掲載日:2008年03月18日 試乗インプレ・レビュー
構成/バイクブロス・マガジンズ編集部
いたずらにカタログ上の数値をありがたがるようなことは避けたい。それでも、ボア77.0mm×ストローク53.6mmというビッグボア・ショートストローク型単気筒エンジンが、これまでの同クラスエンジンを上回る23kW(31PS)という最高出力を、毎分10,000回転時に発揮すると知ったならば、そのフィーリングに期待せざるを得ない。そのボア×ストロークがモトクロスレーサー・YZ-Fと同一だというのだから、なおさらである。WR250Xのエンジンは新設計されたもので、レーサーモデルとの関係性はないというが、少なくとも考え方は継承しているのだということが想像できる。
また、このクラスの市販オフロード/スーパーモタードモデルとして初めてのフューエルインジェクションを装備したことや、アルミフレームが採用されたことも、技術的なトピック。スタイリングに関しては、従来のオフロード/スーパーモタードモデルから大きく逸脱するものではないが、サイドカバーが存在しない。これには賛否あるだろう。そして、WR250Xにとって重要なことは、このバイクが「オフロードモデルに後付け」されたものではないということ。そもそもスーパーモタードというジャンルが、オフロードモデルに小径のロードタイヤを履かせたものとして生まれたこともあって、他社のモデルでは、「(既存の)オフロードバイク○○のスーパーモタード・バージョン」となるのが常であった。しかし、WR250Xは違う。WR250Rと同時に開発が進められ、共通のものは、互いの必要条件を考慮し採用されているが、エンジン制御系や足まわりなどは、それぞれに専用パーツが搭載されているのだ。