ポンコツオフ車再生プロジェクト

【Vol.03】タンクのサビ取り作業でエンジン始動に一歩近づく!

掲載日:2009年02月24日 ポンコツオフ車再生プロジェクト    

ボロボロ&安価になった2ストマシンに手を加え、思いっきりダートを走り倒そう! というのがこのコーナーの提案する2ストマシンの楽しみ方。ガルル編集スタッフのクラモチが所有するカワサキの名車KDX200SRをレストアし、最終的にはなにかしらのレースに出場することを目指す。それが『パンパン2ストリバイバル』なのだ!

再生への道のり

タンクのサビ取り作業でエンジン始動に一歩近づく!

詳細写真89年に発売した当時、レース会場は集まったKDXでグリーン一色だったっていうんですけど…とにかく動かないわけです、うちのKDXさんは。そこでシンプルに考えてみました。バイクが動くために必要なものはなにか。燃料ですよね。ではその燃料はどこから補給されるのか。はい、タンクです。このタンクがサビついてたんじゃ、キャブレターやその先のエンジンにだっていい影響があるわけありません。というわけで、今回はサビ取り作業でタンク・クリーニングです!

まず、タンクに古いガソリンが残っていたら全部外に出して、油分を取り除くため中性洗剤などを使ってタンク内を洗浄します。下準備が整ったら、専用のクリーナーを希釈してしばらく浸けておきます。基本的には、クリーナーが濃いほど洗浄効果が強力なわけで、処理時間も短くなると考えてOK。ときどきタンクをゆすったりしてまんべんなくクリーナーを行き渡らせることで、タンク内全体に効果があらわれますよ。

一定時間経過後、クリーナー洗浄が終わると表面にはサビが浮きあがってきていると思いますので、ガソリンでよくすすぎます。その後、タンクの中をしっかり乾燥させ、新しいガソリンを補給して作業終了です。

サビ取り作業に加えて、フューエルコックとキャブレターのあいだに装着してタンクから先にサビが進入するのを食い止める、ガソリンフィルターといったアイテムを併用することで、より効果的なサビ対策ができるはずですよ。

今回の再生作業

ほかの箇所まで影響を及ぼすタンク内のサビを一斉除去!

