スズキ GSX-S1000F ABS – 甲乙が付けられない2台のGSX-S 試乗インプレ・レビュー

スズキ GSX-S1000F ABS
スズキ GSX-S1000F ABS

スズキ GSX-S1000F ABS – 甲乙が付けられない2台のGSX-S

掲載日:2015年09月03日 記事カテゴリ 試乗インプレ・レビュー   

レポート/中村 友彦  写真/吉見 雅幸  記事提供/ロードライダー編集部
※この記事はカスタムNo.1マガジン『ロードライダー』の人気企画『New Model Impression』を再編集したものです

世の中にはリッタースーパースポーツでツーリングを楽しむライダーが数多く存在する。そんなライダーにとって、スズキの新作、GSX-S1000Fは最高の相棒となる資質を備えていた。

甲乙が付けられない
2台のGSX-S

GSX-S1000Fのインプレを書くにあたって、2015年9月号に掲載された和歌山利宏さんのGSX-S1000の試乗記事を改めて読み返してみたら、僕の感想とほとんど同じことが書かれていた。ん? この表現だと僕が和歌山さんと同じスキルを持っているかのようだが、もちろん、そういうわけではまったくない。とはいえ、GSX-R1000のネイキッド仕様として開発されたGSX-S1000に、僕が和歌山さんと同じく“スーパースポーツの技術を還元したストリートバイクとして、理想的と言いたくなる乗り味が備わっている”という印象を抱いたのは事実で、この言葉は今回試乗したフルカウル仕様のFにも、そのまま当てはまる。だからGSX-Sの詳細を知りたい方は 和歌山さん原稿 を読んでいただくのが手っ取り早いのだが、そうすると僕の存在意義がなくなるので、以下ではネイキッドとフルカウル仕様の違い、Fを約400kmのロングツーリングに使った際の印象を述べたいと思う。

まずはネイキッドとフルカウル仕様の違いだが、GSX-Sの場合、乗り味に大差はない…と言っていい気がする。もっとも、ネイキッドを基準に考えるなら、フルカウルのFは車重が+5kgの214kgになっていて、前後ショックはフルカウルの空力と車重の増加を考慮した設定に変更されているので、傾向としては安定性重視と言えなくもないのだけれど、GSX-R譲りの軽快かつ忠実なハンドリングが味わえる点は、2台のGSX-Sに共通する要素。

ちなみに、僕がそう感じた背景には、市場でGSX-S1000/FのライバルになりそうなカワサキZ1000/ニンジャ1000が、基本設計のほとんどを共有しながら、まったく異なる乗り味に仕上げられている、という事実があるのかもしれない(ニンジャ1000が万能性を重視したスポーツツアラーであるのに対して、Z1000はやんちゃなストリートファイター)。この件に関してはどちらが正解とは言えないが、GSX-Rの遺伝子に水を差したくなかったスズキとしては、あえて手堅い手法を選択したのだろう。ただし、出荷状態では実直なGSX-Sも、吸排気系や前後ショックなどに手を加えれば、Z1000以上にアグレッシブな特性に変貌を遂げられそうな資質は備わっている。

さて、続いてはFをロングツーリングに使っての話だが、フルカウルを装備するこのモデルは、当然、高速巡航が快適である。防風効果を考えるなら、個人的にはもうちょっとスクリーンがワイドでもいいような気がするけれど、GSX-R譲りの運動性能を維持するためには、スクリーンのサイズは現状が上限だったのだろう。なお一般的なスポーツツアラーと比較した場合、GSX-S1000Fの乗り味は相当にスポーティで、まったり巡航はあまり楽しくないのだが、そういう走りを好むライダーに対して、スズキはバンディット1250Fやハヤブサなどを準備しているのだから、現状の特性に異論を述べるのは野暮だと思う。

もっとも、まったり巡航が少々不得手であっても、GSX-S1000Fには良質なスポーツツアラーと言うべき資質が備わっている。僕が特に感心したのは、尻や足に妙な負担がかからない自然なライディングポジションだった。また、真夏の炎天下でもライダーに過剰な熱気が伝わって来ないことや、出来のいいABSとトラコンが乗り手のミスをさりげなくサポートしてくれることも、長距離走行時には大きな武器になる。惜しむらくは荷物の積載性がいまひとつで、メーカーオプションとしてバッグ類が準備されていないことだが、そのあたりもスズキとしては“あえて”なのかもしれない。

いずれにしてもGSX-S1000/Fの乗り味に大いに感心した僕は、このモデルの登場が契機になって、今後のスポーツネイキッド/スポーツツアラー界の勢力図が変わってくるのではないか、と感じているのだ。

快適性と安定性に配慮した車体設計

フルカウルの装備によって、車重はネイキッド仕様+5kgの214kgになっているものの、スポーツツアラーの常識で考えるなら、今回試乗したGSX-S1000Fは相当な軽量車だろう。カラーリングはネイキッド仕様と同じく、ブルーとブラック×レッドの2色からチョイスできる。

詳細写真

特徴的なサイドカウルには、スーパースポーツで流行中のレイヤー構造が取り入れられている。GSX-R1000K5~8用をベースとするロングストローク指向のエンジン(73.4×59mm。K9以降は74.5×57.3mm)は、カムやピストンなどを刷新し、ストリート向けとして最適な特性を獲得

ブレンボ製ラジアルマウントキャリパー+φ310mmディスクは、ネイキッドのGSX-S1000と共通の装備だが、フォークのセッティングが異なるためか、Fのフロントブレーキは初期タッチがやや甘く感じられた。なお、ショックユニットは前後ともカヤバ製。シンプルな構造のリヤはプリロードと伸び側ダンパーしか調整できないが、φ43mm倒立式のフロントには圧側ダンパーアジャスターも備えられる

スイングアームは現行GSX-R1000(L5)用をそのまま転用。ただしアルミツインスパーフレームや前後ホイールを筆頭とする、その他の主要パーツはすべて専用設計だ

メーターは軽量化に配慮したLCD式。テーパータイプのアルミ製ハンドルはレンサルが手がけたファットバーだ

ガソリンタンクのホールド感とシートの座り心地は実に良好。さらに言うならGSX-Rと共通の形状を採用したステップバーも、なかなかのグリップ力を発揮してくれる

テールカウル内にはETCユニットとちょっとした荷物が収納できるスペースが設置されている。タンデムシート裏に見えるふたつの黒いストラップは格納式荷かけフック

ヘッドライトはマルチリフレクター式で、ポジションランプはLED。バックミラーはネイキッド仕様と同じハンドルマウントで、スクリーンは調整機構を持たない固定式

試乗ライダー プロフィール
中村 友彦
久々に顔マネシリーズを復活させてみたものの、出来栄えはいまひとつ…。強烈な日光に負けずにもっと目を見開いたうえで、鼻筋の通りを強調するべきだったか。悔しいので、今後はフェイスペイントも考慮するべきかもしれない?

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