【ホンダ CRF250L 試乗記】-4kgとは思えないほどスリム&コンパクトに生まれ変わったCRFは、積極的にオフに入りたくなるマシン

掲載日:2021年01月26日 試乗インプレ・レビュー    

取材・文/伊井 覚 写真/稲垣 正倫

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HONDA CRF250L

2012年に初登場、2017年にエンジン特性などのマイナーチェンジを経て、2021年ついにCRF250Lがフルモデルチェンジを果たした。それは、これまでの印象を完全に覆すほどの「オフロード」バイクだった。

足長の<s>タイプは標準ラインナップ
見た目だけじゃないフルモデルチェンジ

これまでのCRF250Lに、オフロードバイクの中では比較的鈍重なイメージを持っていた僕は今回の試乗を経て、完全にその評価を改めることになった。今回試乗できたのはサスペンションの長い<s>タイプ。フレームを中心に極限まで削られたシャシーで-4kgの軽量化を果たしており、跨るとまるで125ccのオフロードバイクかのような錯覚に襲われる。さらにエンジンは低回転時のトルクが厚く、エンストなど起こしそうにもない。そして街乗りや林道でよく使う1〜3速の3000回転以下が、すこぶる気持ちいい。これまでのCRF250Lとはまったく別物なニューモデルと言っても過言ではないだろう。

ホンダ CRF250L 特徴

数字上のシート高よりも足つき性は◎
スリムな車体とサスペンションが効果大

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オフロードバイクを選ぶ上で気になるのは、やはり足つき性だろう。多くの人が、本当は乗りたいマシンを足つきで諦めている。今回試乗した<s>タイプはシート高880mm(無印は830mm)というスペックだが、同じ880mmのシート高のマシンに跨って、足が届かずに諦めた経験がある人も、一度実車に跨ってみて欲しい。

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なぜならば、新型CRF250Lはフレームの幅が狭くなったことで同じシート高でも足が地面に届きやすく設計されており、シートに座るとサスペンションがよく沈み、さらに低く感じる。そのため、オフロード走行時にスタンディングからシッティングに移行するときはシートが近くて疲れにくく、座った時には足がつきやすいという、背の低さに悩むライダーにとって理想のマシンに仕上がっている。

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そして、足つきが気になるのは主に初級者だと思うのだが、このマシンは圧倒的に初級者に乗りやすく、しかし上級者が乗っても楽しめるように作られている。

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ホンダ CRF250L 試乗インプレッション

クセがまったくなく、とても素直
万人に向けたオフロードウエポン

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今回のモデルチェンジで一番大きな変更点は、先ほども挙げた-4kgの軽量化だ。しかし実は、義務化されたABSの装着やEURO規制をクリアするため+2kgの重量増を余儀なくされた。そこからフレームの見直しなどで、-6kgのシェイプアップが為されているのだ。完全新設計のフレームは軽量化されつつも最適な剛性を確保。横剛性を25%落とし、オフロード性能の向上が図られている。さらに同じようにスイングアームも軽量化されている。

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そして乗ってみてすぐに感じるのは数字以上の軽さだ。その原因はサスペンションとフレームを繋ぐボトムブリッヂをスチール製からアルミ製に変更、ヘッドライトにCRF450Lを彷彿させる薄型LEDヘッドライトを採用したことなどで、重心より高い位置の装備が軽量化されていることに起因するのだろう。CRF250Lはこれまでどちらかと言うと「オンロード性能によったオフロードバイク」という印象が拭えなかったが、そのオンロードの安定性はそのままに、オフロード性能を飛躍的に伸ばしてきたと言えるだろう。

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続いて注目したいのはエンジン特性だ。エンジン自体には基本的に大きな変更はない。しかしインテーク側のカムシャフトを変更することで、吸気バルブタイミングを最適化。オフロード走行時によく使う低中回転域で、これまでよりも力強く、扱いやすい特性に変わっている。2017年のマイナーチェンジで、低速トルクを厚くした際に生じてしまったトルクの谷を改善し、いたって素直なエンジン特性に仕上がっている。また、その特性に合わせて1〜5速のギヤレシオをローレシオに、6速のみ高速巡航性能を維持するためにハイレシオに設定していると言う。

