スズキ GSX-S750ABS

GSX-S750ABS
SUZUKI

ストリートを楽しむオールラウンダーGSX-S750ABSをインプレッション

掲載日:2017年09月06日 試乗インプレ・レビュー    

試乗ライダー・レポート/中村友彦  写真/渕本智信  記事提供/ロードライダー編集部

守備範囲が広いスポーツバイクであることは、先代のGSR750と同様。とはいえ、外装の刷新と各部の緻密な熟成が行われたGSX-S750は先代とは一線を画す、あらゆる面で上質さが感じられるモデルへと変貌した。

パワーに勝る兄貴分より
ストリートが楽しめる

GSX-S1000の好調なセールスを背景に、GSR750も同シリーズのラインナップに並ぶ、フェイスリフトを行った……。ここで紹介するGSX-S750は、一般ライダーの目線で捉らえればそんな発想で作られたと思うし、外観からその発想は見事に具現化されてもいる。だが、今回の試乗でGSX-S750を体感した僕は、このモデルが単なるGSRからの着せ替え仕様ではないことを、まずは皆さんに力説したい!そんな気分になっているのだ。

スズキ GSX-S750ABSの試乗インプレッション

GSX-S750の美点に関して、僕が最初に力説したいのは、質感の向上である。先代のGSRは細部を見ていくと、コストの制約が厳しかったのだろうか……と感じるパーツがいくつか存在したが、GSX-S750にはそういった気配がほぼ皆無。中でも、新作のスイングアームとホイールはなかなかスタイリッシュで、よくぞここまでの作り込みを行ったと思う。

続いて力説したいポイントは、乗り心地の向上と接地感の増大だ。別にGSRに問題があったわけではないが、ディメンションの調整や前後ショックの見直し、ブリヂストンS21の導入などが行われたGSX-S750は、足まわりの動きが明らかに1ランク上。その上、ABSと新規導入したトラクションコントロールの作動感も実に自然で、GSRを基準に考えるなら、GSX-S750の乗り味はメーカーチューニングのお手本と言いたくなる感触なのである。

スズキ GSX-S750ABSの試乗インプレッション

先代のGSR750がB-KINGの発展型と言えるデザインだったのに対して、今回のGSX-S750の外装パーツは、兄貴分に当たるGSX-S1000と共通のイメージとなった。なおスチール製ツインスパーフレームとGSX-R750用をベースとする並列4気筒エンジンは、GSR750の基本構成を踏襲するものだ。

さらに言えば、6psの出力向上を実現する(106から112ps)と同時に扱いやすさを増したパワーユニットだ。その出力向上に関しては、開発ベースのGSX-R750が150psを発揮していたことを考えれば、驚くことではないだろう。だが、クランクケース内にベンチレーションホールを追加し、吸排気系の刷新を行ったGSX-S750は、パワーデリバリーがスムーズになっただけではなく、高回転域での振動が大幅に低減されている。この変化は、ツーリングでもスポーツライディングでも、大きなメリットと感じられた。

スズキ GSX-S750ABSの試乗インプレッション

初めての道でも臆することなく気軽にスポーツライディングが楽しめるのが、GSX-S750ならではの魅力だろう。シチュエーションによっては、パワーに勝るGSX-S1000やGSX-Rシリーズをカモることも不可能ではない?!

さて、初っ端から部分的な話を続けてしまったが、GSX-S750の基本的なキャラクターは、先代のGSRと同様、オールラウンドに使えるスポーツバイクである。ただ、GSRと比較すると、GSX-S750は主にスポーツ性に磨きがかけられていて、その一方でまったり走らせると、ちょっとしたストレスを感じることがあった。この特性をどう捉らえるかは人それぞれだが、ナナハン並列4気筒ならではのスポーツ性を重視したスズキの姿勢に、異論を述べる人など、ほとんどいないと思う。

実際にGSX-S750の購入検討時に、悩みの種になりそうなのは、+16万2,000円で購入できるGSX-S1000の存在だ。車格と車重がほぼ同じで、パワーが36ps多いことを考えれば、兄貴分にグラッと来る人が多いのかもしれない。とはいえ、常に一寸先は闇のストリートで、エンジンをきっちり回してスポーツライディングが満喫できるのは、実はナナハンの弟分の方なのである。

GSX-S750の詳細写真は次のページにて

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