【ホンダ CRF1100L アフリカツイン アドベンチャースポーツ ES 試乗記】世界に誇る日本の怪鳥が進化を遂げた

掲載日:2022年08月04日 試乗インプレ・レビュー    

取材・文・写真/小松 男

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HONDA CRF1100L Africa Twin Adventure Sports ES

ホンダのフラッグシップアドベンチャーモデル、CRF1100Lアフリカツインに先だってビッグマイナーチェンジが図られた。マニュアルミッションかつオフロード走破性能を引き上げたアドベンチャースポーツESグレードをテストする。

コアなオフロードファンから、
ツーリングユーザーまでカバー

1980年代にパリダカールラリーにおいて活躍したNXR750のレプリカ版モデルとして登場し人気を博したアフリカツイン。その名が復活を遂げたのは2016年のこと。2019年にはフルモデルチェンジが図られ、本年はビッグマイナーチェンジが行われた。

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変更点に関しては後ほど説明して行くことにして、現在のアフリカツインは大きく分けてスタンダード、アドベンチャースポーツES、それぞれのDCT(デュアルクラッチトランスミッション)モデル、そしてハードな環境にも対応できるよう、ロングストロークサスペンションを採用したSタイプが各レンジに用意されるというラインナップ。

どれに照準をあてるか悩むところだが、今回は最も選ぶユーザーが多いと思われるアフリカツイン アドベンチャースポーツES(以下:アフリカツインES)をピックアップすることにした。

ホンダ CRF1100L アフリカツイン アドベンチャースポーツ ES 特徴

見た目以上に内容に手が加えられ
電脳アドベンチャーとして昇華

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2019年終盤に1000ccから1100ccへと排気量を引き上げられていたアフリカツイン。今期の仕様変更は、スマートフォンとメーターディスプレイを連動することができる機能が搭載されたことやデイタイムランニングライトの採用、さらに機関的な面を見ると、ユーロ5に適合させつつインジェクションのリセッティングなども行わている。なお今回はマニュアルミッションモデルを取り上げるが、DCTモデルでは変速タイミングにも手が加えられている。

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アフリカツインに採用されているエンジンは、レブル1100、NT1100、そして発表されたばかりの期待のニューカマー、ホーク11にも使われている。ホーク11にはまだ乗ることができていないが、レブルやNTはトルクフルなエンジンの特性を上手く活かしたものとなっており、ただ走らせるだけでも純粋にバイクの楽しさが伝わるものとなっていることに驚かされる。

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さて、それでは最初に搭載されたアフリカツインではセグメントが広げられてゆく中、どのように進化をしているのだろうか。アフリカツインのビッグオフローダーというキャラクターを念頭に、実車に触れて行くことにする。

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ホンダ CRF1100L アフリカツイン アドベンチャースポーツ ES 試乗インプレッション

思わず遠出をしたくなる
グローバルキャラクター

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今回テストを行ったアフリカツインESはトップとサイドのケースを備えたフルドレス仕様であり、見るからに大きな体躯は、普段からアドベンチャーモデルに親しんでいる私でさえも大きいな、と感じさせる佇まいだった。しかし跨ってみると意外なほどに足つきは良い。シート高はローポジション810mm、標準ポジション830mmと2段階から調整が可能。なおサスペンションストロークの長いSタイプでは850/870mmとされている。

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エンジンを始動し走り出す。極低回転域から粘りのあるトルク感があり、アーバンモードではスロットル操作に対する反応も良いので、出だしから俊足ぶりを楽しむことができる。アフリカツインESはショーワ製電子制御サスペンションを装備している。低速時の乗り心地~高速時の安定感、オンロード走行性能~オフロード走破性という相反する走行シーンにおいて最適な性能を発揮するものであり、5つのモードからセレクトできるのだが、中間的なセッティングとなるMIDの感触が良好であり、豊かなサスペンションストロークを存分に使いながら走らせることができる。

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サスペンションが良く動くことは心地よいライディングフィールにも直結しており、交差点一つをパスすることにはじまり、ワインディングでのタイトコーナー、高速道路での中高速コーナー、オフロードシーン、どこでも路面にタイヤが追従していることが手に取るように伝わってくるのだ。

