バイクウェアの頂点を目指すゴールドウインのEuroシリーズ
取材協力/ゴールドウイン  取材・文・写真/野岸“ねぎ”泰之  構成/バイクブロス・マガジンズ編集部
掲載日/2015年4月15日

ゴールドウインは国内有数のスポーツウェアメーカーだ。海外の優れたブランドをライセンス生産し、高品質なウェアをユーザーに届けているほか、自社の名前を冠したモーターサイクルウェアもラインナップしている。優れた機能性と快適性を両立させることに成功し、ライダーに最高の満足を与えるモノづくりの姿勢と、最高峰のEuroサイクロンジャケットについて、ストーリーをひも解いていこう。

INTERVIEW

スポーツウェアメーカーならではの
開発力が生み出した究極のウェア「Euro」

「弊社は1950年代初頭に富山県で『津澤メリヤス製造所』として創業、靴下などを製造していました。その後1964年の東京オリンピックで選手にユニホームを提供する際、金メダリストを表すゴールドウイナーになってほしい、という思いを込めて、ゴールドウインと改名されたんです」。

 

そう話すのは、同社でモーターサイクルウェアの企画開発を担当する福田斉さん。東京オリンピックで獲得した16個の金メダルのうち、12個が同社のユニホームを着用する選手だったことで、スポーツウェアメーカーとして一躍名を馳せることになったという。もしゴールドウイン、という会社名に聞き覚えがなくても、ノースフェイスやヘリーハンセン、チャンピオンなどのスポーツブランドを扱っている会社といえば、誰もが知っているだろう。ゴールドウインはこれら世界に名だたる高品質なスポーツ&アウトドアウェアをライセンス生産して提供し、ユーザーに高い評価を得ている。

 

そのゴールドウイン、実は約30年前からモーターサイクルウェアも出しているのだ。昔からバイクに乗っていた人なら、モトクロスジャージなどで「GWスポーツ」という名を記憶している人もいるだろう。

 

「現在はスポーツバイクに似合うRシリーズやシティウェアとしても違和感のないMシリーズ、最上級な存在のEuroシリーズなど、ゴールドウインの社名を冠したライディングジャケットやパンツ、グローブやレインウェアなど、レザーウェアとヘルメット以外、ほぼすべてのライディングギアを展開しています」

 

と福田さん。同社のモーターサイクルウェアにはスポーツやアウトドアウェアの開発、製造で培った技術力やノウハウが惜しみなく投入され、ライダーの快適性や安全性を確保しながら機能性をも高い次元で融合させた製品づくりが行われているのだ。

 

事業統括本部
ゴールドウイン事業部モーターグループ

マネージャー福田 斉 さん

ゴールドウインのものづくりの拠点である「富山のテクニカルセンター」

ゴールドウインのものづくりには「スポーツメーカーならではの強みがある」と福田さんは言う。商品の企画やデザインは東京で行うが、開発や試作などは富山にある工場とそこに併設されるテクニカルセンターで行っているという。同じ場所で登山用やマリン用など、他のアウトドアブランドもすべて開発されているため、他のブランドで得たノウハウも活かしながら、モーターサイクル用のウェアが開発できるのだ。

 

「アウトドアやスポーツウェアの開発担当チームとも横のつながりが強く、情報交換が密にされています。ですからたとえばスポーツウェアのために開発された新しい生地や素材などの情報もいち早く入手でき、モーターサイクル用に活かすことができるんです」

 

最新の生地や素材を他のブランドと合わせて一括購入するなどのスケールメリットのほか、完成したウェアを社員が実際にテストした際の改良点やユーザーの要望なども迅速にフィードバックされる態勢が整っているなど、他のバイクウェアメーカーにはできない、総合スポーツウェアメーカーならではの強みがあるという。

 

「ウェアの着心地に大きく影響するのがパターン、つまり型紙ですが、弊社には何十年もこの道一筋のカリスマ職人的なパタンナーが在籍し、他には真似のできない着心地の良さとシルエットを実現しているのも特徴だと思います」

 

福田さんによれば、ライディングウェアへの防水透湿素材の採用やメッシュジャケット、プロテクター内蔵ウェアなど、他社に先駆けていち早く世に送り出したのはゴールドウインだという。そんな、ライダーの快適性や安全性を重視する姿勢と技術の集大成ともいえるのが、同社で最高峰のモーターサイクルウェア「Euro」だ。

 

1986年に「ドイツのアウトバーンを安全・快適に走れる、世界最高水準のウェアを作ろう」とEuroプロジェクトは開始された。以後、研究開発に10年をかけ、95年に欧州各国でテスト販売をした際に絶賛され、96年に日本での販売がスタートした。Euroシリーズのウェアは、着心地、快適性、強靭さ、耐久性、安全性など、ライディングウェアに求められるすべての要素について、最上級の要求を満たしている。

