スズキ Vストローム650ABS
スズキ Vストローム650ABS

スズキ Vストローム650 ABS(2013) – 安定感とスポーツ走行性を両立した高剛性ミドルツアラーが登場

掲載日:2016年07月29日 試乗インプレ・レビュー    

テストライド/小林直樹  写真/長谷川徹  まとめ/小川浩康
※この記事はオフロード雑誌『GARRRR』の人気企画『小林直樹のオフロードバイク・テイスティング』を再編集したものです
※記事の内容は雑誌掲載当時のものです(GARRRR vol.324 2013年4月発売)

SUZUKI V-Strom650 ABS DATA FILE

スズキ Vストローム650 ABSとは

快適な高速巡航性能に、フラットダート程度は走破できるオフロード性能をプラスしたツアラーモデルは、世界的に人気のカテゴリーとなっている。そうしたモデルはリッターサイズのエンジンがメインとなっていたが、ここ数年、600~800ccにダウンサイジングしたミドルツアラーが各社から登場してきている。高速巡航性能をスポイルすることなく車体を軽量化し、ダート走破性能を向上。取り回しが軽くなることで、ロングツーリングをよりスポーティに楽しめることが人気の一因になっている。そうした流れを受け、スズキもVストローム650を昨年フルモデルチェンジ。Vストローム1000をダウンサイジングしたコンセプトながら、エンジンとスタイリングは一新。1999年に登場したロードスポーツSV650の水冷Vツインエンジンがベースだが、メカニカルノイズを大幅に低減。アイドリング付近から太いトルクを発生し、高回転では伸びのあるパワーを両立させている。さらにABSを標準装備し、安全性能も高めている。このVストローム650ABSは逆輸入モデルとして日本へ導入されていたが、国内モデルとして正式にラインナップ。約20万円ほどプライスダウンされた新価格も魅力を高めている。

足着き性

身長170cm、体重70kgのおれの場合、片足のつま先が届く程度で、足着き性はいいとは言えない。シート幅の広さでガニ股になってしまうのが足を着きにくくしている原因だが、その代わりにシートのクッション性がよく、ヒザに窮屈さがないので長時間のライディングでもお尻が痛くなりにくかった。またハンドル位置が高く、前傾姿勢にならないので、長距離移動での快適さを重視したライディングポジションになっていると言える。外車ほどではないが、ハンドル切れ角も大きくはなく、ライトカウルが装着されることでフロントタイヤの位置を確認しにくい。狭い場所での取り回しに気を遣うことになるが、それはツアラーモデルに共通することなので、慣れていくしかない。

IMPRESSIVE POINT

気に入ったのは操作系、とくにアクセルの軽さ。エンジン特性の伸びもよく、軽いアクセルコントロールで気持ちのいい加速と高速巡航を楽しむことができる。ABSはダート路面では頻繁に介入してくるが、違和感はなく、バランスを崩しにくくしてくれるので多くのライダーに恩恵を与えてくれる装備だ。ただし、リアタイヤをロックできないのでブレーキターンもできない。解除機能があればUターンが楽にできるのだが…。気になったのはシールド。ラウンド形状が視界の歪みになっていて、フロントタイヤ直前の路面が確認しにくかった。目線が近くなるダート路面では、早めに走行ラインを確認しておくといい。

スズキ Vストローム650 ABSは こう味わえ!

クラストップのフレーム剛性と少なめのサスストロークが、オンロードスポーツ並みのスタビリティを発揮する。ダートではゴツゴツした乗り心地になっているけれど、快適な高速巡航を実現するエンジンパワーは、ダートでも扱いにくさを感じさせない。さらにABSがリアスライドを低減してくれる。そして、ワインディングでは誰もが痛快な走りを堪能できる。ツーリングの大部分を占める舗装路での快適性を損なうことなく、ダート走破性をプラスした乗り味にはクセがない。

そのクセのなさは違和感のなさにもなっている。250トレールからのステップアップ、オンロードバイクからの乗り換えでも、乗りやすさを感じられるだろう。間口の広さを持つオンオフツアラーだね。

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