場合は3LC、016は3LC/5LC、003レーシングはシングルで、理想の特性が獲得できた。分割トレッドはあくまでも手法のひとつで、それを前提にタイヤ設計しているわけではないんです」

 

絶対的なグリップ力でこそ'09年最新作のBT-003ストリートに譲るものの、一般公道での多様なシチュエーションを考慮して開発されたBT-016は、現在のBSの開発姿勢が最も体感しやすいハイグリップ・ラジアル。リヤに採用された5LC=5分割トレッドは(フロントは3分割)、世界で唯一、ブリヂストンのみが採用している革新的な技術だ。

谷口大介さん

株式会社ブリヂストン MC・MSタイヤ事業部 企画・リプレイス販売ユニット。「タイヤに何を求めるかは乗り手や車両によりますが、現行モデルならば主力タイヤのBT-003ストリート、016、021、020のいずれかが必ずフィットすると思います」

現在の同社の主力ラジアルで016/020/021は、車両メーカーに純正品として納入されてもいる。リプレイス品と性能は違うのだろうか。
「見た目は同じでも内部構造やコンパウンドは異なるケースがほとんどですね。リプレイス品は私たちの意思が100%反映されていますが、純正納入品は車両メーカーの指示に従って開発しています。どちらがいい悪いと言えるものではないですが、同じ銘柄同士で比較するのは、意外に面白い遊びだと思いますよ」

 

モトGPで'07年のドゥカティ+ケーシー・ストーナー、'08年のヤマハ+バレンティーノ・ロッシのチャンピオン獲得を支えたブリヂストンは、'09年(写真)からはオフィシャルサプライヤーとして全チームにタイヤを供給。

BT-003ストリートの位置づけが分かるポジション図。レース用と差別化を図るためにストリートの名が与えられているものの、このタイヤはドライ路面のサーキットで最も真価を発揮するのだ。

 

前後とも3LC構造のBT-003ストリート。センター部は耐摩耗性を考慮して硬めのコンパウンド、ショルダー部には抜群のグリップ力を発揮するウルトラクションコンパウンドが採用される。

フロントを3LC、リヤを5LCとしたBT-016。5分割構造はモトGPで既にテストされていた技術だが、016では単なるグリップ力ではなく、スムーズな乗り味と磨耗特性を考慮し採用。

 

現在のブリジストンの主力となる4種のラジアルタイヤ。下段に並んだグリップとライフの星の数を見れば、各製品の特徴がよく分かるだろう。ここにサーキット専用のBT-003レーシングを加えるとしたら、星の数は、グリップが6、ライフが3となりそうだ。

 

BRIDGESTONE BT-016 HYPERSPORT サイズ表

フロント

リム径 タイヤサイズ タイプ 標準リム幅 許容リム幅(inch) 外径 トレッド幅
16inch 130/70 ZR16 M/C (61W) TL 3.50 3.50-4.00 591 128(mm)
17inch 110/70 ZR17 M/C (54W) TL 3.00 2.75-3.50 592 111
120/70 ZR17 M/C (58W) TL 3.50 3.00-3.50 602 120
120/60 ZR17 M/C (55W) TL 3.50 3.00-3.50 581 117
18inch 110/80 ZR18 M/C (58W) TL 2.50 2.50-3.00 635 108

 

リヤ

リム径 タイヤサイズ タイプ 標準リム幅 許容リム幅(inch) 外径 トレッド幅
16inch 130/70 ZR16 M/C (61W) TL 3.50 3.50-4.00 591 128(mm)
160/60 ZR17 M/C (69W) TL 4.50 4.50-5.00 633 164
170/60 ZR17 M/C (72W) TL 5.50 4.50-5.50 637 173
180/55 ZR17 M/C (73W) TL 5.50 5.50-6.00 630 184
190/50 ZR17 M/C (73W) TL 6.00 5.50-6.00 632 193
190/55 ZR17 M/C (75W) TL 6.00 5.50-6.00 650 195
18inch 150/70 ZR18 M/C (70W) TL 4.00 4.00-4.50 666 152
160/60 ZR18 M/C (70W) TL 4.50 4.50-5.00 647 160

 

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