アプリリア ドルソデューロ750
アプリリア ドルソデューロ750
約束されたエキサイトメント

 

構成/バイクブロス・マガジンズ編集部

高城一磨 = 写真

アプリリア ドルソデューロ750 – 約束されたエキサイトメント

掲載日:2009年04月22日 試乗インプレ・レビュー    

約束されたエキサイトメント

アプリリアが新たにリリースしたドルソデューロ750は「操る楽しさ」を追求したモタードマシンだ。同社には、もっとレーシングマシン然としたSXV450/550があるが、シバー750と基本設計を同じくするドルソデューロ750は、ストリートを重視した設定だという。

アプリリア ドルソデューロ750の画像

メインキーをひねってスターターボタンを押すと、かなり元気の良い排気音が鳴り響いた。実際には 一定レベルまで消音されているのだろうが、かなり荒々しい音質だ。それを確かめるようにブリッピングを繰り返すと、鋭い吹け上がりに気分が高揚する。規制が厳しい時勢だが、スポーツバイクにとって、音は大切な要素だということに、改めて気づかされた。暖気が済んだところで870mmと高めのシートに跨ると、エッジが大胆にカットされているため、足つき性は、身長174cmの自分にとって不安になるほどではない。エンジンは、シバー750でも使われる3モード切替機能を搭載。まずは、中間的なパワー特性のツーリングモードを選択し、ゆっくり走り出した。

カーブでは、重心が高いマシンによくある「ぐらり」と倒れ込む印象が若干あるが、スムーズなパワー特性と上質なサスペンションの働きで、慣れればどうということもない。また、エンジンは、3000回転も回っていれば、力強く加速するため、ギヤポジションにそれほど気をつかう必要はない。すべてはイージーだ。しかし、吼えるような排気音が、実際の扱いやすさとは裏腹に、思い切りエンジンを回せと言っているかのように後方から響いてくる。

アプリリア ドルソデューロ750の画像

ワインディングの入り口が見えてきたところで、いよいよスポーツモードに切り替える。ツーリングモードとはうって変わって反応が良くなったエンジンは、スロットルを開けた分だけ蹴飛ばすように車体を前に押し出す。小気味よく吹け上がる最高出力90馬力のツインエンジンは、750ccにしてはかなりパワフル。しかし、マシンが起きてさえいれば、右手を思い切りひねっても1000ccーパースポーツのような恐怖は感じない。レブリミット付近で点滅するワーニングランプと高回転のレーシーなサウンドにニヤリとするくらいの余裕はある。要するにちょうど良いパワーなのだ。

そして、幅広ハンドルに覆いかぶさるようにバンクすると、マシンは、ごく自然に、あっさり向きを変えていく。やや立ちが強い感はあるが、ハンドリングは意外なほどクセが無い。また、細身の車体から想像できないガッチリした剛性感と適度な安定感を兼ね備えているため、積極的に操ろうとする中で多少ミスがあっても、ライダーを受け入れる鷹揚さがある。だから、思い切ってコーナーに飛び込むことができる。

アプリリア ドルソデューロ750の画像

帰り道は、再びツーリングモード。スムーズにパワーが立ち上がるマイルドな特性は、狭い峠道でもパワーをもてあますことなく、かえって速く走れそうだ。だが、スポーツモードのエキサイティングな感覚を味わうと、状況に関係なくいつでもソレで走りたくなる。こういうマシンで大切なのは、速さよりエキサイトメントだ。ちなみに、最後にレインモードも試してみたが、こちらは雨など路面状況が悪いときや、ロングツーリングでよほど疲れているとき以外は、出番が無さそうに感じた。

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いくらでもパワフルなマシンが手に入る時代だが、巨大なパワーに冷や汗を掻くばかりがスポーツライディングではない。楽しいと感じられるかどうかは、たぶん、余裕と緊張感が折り合う微妙な稜線上にあるかどうかで決まる。このマシンは、エキサイティングなパワーフィーリングと剛性感の高いシャーシの組み合わせで、実にうまくその辺りのツボをついている。さらに、3種類の走行モードで、幅広い状況に対応できるオマケつきだ。そして決め手は元気の良い排気音。最近は、時勢もあって音の良し悪しが語られることは少なくなったが、レーシーなサウンドは、どんな状況でも気分を盛り上げてくれる。ただの高性能バイクではないという部分まで計算に入れた上で、アプリリアは狙いすましたようにモタードマシンナンバーワンの座を狙っている。ただ、あえて言えば完璧に狙いすぎているのが玉にキズか。少しだけハメを外してくれたら…。女の子だってバイクだって、ちょっとダメなところがあるほうが、かわいく見えたりするものだ。

アプリリア ドルソデューロ750の詳細は次ページにて

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