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実際にダートを走ってみると、車体のコンパクト感が印象強かった。これまでのように鈍重なトレールマシンの印象は消し飛び、少し大げさだが、まるでファンバイクのCRF125Fのような感覚で、マシンを股下で振り回すことが可能なのだ。その大きな原因もちろん軽さなのだが、メインフレームの形状も大きく貢献しているように思われた。これまではステップからエンジン上部にかけて伸びるメインフレームは、なだらかな曲線を描いていたのだが、新型では足首の上あたりから急激に角度がついて内側に入り込んでおり、それによって足を使った操作性が格段に向上している。

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以上のような理由からフルモデルチェンジを果たしたCRF250Lは初心者から上級者まで、オンロードからオフロードまで幅広く楽しめるバイクに生まれ変わっていると言えるだろう。

ホンダ CRF250L 詳細写真

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ヘッドライトはCRF450Lを彷彿とさせる薄型LEDヘッドライトを採用。ハンドル周りの軽量化はオフロードバイクにとって何物にも代え難い恩恵がある。また、見た目もアグレッシブな印象を与える。

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エンジンは水冷4ストロークDOHC249cc単気筒。旧モデルのものをベースに吸排気系を見直しており、専用のカムシャフトを採用し、吸気バルブタイミングを変更。街乗りやオフロードで多用する低中回転域でのトルクや扱いやすさを向上させた。

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ボトムブリッヂがスチール製からアルミ製に変更され軽量化。ラジエーターはコレまでクラッチ側に装着されていたものをアクセル側に移設。代わりにクラッチ側にはホーンやクーラントのリザーバータンクが配置されている。

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ウインカーもヘッドライト同様CRF450Lで採用されていた軽量LEDウインカーに変更された。ステーが柔らかいフレキシブルラバーマウント構造になっており、転倒時などに90度まで折れ曲がっても破損せず、元の形状に戻る嬉しい設計だ。

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シートは旧モデルに比べ極端に細く作られており、<s>タイプで880mm、無印で830mmのシート高ながら、足つき性はその数値より良い印象を受ける。太ももが当たる部分が極端にスリムに設計されている点も操作性、足つき性に大きく寄与している。

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ステップはオフロードバイクらしくラバーなし。操作性が高く、ソールにしっかりグリップし、安定したライディングを補佐してくれる。泥や小石などが詰まってしまわないように底に大きな穴が空いている。

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メーターにはギアポジションインジケーターと、燃費系が新たに追加された。また、旧モデルに比べて文字サイズを大きくすることでライディング時の視認性を向上させている。

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試乗できたのはサスペンションの長い<s>タイプ。CRF1100Lのように限定生産ではなく、通常ラインナップとされている。オフロード性能を求めるライダーは絶対にこちらを選びたい。

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スイングアームは-550gの軽量化を実現。また、リアアクスルシャフトはモトクロスマシンのように中空タイプが採用されており、妥協のない軽量化が行われたことが伺える。

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クラッチはシフトダウン時のバックトルクを軽減し、リアタイヤのホッピングを抑制するアシストスリッパークラッチを採用。また、旧モデルに比べクラッチレバーの操作フィーリングが約20%軽くなっている。

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ハンドルバーは絞り角を増やすことで自然なライディングポジションを実現。バーパッドを装備するだけでお手軽によりレーシーなスタイルにすることもできる。ケーブル類の取り回しの丁寧さからか、ハンドリングは驚くほど軽快だ。

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リアフェンダー左後方、マフラーと対象となる位置にはツールボックスとヘルメットホルダーが配置されている。荷掛けフックもあり、ツーリング時のバッグ類の積載にも配慮されていることがわかる。

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