ヤマハ WR250X 試乗インプレ・レビュー

ヤマハ WR250X
ヤマハ WR250X

ヤマハ WR250X

掲載日:2008年03月18日 記事カテゴリ 試乗インプレ・レビュー

EDレーサーの記号を与えられた
ヤマハ初のスーパーモタード

今回ご紹介するWR250Xには、WR250Rというオフロードモデルの姉妹車が存在する。両車に共通する「WR」という2文字は、これまでヤマハ製エンデューロレーサーに与えられてきたものだ。Wは「Wide」、Rは「Ratio」を意味し、「ギアレシオがワイドになっている」ということを現している。何に対して「ワイド」なのか、それはモトクロスレーサーに対して、である。その関係はモトクロスレーサー YZ250のエンデューロレースバージョンとして生まれた YZ250WRに、明らかな例を見ることができる。その後、WRシリーズとしてWR250Fなどのエンデューロレーサーが生み出されてきた。基本的にはレーサーモデルに用いられてきた「WR」であるからして、ヤマハから新型オフロードモデルの開発がリリースされ、その名称として「WR」が使われることが分かったとき、もしやWR250Fの公道用リーガルモデルの登場か?との憶測を呼んだのもいたしかたのなかったこと。結果としては、まったく新しく開発されたオフロードモデルと、同時開発されたスーパーモタードモデルであったわけだが、この名前によって否応なしに期待が高まってしまった。ヤマハにとっては、自ら越えるべきハードルを高くしたということになる。そして、今回の俎上には、WR250X。同社にとって、初めてのスーパーモタードモデルである。先にトレッキングモデルのセロー250をベースにしたXT250Xがあったものの、ヤマハは同車に「スーパーモタード」という言葉を使っていない。これもレースシーンに由来する「スーパーモタード」という言葉は、WR250Xにこそ使われるべきだと考えたのだろう。

ヤマハ WR250X 特徴

ヤマハ WR250X 写真最高出力は10,000rpmで!
超高回転型エンジンに刮目せよ

いたずらにカタログ上の数値をありがたがるようなことは避けたい。それでも、ボア77.0mm×ストローク53.6mmというビッグボア・ショートストローク型単気筒エンジンが、これまでの同クラスエンジンを上回る23kW(31PS)という最高出力を、毎分10,000回転時に発揮すると知ったならば、そのフィーリングに期待せざるを得ない。そのボア×ストロークがモトクロスレーサー・YZ-Fと同一だというのだから、なおさらである。WR250Xのエンジンは新設計されたもので、レーサーモデルとの関係性はないというが、少なくとも考え方は継承しているのだということが想像できる。

 

また、このクラスの市販オフロード/スーパーモタードモデルとして初めてのフューエルインジェクションを装備したことや、アルミフレームが採用されたことも、技術的なトピック。スタイリングに関しては、従来のオフロード/スーパーモタードモデルから大きく逸脱するものではないが、サイドカバーが存在しない。これには賛否あるだろう。そして、WR250Xにとって重要なことは、このバイクが「オフロードモデルに後付け」されたものではないということ。そもそもスーパーモタードというジャンルが、オフロードモデルに小径のロードタイヤを履かせたものとして生まれたこともあって、他社のモデルでは、「(既存の)オフロードバイク○○のスーパーモタード・バージョン」となるのが常であった。しかし、WR250Xは違う。WR250Rと同時に開発が進められ、共通のものは、互いの必要条件を考慮し採用されているが、エンジン制御系や足まわりなどは、それぞれに専用パーツが搭載されているのだ。

298mmという大径のウェーブディスクに気をとられてしまうが、フロントハブは大胆に肉抜きされ、中空仕様となっている。サス・スプリングから先の軽量化が大切なのは、言い尽くされた言葉であり、真実だ。

ここまで追い込むか。見た目も良

298mmという大径のウェーブディスクに気をとられてしまうが、フロントハブは大胆に肉抜きされ、中空仕様となっている。サス・スプリングから先の軽量化が大切なのは、言い尽くされた言葉であり、真実だ。

フューエルインジェクション搭載は、WR250Xの大きなトピック。デビュー前は、そのことが期待と懸念をもって語られたが、フィーリングの仕上がりはごく自然。走っている間は、このことを意識することはない。

言われれば、そうかと気が付く

フューエルインジェクション搭載は、WR250Xの大きなトピック。デビュー前は、そのことが期待と懸念をもって語られたが、フィーリングの仕上がりはごく自然。走っている間は、このことを意識することはない。

17インチのタイヤを履いていても、870mmのシート高を持つ。身長の低い方には正直つらい。テスターは、163cmで60kg弱。片足がどうにか地面にとどく。だが、とどけばOK。車体が軽いので支えられる。

身長160cmあれば足がとどく

17インチのタイヤを履いていても、870mmのシート高を持つ。身長の低い方には正直つらい。テスターは、163cmで60kg弱。片足がどうにか地面にとどく。だが、とどけばOK。車体が軽いので支えられる。