タンクを外す。給油口だけでなく底部のフューエルコックも取り外し、タンク内にガソリンが残っている状態にならないように

タンクを外す。給油口だけでなく底部のフューエルコックも取り外し、タンク内にガソリンが残っている状態にならないように

タンクから外したフューエルコック。各部、キャラメル質に固形化したガソリンに覆われて、ガソリンの通路がふさがれている

タンクから外したフューエルコック。各部、キャラメル質に固形化したガソリンに覆われて、ガソリンの通路がふさがれている

当企画ではもうおなじみの“固まったガソリン”。箇所によりけりだが、その硬さは「練り飴以上、固形キャラメル未満」である

当企画ではもうおなじみの“固まったガソリン”。箇所によりけりだが、その硬さは「練り飴以上、固形キャラメル未満」である

中性洗剤などで油分を落とし、クリーナーを染みこませた布を巻き付ける。汚れがやわらかくなったらていねいにこそげ落とす

中性洗剤などで油分を落とし、クリーナーを染みこませた布を巻き付ける。汚れがやわらかくなったらていねいにこそげ落とす

今回使用したのは、『Nicolas フューエルタンクリーナー』(3,675円)。中性タイプで塗装面を傷めるようなこともない

今回使用したのは、『Nicolas フューエルタンクリーナー』(3,675円)。中性タイプで塗装面を傷めるようなこともない

コック取付口に栓をしたら、中性洗剤でタンク内の油分洗浄、60~80℃のお湯で希釈したクリーナーをタンク内にそそぎこむ

コック取付口に栓をしたら、中性洗剤でタンク内の油分洗浄、60~80℃のお湯で希釈したクリーナーをタンク内にそそぎこむ

この製品の場合、5倍希釈で約4時間の処理時間を目安としている。ときどきタンクを軽くゆすったりして反応を促進させる

この製品の場合、5倍希釈で約4時間の処理時間を目安としている。ときどきタンクを軽くゆすったりして反応を促進させる

一定時間経過後、中の液体をバケツに出してみると、サビを落とした洗浄液がまるでミルクティーのような色で流れ出てきた

一定時間経過後、中の液体をバケツに出してみると、サビを落とした洗浄液がまるでミルクティーのような色で流れ出てきた

しばらくすると除去したサビが水面に浮かび上がってくる。サビはさまざまなトラブルの原因になるのでしっかりと処置するのが○

しばらくすると除去したサビが水面に浮かび上がってくる。サビはさまざまなトラブルの原因になるのでしっかりと処置するのが○

給油口からタンク内をのぞいてみると、中の洗浄水をバケツに出す際に、浮き出たサビが手前に移動してきた様子がわかる

給油口からタンク内をのぞいてみると、中の洗浄水をバケツに出す際に、浮き出たサビが手前に移動してきた様子がわかる

洗浄するときに小石やボルトなどの類をタンク内にいっしょに入れて揺するのも、浮いたサビをかき落とすのに有効な手段

洗浄するときに小石やボルトなどの類をタンク内にいっしょに入れて揺するのも、浮いたサビをかき落とすのに有効な手段

サビが出なくなるまで洗浄を繰り返し、仕上げはガソリンで洗浄。中を完全に乾燥させてからガソリンを満たせばOKだ

サビが出なくなるまで洗浄を繰り返し、仕上げはガソリンで洗浄。中を完全に乾燥させてからガソリンを満たせばOKだ

moto AZURE野沢さんに教わるKDX復活の最重要ポイント

不動車再生を試みたときに陥りがちなのが「目につくところすべてに着手していく」というパターン。予算と時間が余るほどある、って場合は別だけど、やっぱりバイクが動かないことにはモチベーションも下がろうってもんです。そこで今回、多くのトラブルマシンを治癒してきた『モト・エジャー』代表の野沢さんに、再生に向けたアドバイスをもらってきました!

当然カナメとなる部分。とはいえ、なかば素人が手を出すにはためらわれる箇所でもある。「始動させる前に開けてみなきゃね」と野沢さんはいうけど…。構造がシンプルな2ストで、エンジンオープンデビュー!?

当然カナメとなる部分。とはいえ、なかば素人が手を出すにはためらわれる箇所でもある。「始動させる前に開けてみなきゃね」と野沢さんはいうけど…。構造がシンプルな2ストで、エンジンオープンデビュー!?

仮にエンジンが順調に動き始めたとしても、その出口であるマフラー部分がトラブルを抱えていては無事に走り出すことができない。焼く、洗浄する、サイレンサーのウールを交換するなど、やるべきことはた~っくさん!

仮にエンジンが順調に動き始めたとしても、その出口であるマフラー部分がトラブルを抱えていては無事に走り出すことができない。焼く、洗浄する、サイレンサーのウールを交換するなど、やるべきことはた~っくさん!

キャブは前回O/Hしてるもんね~。ただ、実はちょぴり不安も…。バラしたはいいけど、組むときに細かなパーツをなくしちゃったかも! なんのためにサービスマニュアル見ながらやったんだか…。要チェックだね

キャブは前回O/Hしてるもんね~。ただ、実はちょぴり不安も…。バラしたはいいけど、組むときに細かなパーツをなくしちゃったかも! なんのためにサービスマニュアル見ながらやったんだか…。要チェックだね

次回予告

「男カワサキ」のKDXをメイクアップしちゃいます!?

エンデューロレーサーKDX200Rの公道バージョンとして1989年に発売されたKDX200SR。水冷2ストロークエンジン・排気デバイスKIPSを装備し、35PSを発揮するパワフルかつ従順なエンジンが当時のオフロードライダーを魅了した。89年の初期型モデルのみ正立フォークを採用しており、リアには現代のモトクロッサーと同じ19インチタイヤを履く。現在、中古市場ではタマ数少なめの稀少車種となっている。
スペック

■エンジン形式 = 水冷2ストローク ピストンリードバルブ単気筒

■ボア×ストローク = 66×58mm

■最大トルク = 3.2kgf・m/7,500rpm

■変速機形式 = 6段リターン

■サイズ(全長×全幅×全高) = 2,175×855×1,225mm

■燃料タンク容量 = 9.5L

■ブレーキ = 油圧式シングルディスク(前後)

■タイヤサイズ = フロント80/100-21 リア100/90-19

■総排気量 = 198cc

■最高出力 = 35PS/8,000rpm

■キャブレター = KEIHIN PE28

■ホイールベース = 1,445mm

■シート高 = 885mm

■乾燥重量 = 107kg

■新車時本体価格 = 38万9,000円

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