【2018 PCX試乗記事】新設計フレームとスマートキーを装備 さらに魅力を高めてモデルチェンジしたPCX 試乗インプレ・レビュー

【2018 PCX試乗記事】新設計フレームとスマートキーを装備 さらに魅力を高めてモデルチェンジしたPCX

掲載日:2018年05月18日 試乗インプレ・レビュー    

取材・文・写真/野岸“ねぎ”泰之

【2018 PCX試乗記事】新設計フレームとスマートキーを装備 さらに魅力を高めてモデルチェンジしたPCXの画像

HONDA PCX

各部に入念に手を加えられ、人気モデルが
フルモデルチェンジを敢行してパワーアップ

2010年に初代モデルが発売されるや、クラスを越えた質感の高さや動力性能、アイドリングストップ機構の採用など環境・燃費性能も重視したことで瞬く間に人気となり、125ccクラススクーターの新しい潮流を作ったのがホンダのPCXだ。その後2012年にさらに環境性能を高めたeSPエンジンを搭載するなどマイナーチェンジ、2014年には全灯火類をLED化するなどのモデルチェンジを行い、その人気を不動のものとした。そんなPCXが2018年の春に再びモデルチェンジを実施。フレーム形式の変更やタイヤサイズのワイド化、スマートキーの採用など、大幅に魅力を高めて登場した。その実力を探っていこう。

ホンダ PCXの試乗インプレッション

ホンダ PCX特徴

スタイリングは従来のイメージを踏襲
だが中身は大幅に進化している

今回フルモデルチェンジを遂げたPCXは3代目。その外観は、従来モデルのイメージを引き継ぎながら、さらに上質なものとなっている。ヘッドライト上部にV字型に延びるポジションランプとそれに続くウインカーは、重厚でありながらキリリと切れ上がってシャープな印象。ボディは有機的で美しい曲面で構成され、前モデルよりもグラマラス。それでいて流麗で伸びやかなスタイルをキープしている。

一方でそのボディの中身は、大きな進化を遂げている。パワーユニットにはホンダの誇る、扱いやすい出力特性と環境性能を両立させたeSPエンジンを搭載しているが、吸排気系の変更により、低回転での出力を保ちつつ、高回転時の出力を向上。あわせて駆動系の見直しやフリクションの低減により、低速での加速力はそのままに、中・高速域で伸びのある出力特性を実現した。

ホンダ PCXの試乗インプレッション

進化した動力性能を活かすために、フレームを新設計のものに一新したのにも注目だ。従来は小型スクーターで一般的だったアンダーボーンフレームだったものを、スポーツバイクなどに用いられる、ダブルクレードルフレームに変更した。これにより、剛性をアップすると同時に、軽量化にも成功。フレームとフロントカバーをつなぐステーを樹脂製に変更したことと合わせて、フレーム周りだけで従来モデルよりも2.4kgの軽量化を達成している。

ホンダ PCXの試乗インプレッション

足周りでは、14インチホイールの採用は従来通りだが、前後タイヤの横幅を1サイズワイドなものに変更。また、リアクッションのエンジン側取り付け部を従来よりも後方かつ下方に移動することで、クッションストロークを15mm、アクスルトラベルを5mm増加。スプリングも従来は2段階のバネレートだったものを3段階のものとし、より快適な走行を可能としている。

ホンダ PCXの試乗インプレッション

PCXはボリューム感がある車体のため大きく思われがちだが、実際はスリムで押し歩きなどの取り回しも軽く、とても扱いやすい。フロアにセンタートンネルがあるため、跨る際にはちょいと足を上げる必要があるが、慣れてしまえば気にならない。ポジションは歴代PCXの特徴であるゆったりとしたものを踏襲、乗車姿勢はとても自然でリラックスできるものだ。シート高は前モデルよりもわずか4mmだけアップしているが、言われなければ全くわからないレベル。

ホンダ PCXの試乗インプレッション

スマートキーを採用しているため、メインスイッチに鍵穴はない。キーを携帯していれば、メインキーのノブを始動位置に合わせればいつでもセルでエンジンが始動できる。4輪車ではもはや当たり前の装備になりつつあるが、ポケットからキーを探し出して差し込むという動作が不要なのは、やはり便利だ。

ホンダ PCXの試乗インプレッション

ホンダ PCX 試乗インプレッション

車体の安定感は先代よりも格段にアップ
アイドリングストップも引き続き搭載する

走り出すと、前モデルよりも明らかにスタートダッシュが力強くなっている。そのままアクセルを開け続けると、トルクの谷もなくフラットに滑らかな加速を見せ、あっという間に法定速度に達する。さらにその後のパワー感もまだまだ伸びしろのあるものだ。

