掲載日:2010年01月08日 特集記事 › バイクの足回りメンテナンス
記事提供/2009年4月1日発行 モトメンテナンス No.82
【編集スタッフの実践 その1】
本誌田口は「マッハな田口」から「原2☆ツ~田口」へと進路変更‥‥というワケではありませんが、89年式AR80Ⅱに極上車を手に入れメンテナンス開始。ものすごく程度極上な車両であることに変わり無いが、喜んで走る前に足周りメンテナンスを実践。やっぱりメンテ実践して良かった~♪
「絶版原2モデル」の機動性の高さに魅了され、学生時代を思い出し、原2☆ツ~の楽しさにすっかりハマっている私田口です。いつでも全力全開で走れる面白さは格別!! しかも交通の流れを楽々リードできるパワフルさ‥‥。
昨年末、今度はカワサキAR80Ⅱ/C6/1989年モデルをゲット。ネットオークションで極上車を発見したのですが、ライバルが現われずに何故か格安にて落札することができました。
実は、20数年来、気になっていたモデルがARシリーズ。AR50なら初期型のライムグリーンがカッコイイ(シングルシートカウルのデザインがお気に入り!!)。AR80なら後期モデルがイイ(GPzのようなテールカウルがお気に入り)と思っていただけに、ゲットするなら原2カテゴリー後期型AR80。ってことで物欲に走ってしまいました。引き取ってきた現車は、写真で見た通りの極上車。だからと言って、喜び勇んで走ってばかりいると、後々シッペ返しを喰らってしまいます。ということで、ここではより気持ち良く走るための儀式である足周りのメンテナンスを実践することにした。
外観からも判断できたが、どうにも「乾いた」印象が強かったこのバイク。リア周りを分解したところ、案の定、ほとんどグリス切れ状態だった。走行距離が浅く、ドロ跳ね汚れもなくコンディションは良好。大切に保管されてきたのだと思います。しかし、メーカー出荷からすでに20年が経過し、走行距離から想定して(4000km強)、ほぼノーメンテナンスは間違い無い。
現在ではナンバーも取得し、フツーに気持ち良く走れるコンディションになってますが、走行浅のままで乗らなくなった理由のひとつに「オイルタンク割れ」があったのではないかと思う。2ストオイルを注入していたら、なんとなくいくらでも入って行くことに気が付き、次の瞬間、足元を見てビックリ!! エンジンオイルが‥‥。そんな理由で乗らなくなってしまったのでしょう。
いずれにしても、見た目が程度極上だからと言って、絶版車はそのまま乗れるものではない。自称サンメカさんならご存知ですね!? もしもグリスアップせずに乗り回していたら‥‥。走りを楽しむ前にメンテナンスしておいて、本当に良かったと思ってます!!
リア周りのメンテナンス時にあると便利なのが自動車メンテナンス用の「馬」だ。AR80はステップが固定式なので簡単にリア周りをフリーにすることができてメンテナンス性良好だ。折り畳みステップ式だと、こんな作業が意外と面倒なんですよね。
ブレーキロッドやトルクロッドを分解し、リアホイールを取り外してからリアショック本体を車体から取り外す。多くのARシリーズの場合、距離を走っているとこのリア周りのコンディションが悪く、サビサビになっているケースが多い。この個体は乾いていた。
リアショックを外したらスイングアームを上下に作動させ、スムーズに動くか確認してみよう。見た目の程度が良いからといって、しっかり作動するワケではない。案の定、グリス切れによってキーキーと音鳴りする状況だった。分解&グリスアップの開始。
スイングアームピボットシャフトを抜き取り、ピボットの構造を確認すると、この年代のモデルなのにブッシュ&ピボットカラー入りの豪華仕様。こんな部分にメーカーのやる気と言うか、スポーツモデルとしての位置付けを窺い知れる。ゴムダンパーはシラケますよね。
カラーを洗浄&クリーンナップといっても、ほとんどグリスらしきものは残っておらず乾いた状態だった。カラー&スイングアーム側の洗浄後にカラーを差し込み、ブッシュ部分にガタが無いか確認した後にグリスアップを施す。ゾイルグリスをしっかり塗布した。
スイングアームピボットシャフトも大変キレイな状況=完全に乾いた状態だった。シャフトがサビるとスイングアームの脱着が面倒なことになるので、グリスを塗布してシャフトを復元する。それにしてもここまで乾いたシャフトは・・・・ 磨耗してなくて良かった!!
スイングアームの作動性を確認しながらスイングアームピボットボルトを締め付ける。ここで締め付けトルクが強過ぎると、フレーム側のピボット周辺が押し込まれ、作動性が悪くなることを発見。適度に締め付けないと、良い結果が得られない状況だ。おいAR!!
メーカー純正で締め付け部分はスプリングワッシャー+ナットなので、ここではフランジ付きセルフロックナットに変更し、トルク管理しやすく緩みにくい(であろう)状況を狙ってみた。ちなみにダイッと強く締め付けると、著しく作動性が悪くなった。ガクッ・・・・。セルフロックなので調整できてイイ。
フレーム側=リアショックのアッパー側にはリンクユニットがあり、そのリンクピボットの作動性も重要になる。シャフトを引っこ抜き、リンク周辺パーツのコンディションもしっかり確認した。なんとロッカーアームリンクシャフトは部分的に露出した設計・・・・
ロッカーアームにセッ卜される各パーツのコンディションを確認。磨耗が無かったのでグリスアップした。仮に、磨耗が発生していたり割れているようなときにはブッシュ交換だ。一部のブッシュは樹脂製だった。高性能グリスを使うことで性能維持期間は長くなる。
ロッカーアームピボットシャフトは特に重要だが、構造上、ロッカーアームが左右に動き、隙間となる部分のピボットシャフト面が露出していた。リアタイヤからの水跳ねでシャフトにサビが発生してしまうので、隙間部分にOリングを追加し露出を無くしてみた。
スイングアームのプッシャーロッドピボッ卜は樹指製ブッシュを採用。この部分に磨耗が発生すると、スイングアームの上下作動にガタが出るので磨耗確認はしっかり行おう。洗浄後のパーツをグリスアップする前にセットし、単品同士でガタが無いか点検しよう。
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