掲載日:2010年01月08日 特集記事 › バイクの足回りメンテナンス
記事提供/2009年4月1日発行 モトメンテナンス No.82
ドライブチェーンは駆動系の要。この駆動系コンディションと足周りコンディションは一体に考え、効果的かつスムーズ作動を求めたメンテナンスを実践したい。
ドライブチェーンサイズが630から50/530系に変更されることで、リンク間ピッチが短くなり作動性が向上。これは走行時に体感できるほどだ。
したがって630系でメンテナンスが行き届いていないとどうなるのか? 想像できますか?
過去に足周りの動きが悪いバイク=ノーメンテナンス車に乗ったことがあるサンメカならば、その「ぎこちなさ」を誰もが感じたと思う(感じませんでしたか!?)。作動性の悪さや反応の鈍さは、突然やってくるものではない。一般的に不具合箇所は、序々に悪くなるものである。友人やバイク仲間に「ちょっとへンじゃないの?」と指摘されて、初めて愛車のコンディションが良くないことに気が付いたという者もいるはずだ。
本誌読者にお話しを聞くと、多くの人がそのような経験=指摘されたことがきっかけになり、サンデーメカニックの世界に「どっぷり浸って・・・・」といった例が多いようだ。大切な愛車は他人に触れられたくないものだが、「何かへン!?」と気が付いたようなときには、メンテナンスに詳しい先輩や友人に事情を説明し、試乗&印象を聞くことも悪くない。おそらく「ひいき目」ではなく、的確な判定をいただけることもあるはずだ。
例えば、リアサスペンションひとつとっても同じことが言える。毎日の足、通勤快足として大活躍してきたバイクに数多いお話だが、ある日、リア周りの動きが良くないことに気がついた。もう随分走行距離が伸びているので、「そろそろリアショックがヘタってきたのかな?」と考え、疑うことなく高性能品と呼ばれるスペシャルパーツに交換。ところが、想像していたほど好結果=良い動きを得られることなく、「スペシャルパーツなんて大したこと無い!!」なんて勝手に思い込んで・・・・。なんてお話しはよくある。何となくその先のオチが見えますよね!?
重要なことは、疑いの目を「持てるか?持てないか?」である。過去に本誌でも決して程度が良くない車両のメンテナンスを実施して、マシンオーナーは「目からウロコ!!」状態になった例もあった。足周りに限ったことではなく、勝手な思い込みはバイクコンディションを悪化させてしまうから要注意だ。
結局、悪かったのはリアショックユニット本体ではなく、スイングアームピボット周りの作動性だった。その後、各部の分解清掃&的確なグリスアップによって、驚くほど素晴らしい作動性になり、そのドナー車両のリア周りはグーンと車高アップ。メンテナンス後、何と数十ミリも車高が高くなってしまった=元通りに戻ったのである。スイングアーム周りのグリス切れで作動性が著しく低下していたのだ。
リアショックユニットが伸び切れない状況=リア周りの車高が低下。結果としてチョッパーのような姿勢になり、スポーツバイクなのにハンドリングが今イチ。仮に「疑いの目」を持っていれば、もっと早くに状況改善できたはずである。
グリスアップ時はパーツを分解し、各部を徹底的に洗浄した後にニューグリスを適量塗布することで、その効果を高いレベルで得ることができる。
しかし、なかなかそんなことはできないと考えるライダーも少なくない。そんなときは、外側からのケミカル処方で、バイクのコンディションを理解できるケースもある。前後ホイールを例にすれば、サイドカラー部分に接触しているダストシールにケミカルスプレーを塗布してみよう。実は、このダストシールには潤滑剤=グリスが必要なのだが、日々の走行でグリス切れになっている例が実は多く、ダストシールのリップとカラーの間に入り込んだ砂利が研磨剤の役割を果たし、カラー外周を削って磨耗させてしまっている例が多い。
そんな状況がしばらく続くと、ダストシールは役割を果たさなくなり、隙間から雨水や砂利が入り、気が付けばホイールベアリングが・・・・。そうなったら最悪の事態を招いてしまう可能性もある。
ということで、足周りの作動性とグリスアップには深い関係があり、グリスアップの実践によって不具合箇所に気がつくことも多々ある。大事に至らないためにもまずは現状把握。そして、必要に応じたメンテナンスが大切なのだ。
田口勝己
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