ポンコツオフ車再生プロジェクト

【Vol.12】レーシーなタイヤを装着するぞ!

掲載日:2009年12月15日 ポンコツオフ車再生プロジェクト    

ボロボロ&安価になった2ストマシンに手を加え、思いっきりダートを走り倒そう! というのがこのコーナーの提案する2ストマシンの楽しみ方。ガルル編集スタッフのクラモチが所有するカワサキの名車KDX200SRをレストアし、最終的にはなにかしらのレースに出場することを目指す。それが『パンパン2ストリバイバル』なのだ!

再生への道のり

詳細写真はずしたホイールを組み付けつつレースを意識したタイヤも装着

ある日の午後、KDXクンを保管している会社の駐車場(屋内)へ何気なく足を向けると、そこには隅っこに追いやられたライムグリーンのマシンが。「オォ、なんとひどい…」

いまだに抜けきらないその“オンボロとした具合”に、誰もが粗大ゴミと勘違いするようなたたずまい…。ライムグリーンって言ってるし、ゴミの分別は植物と同じになるのかなぁ…ってコラ! ン、待てよ。ひょっとしたらフロントホイールが装着されていない状態だから、そもそも“動くバイク”み見えないのかも。そうとなれば今すぐにでもホイールを取りつけなきゃヤバイ! ベアリングやスペーサーなどの交換部品は、ホイール組みの作業のあとに注文していたので手元にありました。

ちょっと話はそれますが、最近よく編集部員同士で話題に上がるのは「古いバイクでもけっこう純正部品が出るよね」ということ。現在ガルル編集部には、74年型のエルシノア125、80年型のXT250、91年型のDT50など、20~30年近く昔のバイクを所有している物好きが揃っていますが、みんな予想以上にパーツが出てくることに感心。いつしかこちらもそれが当たり前のように感じてくるのですが、そんな時こそ危ない。たったひとつの小さいパーツを欲する時、それが生産中止になっていたという衝撃はアルマゲドンの比ではないのですから。

さて、ホイールを取りつけます。新品のベアリングにはグリスが塗ってありますが、さらにたっぷりグリースを上塗りしておきます。これをハブにはめるわけですが、両者のマージン径がほとんどないので手でグイッ、というわけにはいきません。ベアリングを傷つけないように、ウレタン製やプラスチック製のハンマーで叩き込みます。このとき、インナーレース(内側の輪)を叩くとベアリングにダメージを与えてしまうので、アウターレースを叩きます。交換前に装着されていた古いベアリングが同じ径なので、新品のベアリングと一緒にアクスルシャフトで固定して叩き込むと、うまく入りました。

さらに、タイヤはピレリの「SCORPION XC Mid Hard」を装着。この選択がエンデューロ・ユースでどう生きるのか楽しみ。そのへんはもう少しあとの話。

タイヤをちょっと本格仕様に換えただけなのに「レースを戦うマシン」の風貌となったKDXクン。デビュー戦も近いかな?

今回の再生作業

ホイールベアリングのはめ込みは 古いベアリングを利用すると便利

長いあいだ後輪のみの姿で放置されていたKDXクンはずいぶんご立腹の様子。たぶん、捨てられることに敏感になってるんだろうなぁ。

長いあいだ後輪のみの姿で放置されていたKDXクンはずいぶんご立腹の様子。たぶん、捨てられることに敏感になってるんだろうなぁ。

注文していたパーツも届いたことだし、フロントまわりに着手しますかー。

注文していたパーツも届いたことだし、フロントまわりに着手しますかー。

グリスはホームセンターで購入したもの。新品のベアリングですが、その上からたっぷりグリスアップしておきます。

グリスはホームセンターで購入したもの。新品のベアリングですが、その上からたっぷりグリスアップしておきます。

中のボールが見えなくなるくらいグリスを塗ります。人差し指をハメて動かしてみるとかなり滑らかに回りました

中のボールが見えなくなるくらいグリスを塗ります。人差し指をハメて動かしてみるとかなり滑らかに回りました

ベアリングをハブの穴にあてがってみても、このままではとうてい中に入りそうにありません。そこで…

ベアリングをハブの穴にあてがってみても、このままではとうてい中に入りそうにありません。そこで…

こんな感じでシャフトと古いベアリングを利用するとまっすぐ打ち込めます。東・西・南・北の方向を順に叩きました。

こんな感じでシャフトと古いベアリングを利用するとまっすぐ打ち込めます。東・西・南・北の方向を順に叩きました。

きれいにハマった! 最初はハブの中にはまらずに乗っていたベアリングが、みごとにスポッと入っていきました。

きれいにハマった! 最初はハブの中にはまらずに乗っていたベアリングが、みごとにスポッと入っていきました。

タイヤの装着にはビードクリームではなく固形石けんを使ってみました。すぐに乾いてしまうので、なるべく泡立てたほうがいいみたい。それまで油っぽかった手がソーピーでフローラルな香りになるというメリットも(笑)。

きれいにハマった! 最初はハブの中にはまらずに乗っていたベアリングが、みごとにスポッと入っていきました。

タイヤの装着にはビードクリームではなく固形石けんを使ってみました。すぐに乾いてしまうので、なるべく泡立てたほうがいいみたい。それまで油っぽかった手がソーピーでフローラルな香りになるというメリットも(笑)。

ニップルがチューブを傷つけることを防ぐリムバンドは、ビニールテープなどで替わりにしても可。

ニップルがチューブを傷つけることを防ぐリムバンドは、ビニールテープなどで替わりにしても可。

タイヤを装着したホイールを車体に組み付ける時、視界に赤い物体が…。正体は錆びついたブレーキ・キャリパーでした。当然ここもお手入れが必要になりますね。

タイヤを装着したホイールを車体に組み付ける時、視界に赤い物体が…。正体は錆びついたブレーキ・キャリパーでした。当然ここもお手入れが必要になりますね。

普段はTシャツしか着てこないアイツが、友人の結婚式に白いシャツを羽織ったという印象(?)。走ってナンボ、走ってナンボ。

普段はTシャツしか着てこないアイツが、友人の結婚式に白いシャツを羽織ったという印象(?)。走ってナンボ、走ってナンボ。

エンデューロレーサーKDX200Rの公道バージョンとして1989年に発売されたKDX200SR。水冷2ストロークエンジン・排気デバイスKIPSを装備し、35PSを発揮するパワフルかつ従順なエンジンが当時のオフロードライダーを魅了した。89年の初期型モデルのみ正立フォークを採用しており、リアには現代のモトクロッサーと同じ19インチタイヤを履く。現在、中古市場ではタマ数少なめの稀少車種となっている。
スペック

■エンジン形式 = 水冷2ストローク ピストンリードバルブ単気筒

■ボア×ストローク = 66×58mm

■最大トルク = 3.2kgf・m/7,500rpm

■変速機形式 = 6段リターン

■サイズ(全長×全幅×全高) = 2,175×855×1,225mm

■燃料タンク容量 = 9.5L

■ブレーキ = 油圧式シングルディスク(前後)

■タイヤサイズ = フロント80/100-21 リア100/90-19

■総排気量 = 198cc

■最高出力 = 35PS/8,000rpm

■キャブレター = KEIHIN PE28

■ホイールベース = 1,445mm

■シート高 = 885mm

■乾燥重量 = 107kg

■新車時本体価格 = 38万9,000円

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