 

「高機能防水透湿素材であるゴアテックスをはじめ、防弾チョッキにも使われる強靭さを持ったコーデュラを使用し、強度の高いハードプロテクターを採用するなど、その時代の最高素材を使い、常に進化し続けているのがEuroです。よく『価格が高い』と言われるんですが、使い方によっては10年程度着続けていただけますので、コストパフォーマンスに優れた商品だと思いますよ」

 

時代を超えて愛される、最高品質のウェア……Euroはライダーなら一度は手にしてみたい逸品といえるだろう。

1996年に製品化されたEuroの初代ジャケット

PICKUP PRODUCTS

快適性、運動性、安全性、利便性
すべてが高次元でバランスしたウェア

開発に10年という長い歳月をかけ、最初に誕生したのはEuroロングという名のウインタージャケットで「世界で最も暖かいライディングジャケット」を目指して作られた。以来、18年に渡り進化と改良を続けてきたEuroには、現在多くのモデルが存在する。そのうち、いわゆる春夏モデルに相当するのが、Euroサイクロンジャケット&パンツだ。単体で着用可能な高防水インナーを装備したデュアル仕様で、運動性を高める独自のカッティングとスタイリッシュなシルエットの中に、安全性を追求したハードプロテクションを装備。そして風の流入量を簡単、自在に調節できるエアコントロールシステムを備えた、全天候型のオールシーズン対応ウェアだ。ここではそのディテールを紹介するが、さらに深く知りたい方は、Euroユーザーのための情報交流サイト「Euro Club」を訪れてみてほしい。

 

  • 胸元のポケットはカーブしたファスナーを採用。まず使いやすい機能を考え、それに合わせたデザインを、というEuroのコンセプトの象徴といえる部分だ。

  • 背面を見れば、全体にシェイプされ、スタイリッシュなシルエットとなっているのがわかる。

  • 単体での着用も可能なゴアテックス採用のインナージャケット。高い防水性を誇るため、身体を濡らすことはない。

  • 大きく開く背中のベンチレーションは、内部の熱や蒸れを素早く逃がす。縫い目の出ないコンシールファスナーを採用。閉じたときにもスマートだ。

  • 背中の内側にV字型のパッドを装着した独自のエアベントシステム。凸凹のステッチが空気の通り道となり、背中と背プロテクター間の蒸れや暑さを軽減する。

  • 両肩部分にエアインテークを装備。形状記憶ファスナーの採用で、風を受けやすい形に保つことができる。画期的なシステムだ。

  • 左右の腕部分にも形状記憶ファスナーを採用したエアインテークを装備。開いた後に軽くつまむだけでファスナーの形がキープされ、走行風を導入しやすくする。

  • 背中、首、脇、腕など、ウェアの各部にリフレクターを配置。高い反射性を持つ素材のため、夜間の被視認性を高めてライダーの安全性を確保している。

  • ジャケットと統一感のあるデザインのEuroサイクロンパンツ。こちらも運動性と機能性に加え、安全性と快適性を追求。乗車時に合わせたデザインとなっている。

  • ゴアテックスを採用することで高い防水性を確保した、デタッチャブル防水ライナーを標準装備。必要に応じて着脱できるので便利だ。

  • 腿の部分には、大きな開口部を持つエアインテークを装備。形状記憶ファスナーの採用で、微妙なエア抜きから効率のいいクーリングまで、自在なエアコントロールが可能。

  • 裾部分のファスナーは大きく開くので、着脱の際に便利。膝のプロテクターは位置を調整できる機能がついている。膝から下のマシン側には人工皮革のインサイドガードを装備。

商品情報

GWS Euroサイクロンジャケット GSM12500

価格(税別)/11万円

GWS Euroサイクロンパンツ GSM13500

価格(税別)/7万5,000円

「Euro Club」はEuroシリーズを購入したユーザーのためのコミュニティ。新しいライディングギアの先行紹介だけでなく、メンバーだけが参加できる試乗会を開催するなど、バイクライフをさらに豊かにする催しを実施している。

BRAND INFORMATION

株式会社ゴールドウイン

住所/東京都渋谷区松涛2-20-6
TEL/0120-307-560

登山用ウェアやマリンウェアなどのアウトドアスタイル関連商品をはじめ、トレーニングウェアやスイムウェア、スキーウェア、バイクウェアなどのアスレチック&アクティブ関連商品までを製造、販売する総合スポーツウェアメーカー。