アフリカツインESはロングスクリーンが採用されているため、ハイウェイクルーズでも快適であるし、スマートフォンと連動することができる6.5インチタッチパネル液晶メーターも、ツーリングの強い味方となってくれる。

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若干気になったことと言えば、スタンダードモデルが18Lの燃料タンクなのに対し、アフリカツインESでは24Lのビッグタンクが採用されていることと、フルケースであったことから、取り回しなどで重心が高めに感じられる場面もあったが、6軸IMUセンサーをはじめ、バリバリの電脳装備によって常に安定した走りを得られた。

アフリカツインを手にしてオフロード走行を楽しむ人がどれだけいるのか分からないが、そこいらの林道では手に余ることだろう。やはり広大な大陸的な未舗装路を求めてしまうが、日本にはなかなかそのような場所が見当たらない。まあ、それはビッグオフローダーすべてに言えることでもあるのだが、追い求める点はそこではなく、どこまでも遠く、快適に、気持ちよく走り続けることができるという部分だ。そう考えると新型アフリカツインESは、かなり高い完成度を誇るものとなっている。

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新車価格はスタンダードモデルで163万9000円から、アフリカツインESは194万7000円からとなっている。ちょっと贅沢だが、それだけの価値のあるモデルに仕上がっていると感じられた。

ホンダ CRF1100L アフリカツイン アドベンチャースポーツ ES 詳細写真

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270度クランク1083cc水冷並列2気筒エンジンは、フューエルインジェクションをリセッティングしている。アフリカツインESには大型スキッドプレートが採用されており、オフロードテイストが引き上げられている。

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チューブレスタイヤを装着できるスポークホイールを採用。21インチタイヤと185mmというロングストロークを誇る電子制御式フルアジャスタブルタイプフォークの組み合わせで、高い快適性と、オフロード走破性を両立する。

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夜間走行時、コーナリング時にバンク角に応じて3段階で切り替わるコーナリングライトを搭載。アフリカツインESでは5段階に角度調整が可能なロングスクリーンも採用されており、快適なツーリングをもたらす。

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高さを830/810mmの2段階から選択できるアジャスタブルシートを採用。写真は830mmの状態。足をつくことの多いストリートシーンでは低く、ロングツーリング時には高くと、ステージに応じて高さを変更するのも良いだろう。

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明るく見やすい6.5インチTFTタッチパネルを採用。各種細かいインフォメーションを表示することができるほか、『Android Auto』に対応したスマートフォンでは音楽再生やナビ機能、通話、メッセージなどのアプリが利用可能となった。

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上下左右の十字切り替えや、エンター、リターンボタンなどが分かりやすいので直感的に扱える物の、やはりしっかりと使いこなすには説明書を熟読した方が良さそうだと感じた左側スイッチボックス。

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軽量高剛性のアルミ製スイングアームに150/70R18サイズのタイヤをセット。6軸IMUセンサーでバンク角や車速などを読み取り、スリップやブレーキング時のリアの浮き上がりなどを制御する。

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スタンダードモデル、アフリカツインES、どちらもリアキャリアが標準装備となった。テスト車両はフルケース装備車だったため、そのステーが備わっている。テールランプ類はLEDが採用されている。

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スタンダードモデルの燃料タンクが18リットルなのに対し、アフリカツインESでは、6リットルもの増量を図った容量24リットルのビッグタンクを採用している。ロングツーリングでも給油回数を少なくすることができる。

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リアサスペンションには電子制御式モノショックをリンクを介してスイングアームにセット。メインフレームとの締結部にピロボールを採用することで路面追従性を向上させている。

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シート下にはETC2.0車載器が収まる他、多少のユーティリティスペースが確保されている。なおライダー側のシート高の調節も容易に行うことができた。

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DTCモデルの完成度も高いが、まだ半数はマニュアルミッションモデルが選ばれている。ステップバーはワイドであり、表面のゴムを外すことでオフロードブーツでのグリップ力が高まる。

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トップケース、サイドケースともに、イグニッションキーでロックを解除することができるワンキーシステムを採用。着脱も簡単にでき便利に使うことができた。せっかくならばケース類も用意したいところである。

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