掲載日:2019年03月10日 原付漫遊記 › 松本よしえのゆるカブdays
え・文・写真/松本よしえ
写真をご覧くださいませ。これは1960年の「週刊朝日」1月31日号に掲載されたスーパーカブの広告です。「ソバも元気だ おっかさん……」の名キャッチコピーが光っていますねぇ。撮影されたロケ地の蕎麦屋「兵隊家」はカブの聖地として有名でして、ご存じない方はぜひ過去の記事(第十五回、第七十二回)もご一読くださいませ。
さて、今年も聖地で蕎麦を食べようとカブ仲間が集まったら、貴重なお宝に出合いました。なんと1960年代に展開した「ナイセスト・ピープル・キャンペーン」のノベルティグッズです。この絵柄は昨年に限定発売された「スーパーカブ50/110・60周年アニバーサリー」のカタログにも再登場しました。
お持ちいただいたTさんによれば、当時のディーラーさんが集まる国内キャンペーンで配られたとか。湯飲みは5客セットで口の部分にシルバーの縁どりを施したのが昭和レトロな雰囲気。セットを収めた段ボール製の箱は同じ絵柄の特製シール(テープ)で開口部を留めてあり、このシールも資料としてはレア物なのだそうです(残念ながら写真を撮り忘れました)。
さらにバッジのほうは絵がキラキラと変わるヤツで……え~と、これはホログラムじゃなくて、なんて呼ぶのだっけと調べてみたら、「レンチキュラー」という印刷の技法でした。見る角度によって異なる画像が現れます。懐かしいところでは1960年に大ヒットした「ダッコちゃん人形」の目が有名です。黒いビニール製人形に張られたパッチリ目のシールは見る角度によってウィンクするもので、これがレンチキュラー印刷なのでした。当時は偽物もたくさん出回ったため、このシールが真贋の見極めになっていたとか……。
あ、ちょっと脱線しすぎなので話を戻しますが、約60年の時を経て目の前に現れたお宝をカブ縁の地で拝見できるとは! 今回は素敵なゲストさんも登場し、カブで出会う素晴らしいご縁に心があったかくなりました。