新設計の水冷4ストDOHC4バルブ単気筒エンジン。11.8:1という高い圧縮比を持つなど、高回転型ハイパワーユニットだ。ラジエターはライダーの右ひざ先のシュラウドにあり、信号停止時など、ほの温かい。

ハイオク指定の高性能エンジン

新設計の水冷4ストDOHC4バルブ単気筒エンジン。11.8:1という高い圧縮比を持つなど、高回転型ハイパワーユニットだ。ラジエターはライダーの右ひざ先のシュラウドにあり、信号停止時など、ほの温かい。

ヤマハ WR250X 試乗インプレッション

とはいえ乗り手は選ばない
たぶん、いつでもどこでも楽しい

ヤマハ WR250X 写真フューエルインジェクションの美点は、始動性が気温などの環境に影響されないことである。身を切るような寒い朝でも、エンジンはセルスイッチのワンプッシュでアイドリングを開始する。試してはいないが、真夏の走行後の再始動でも同じ始動性の良さをみせてくれるだろう。さて、気になるエンジンフィール。アイドリングからしばらくは、単気筒らしいトコトコ感があるが、そのまま速度をのせていくと、あるところからスゥーッと電気モーターのように回りだす。パワーは回転に合わせてどんどんついてくる。ああ、高回転域がおいしいエンジンなのだなぁと理解させられた。気分的にはタコメーターが欲しいところだが、装備するデジタルメーターにその機能はない。

 

ヤマハ WR250X 写真
インプレッション・ステージは、都心から郊外の住宅地。たぶんこのバイクが最も多く使われるシチュエーションであるはずの、いわゆる「街乗り」である。結論からいえば、小気味よく回るエンジンと、扱いやすいブレーキのおかげで、街乗りが楽しくてしかたない。たとえば、交差点にそこそこのスピードで進入し、ひらりと曲がり、また加速していくようなこと。ただの曲がり角ひとつが、たちまちファン・スポットになってしまうのだ。走っていて気になったのは、スタイリッシュなカバーのついたマフラーからの排気音。とはいっても悪い意味ではない。現在の規制にきちんと適合していながら、しっかりと「らしい排気音」を持っている。うるさすぎず、静かすぎて拍子抜けすることもなく、ライダーの気持ちの高ぶりが排気音にも反映されているかのようだ。高性能なバイクではあるが、WR250X、日常のシチュエーションでのファン度も高い。

ヤマハ WR250X こんな方にオススメ

図抜けた性能を持つからこそ
所有することにさえ、満足できる

実をいうと撮影車両は、僕個人が所有するものである。このバイクは自分にこそオススメしたいと思い、発売後すぐに購入した。謙遜ではなく、僕の運転技量は高くない。WR250Xの持つポテンシャルを使い切るなど、夢のまた夢に違いない。もちろん、これを駆ってレースに参戦しようなどともゆめゆめ思わない。だが、WR250Xを買うことに躊躇はなかった。常々スーパーモタードモデルのスリムなデザインと取りまわしのよさを好ましく思っていたこともあるが、新しいエンジンと新しいシャシー、もったいないほどの装備を与えられたバイクだというのが気に入った。バイクはもはや趣味の持ち物だ。ならば、持つことにも喜びがなければ。

ヤマハ WR250X総合評価

これは時代をつくるバイク
だからこそ、いま乗るべきだ

WR250Rと WR250Xは、このクラスで初めてフューエルインジェクションを搭載した、久しぶりのブランニュー・オフロード/スーパーモタードモデルだ。装備的にも、価格的にも、同クラスの既存モデルを大きく凌駕している。もちろん性能レベルも。ここまで進化の針を進めたことで、おそらくエポックメイキングなモデルになると思われる。だからこそ、この先に登場するであろう他社の「WR250R/X・イーター」モデルたちとの比較は避けられない。時の流れは非情なものだ。私たちメディアは、新しいものの良いところを確認するために、それ以前のもののウィークポイントをあぶり出し、責めなければならなくなる。いまは各メディアが絶賛するWR250R/Xだが、いつかは逆の立場にたたされることもあるかもしれない。だからこそ、WR250R/Xに乗ってもらいたい。現時点で、WR250R/Xがいかに抜け出た存在なのかは、もはや誰もが知るところだ。時代をつくるバイクを、あとから語るのではつまらない。つくられつつある時代、そのときに乗っておくべきなのだ。そして、他社の出す答えを、みんなで待ってみようではないか。

SPECIFICATIONS – YAMAHA WR250X

ヤマハ WR250X 写真

価格(消費税込み) = 73万2,900円

ヤマハのエンデューロレーサーと同じ、WRの名称を持つ、公道用スーパーモタードモデル。ショートストロークの高回転型エンジンにフューエルインジェクションを組み合わせ、アルミフレームに搭載する。

■エンジン = 水冷4ストローク単気筒 249cc

■最高出力 = 31ps/10,000rpm

■最大トルク = 24N・m/8,000rpm


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