また、走行時の安定性もさらに増した印象だ。PCXは14インチタイヤを採用しているため、従来から路面の段差を乗り越えた時の安定性は秀でていた。それが今回、タイヤ幅がアップしたことやリアサスのクッションストロークが増えたことなどで、さらに安定感と快適性がアップ。また、フレーム形式がダブルクレードルになったこともあるのだろう、特にコーナーリング中にアクセルを開け、タイヤや車体に負荷をかけた際にもしっかりと路面に追従し、挙動が安定していた。タイヤがワンサイズ太くなったことで、従来よりも安心してコーナーでの倒し込みができる。

ホンダ PCXの試乗インプレッション

PCXといえば、初代から搭載されているアイドリングストップ機能が目玉の一つだ。エンジンが暖まっている状態で信号待ちなどアイドリングが約3秒続くと、自動的にエンジンが止まる。再始動はアクセルを軽くひねるだけと、ライダーは何の意識もすることなく、省エネできる便利な機能だ。しかもセルモーターと発電機が一体化されたACGスターターを採用しているため、再始動は極めて静かでスムーズ。バッテリー電圧が低下している際には自動的に機能がキャンセルされるなど、頭のいいシステムでもある。

ホンダ PCXの試乗インプレッション

普段の走りではこの機能をオンにしておけば問題ない。ただ、アクセルオンでの再始動があまりにも敏感なため、信号待ちでのアクセルへの手の添え方によっては、ちょっと手を動かしただけで意図せずにエンジンが再始動し“あ、まだ発進じゃなかったのね”とすぐにエンジンが停止する、なんて場合が見られる。信号でのゴーストップの多い街中では、それがちょっと面倒に感じることもあった。それに、いくらアクセルオンでなめらかに再始動するとはいえ、ほんの少しのタイムラグがあることは確か。だから、朝の通勤時、横のマシンとのスタートダッシュには負けたくない……なんて場合も含め、時にはアイドリングストップ機能をオフにする、というのもアリだろう。ハンドル右のスイッチで簡単に機能のオンオフができるのは、とてもありがたい配慮だ。

125ccのPCXを選ぶ理由と、
新型が得たライバル車への優位性を考えてみる

ところでPCXには同じ車体で排気量が少し大きい、軽2輪カテゴリーのPCX150が存在する。中型以上の免許を持ち、大型バイクのサブマシンとして考えるなら、どちらを選ぶか悩む人も多いことだろう。双方のメリットの代表的なものとしては、125cc版は他の自動車保険(任意保険)に入っていれば、ファミリーバイク特約として保険料が安く済むことや、原付2種のため駐輪場の選択肢が広がること、一方の150cc版では高速道路に乗れることが挙げられる。通勤・通学などで比較的近距離や都市部でしか乗らず、4輪車や大型バイクも持っている、という人は125ccのPCXで十分だろう。

ホンダ PCXの試乗インプレッション

それに対して、郊外に住み通勤時に都市高速を使うしツーリング用途にも使いたい、あるいは現在250ccクラスのマシンを持っていてそれと乗り換えを考えている、という人は迷わずPCX150を選ぶといいだろう。ちなみに筆者は神奈川在住で、仕事や打ち合わせなどで都内に向かうのに東名高速や首都高をよく使い、ツーリングも大好きだから、もし買うなら150cc版のPCX150を選ぼうと思っている。動力性能は125cc版で十分だし、維持費も車両価格も125cc版が安い。ただ、免許やお財布事情が許すなら、PCX150の「もしもの際にいつでも高速に乗れる」というメリットは、個人的には捨てがたいと考える。

ホンダ PCXの試乗インプレッション

他社製スクーターでPCXのライバルとして考えられるのは、ヤマハのNMAXだろう。センタートンネルを持つスクーターで、軽2輪クラスの兄弟車種(NMAX155)を持つという点で、共通点が多いからだ。どちらも走りや高級感など、甲乙つけがたい存在といえるが、製品としての“味付け”には方向性の違いが感じられる。PCXは快適性やゴージャス感、省燃費に重きを置いているのに対し、NMAXは元気でスポーティな走りを前面に押し出している。どちらを選んでも後悔のない良くできたマシンだが、スマートキーの搭載やフレームの見直し、タイヤサイズのワイド化で走りの性能をアップしてきたPCXが、今回のモデルチェンジで一歩リードした感はあるだろう。

詳細写真

LEDヘッドライトはロービームで左右が点灯、ハイビームでさらに中央が点灯する。実際には写真より相当明るく、直視できないほど。上部にV字型に伸びるポジションランプも明るく、昼間の被視認性も高い。

