ホンダ NC700S デュアル・クラッチ・トランスミッション
ホンダ NC700S デュアル・クラッチ・トランスミッション

ホンダ NC700S デュアル・クラッチ・トランスミッション – 「S」にもオートマチック仕様が登場

掲載日:2012年08月02日 試乗インプレ・レビュー    

取材・文/佐川 健太郎  撮影/MOTOCOM  衣装協力/HYOD(ヒョウドウプロダクツ)

ホンダ NC700S デュアル・クラッチ・トランスミッションの試乗インプレッション

ホンダ NC700S デュアル・クラッチ・トランスミッションの画像

気楽に乗れて小回りもきく
街乗りメインならコレだ!

最近いろいろなメディアで紹介されていることもあり、すでに見慣れた感もある NC700S だが、実車を見るとなかなかのグレード感。NC700X もそうだったが、低コストで作ったようには見えない。デザインの新しさが効いている。立体的なヘッドライトまわりや流れるようなボディライン、特徴的なフレームワークなど、今までのネイキッドモデルとはひと味違うスマートな雰囲気がいい。

ライディングポジションはコンパクト。先日試乗した NC700X DCT に比べるとシート高で40ミリも低いため、足着き性はかなりいい。「X」はアドベンチャーモデルらしい足長で大柄なデザインだったが、それに比べると「S」は車格もひとまわり小さく感じる。

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まず「 AT モード」で走ってみる。通常走行用の「Dモード」では穏やかに加速して、ゆっくりとシフトアップ。速度を落とせば、これまた穏やかにギアダウンしていく。バイクが自動的に燃費走行してくれている感じだ。スポーティな走りに適した「Sモード」だと、一転してメリハリが効いた走りができる。加速時も常に低めのギアでしっかりと引っ張ってくれるし、追い越しなどで急加速したいときも、スロットルを開けるだけで自動的にキックダウンして強い加速力が得られる。減速時もブレーキングの強さに連動して、適切なエンジンブレーキがかかるようにギアダウンしてくれる。非常に賢いシステムだ。ただ、マシン側でシフトタイミングを制御していることに変わりはないため、ライダーの感覚とのズレは多少なりともある。けっして危険なことはないが、たとえば急減速して狭い交差点を曲がるときなど「えーっ、ここでシフトダウンするの!?」というような場面もあった。きっとマニュアルシフトに慣れたベテランライダーほどそう思うはずだ。

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よりスポーティに走りたいときや、自分でシフトタイミングを決めたい場合は「MT」を選択すべきだ。左手元のシフトボタンを押すだけで簡単にシフトチェンジできるし、スロッルは開けたままのシフトアップや、急激なシフトダウンなどでも穏やかかつ正確にギアを合わせてくれる。また、低速になると自動的にシフトダウンしてくれる、ありがたい機能もついているので、たとえば信号待ちなどでついシフトダウンするのを忘れてしまっても安心だし、「AT」、「MT」に関わらず、絶対にエンストしないのでUターンや低速バランスなども安心だ。このあたりの DCT の機能については「X」と同じである。

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さて、「S」のスタンダード仕様、つまり通常のマニュアルトランスミッションとの乗り味の違いだが、まずダイレクト感が挙げられる。当然ながら、自分のタイミングで即座にシフトチェンジできるスタンダードのほうがキビキビ走れる。DCT の「M」モードも良くできているが、やはり若干のタイムラグは生じるからだ。車重の違いもある。DCT はスタンダード( ABS なし)に比べて14キロ重いため、タイトなコーナーの切り返しなどでは車体の動きがやや穏やかな感じがある。NC700 シリーズ持ち前の軽快なフットワークと低中速トルクを生かして、キビキビと走りたいならスタンダードを、何も難しいことを考えず、ゆったりとスムーズに走りたいという人は DCT を選ぶといいだろう。

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さらに「X」と「S」ではどうか? ロングツーリング派なら、前後サスペンションの豊かなストロークとウインドプロテクションの良さを生かして快適に距離を伸ばせる「X」がおすすめだ。街乗りメインで、取り回しと機動力のメリットを発揮したいなら「S」がいいだろう。いずれを選んでも、ヘルメットが入るラゲッジスペースの利便性や驚異の燃費性能は、ライダーをとても幸せな気分にしてくれるはずだ。

ホンダ NC700S デュアル・クラッチ・トランスミッションの詳細写真は次ページにて

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