フルデジタルのメーターは反転液晶を採用。スピード表示は大きくて見やすい。ほかに時計、平均燃費計、燃料計などを表示する。両脇には各種警告などのインジケーターが並ぶ。

右ハンドルにはセルボタン、ハザードスイッチのほか、アイドリングストップ機構のオンオフスイッチを装備。写真の位置だと、アイドリングが約3秒でエンジンがストップする。再始動は軽くアクセルをひねるだけで、非常にスムーズだ。

メーター右脇にはアイドリングストップ機構のインジケーターを装備している。アイドリングストップ中には緑のAマークが点滅し、機構が作動中であることを知らせてくれる。

左ハンドルにはウインカースイッチのほか、ホーンボタン、ヘッドライトの上下を切り替えるディマースイッチを装備。クロームメッキのハンドルウェイトが高級感を醸し出している。

スクリーンは短い形状ながら、意外とライダーの上半身に当たる風をうまく逃がしてくれる印象だ。純正オプションには、さらにウインドプロテクション効果のあるロングタイプのスクリーンも用意されている。

着座位置の自由度が高く、クッション性も良好なシート。コーナーリング時におけるお尻のホールド性もなかなかのもの。アクセントにステッチが施され、高級感のある仕上がりもうれしい。

フットスペースは平面部を従来モデルよりも車体前方向へと拡大。足を置く位置の自由度が高く、さまざまなライディングポジションに対応できる。センタートンネルを足で挟むと、コーナーで車体がグッと安定する。

シート下のラゲッジボックスは25Lから28Lへと容量がアップ。浅めの造りのためフルフェイスだと入らないモデルもあるかもしれない。ちなみにSHOEIのJクルーズLサイズは無理なく入った。ヘルメット後方にはかなり広い余裕がある。

フロント左側には蓋付きのインナーボックスを装備。500mlペットボトルはもちろん、増量600mlタイプも収納できた。内部にはDC12Vのシガーソケット型アクセサリー付き。スマートフォンなどの充電に活用できる。

本体を身に着けてマシンに跨れば、イグニッションのオンオフやハンドルロックが操作可能なスマートキー。ウインカーの点滅で自車の位置を知らせるアンサーバック機能も備えている。

シートや給油口の蓋はメインスイッチ脇のシーソースイッチにより、ワンタッチで開けることができる。給油口はセンタートンネル中央部にあるため、給油の際は少しかがんだ姿勢となる。

車載工具はシートの裏に固定されている。プラグレンチや10/14mmのスパナ、差し替え式のドライバー、ヘルメットホルダー用のワイヤーなどが入っている。青いカプラーは緊急時にメインスイッチを開錠するためのもの。

テール&ストップランプはLEDで、上下2段に配されている。上段と下段の幅を変えることでスリムなデザインながら大型化され、スタイリッシュであるとともに後方からの被視認性も十分確保している。

リアサスペンションは設置位置を見直すことでクッションストロークを増加。3段階のバネレートを持つスプリングを採用することで、段差の乗り越えやツーリング時の快適性を追求。乗り心地の良さに貢献している。

フロントタイヤは従来の90/90-14 46Pから100/80-14M/C 48Pへとワイド化。ブレーキディスクは220mm径、3ポットキャリパーを採用。前後輪連動のコンビブレーキを装備している。

リアタイヤもフロント同様にワイド化。従来の100/90-14 51Pから120/70-14M/C 55Pとなり、コーナーリング時の安定感と路面への追従性がアップした。リアブレーキはドラム式だが、制動力に不満はない。

SPECIFICATIONS – HONDA PCX

ホンダ PCX 写真

価格(消費税込み) = 34万2,360円
※表示価格は2018年5月現在

ラグジュアリーな装備とゆったりした乗り心地、アイドリングストップを装備し低燃費で環境に優しいエンジンなど、125ccクラスで抜群の人気を誇るホンダのPCX。2018年にPCX150とともにフルモデルチェンジ。

■エンジン型式 =水冷4ストロークOHC単気筒
■総排気量 =124cc
■ボア×ストローク =52.4×57.9mm
■最高出力 =9.0kW(12ps)/8,500rpm
■最大トルク =12Nm(1.2kgf・m)/5,000rpm
■燃料供給 =電子制御燃料噴射装置(PGM-FI)
■トランスミッション =無段変速式(Vマチック)
■サイズ =全長1,925mm×全幅745mm×全高1,105mm
■ホイールベース =1,315mm
■シート高 =764mm
■車両重量 =130kg
■燃料タンク容量 =8.0L
■Fタイヤサイズ =100/80-14M/C 48P
■Rタイヤサイズ =120/70-14M/C 55P
■ブレーキ形式(F/R) =フロント:油圧式ディスク/リア:機械式リーディング・トレーリング

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