福島復興の今 国道399号線を行く ツーリング情報局

福島復興の今 国道399号線を行く

掲載日:2012年07月04日 記事カテゴリ ツーリング情報局東北エリア    

投稿者/WRTさん | 取材日/2012年5月30日

ツーリング情報局

この現実を直視し
復興へ力を注ぎたい!

私は福島生まれの福島育ちで、18歳までふるさとの恵みの中で育まれてきました。2012年5月の終わりに、福島市にある両親の墓に詣ろうと思い立ち、バイクで出かけることにしました。

 

実家の石塀も震災で倒壊していますが、それぐらいはまだ被害は軽微。福島在住の友人、知人などを通じて、避難生活のつらさ、いらだちなど悲しい情報はたくさんもらっていました。しかし、私自身日々の報道を見ていると、次第に震災とその後の状況についてなんとなく切迫感や臨場感が薄まってきたのではないか、と危惧を抱くようになってきたのです。立ち入り禁止の地域はもちろん行くことはできないし、ただ状況を見るだけなら、地元で苦しんでいる皆様に迷惑ではないかとも思いましたが、福島生まれ育ちの自分が、現状をきちんと見て、多くの方にそれを伝え、何かできるなら意味があると思い、いわきから警戒区域の外側を走る国道399号線を北上することにしました。「ツーリング情報局」の場をお借りして、私が垣間見た実情を皆様にお知らせします。

 

 

美田であったはずの農地がまったく田植えされず、休耕田の状態に。草ぼうぼう、見ているだけで悲しくなります。

美田であったはずの農地がまったく田植えされず、休耕田の状態に。草ぼうぼう、見ているだけで悲しくなります。

まず、警戒区域には入ることは禁止されています。国道399号線は、一部林道のようなところもありますが、2車線で整備されている部分も多く、通行する車両が極めて少ないため、一般的には“快走路”と言えます。私が走行した川内村(かわうちむら)、葛尾村(かつらおむら)、飯舘村(いいたてむら)などの一帯では、ほとんど車の姿は見えず、ところどころの集落には人気がなく、田んぼや畑は一切耕作されていないなど、とても寂しい光景でした。ですから、快走路の走りを楽しむなどという気持ちはまったく起こらず、悔しい気持ちや悲しい気持ち、そしてヘルメットのシールドの隙間から入り込む風のせいか、眼から涙が出てきます。

 

交通量の少ない道を走るのは、パトカー、それも警視庁など応援の警察車両です。かなり頻繁にパトロールしているようで、度々出くわします。そして、特別警戒実施中という看板も多く目に付きます。避難中の留守宅に押し入る空き巣が発生したのでしょう。また、一度だけですが、交差点で住民の方が何人かで通行する車両のナンバーを控える検問所的なところもありました。自衛策なのだと思います。

 

飯舘村では、白い防護服と特別なマスクを身につけた除染作業の方々に何度も遭遇しました。除染で出た土などは、黒いパックに入れられて積み上げられているのです。大量に出るこれら除染の土壌など、今後の処理をどうするのかとても悩ましいことです。

 

 

除染作業後出た土壌などは黒いビニール袋に入れられて置かれています。この後、どういう処理をされるのでしょう。

除染作業後出た土壌などは黒いビニール袋に入れられて置かれています。この後、どういう処理をされるのでしょう。

ここで途中お目にかかったお二人の方のお話をご紹介いたします。最初は、川内村のガソリンスタンドで給油した際、とても親切にお昼ご飯のお蕎麦屋さんを教えてくれた女性の方です。

 

「震災後、屋内避難しろと言われて家にいたのですが、2011年4月には緊急車両もたくさん来て給油する必要もあるので、スタンドを開けることにしました。ですから、スタンドは震災後すぐに再開したというわけです。放射性物質の除染は完全にはできないのでしょうが、家、そしてすぐそこで野菜を作っていた畑 (今は更地)、そして裏の山のところまで除染は終わりました。かなり線量は下がったという結果です。裏の山の境界部分には“ここまで除染した”という目印のテープが貼ってありますが、全域やるにはどれほどかかるのか見当もつきません。でも、私たちはここにいますよ。川内村は帰村宣言も出して、いち早く戻ろうって言っています。がんばるしかないし、線量が下がったので、自分はここにいるつもりです。この天山というお蕎麦屋さんはとても美味しいから是非食べていって」

 

お話を聞いて、不覚にも涙が出そうになりましたが、満タンにして美味しいお蕎麦をいただきました。次は、途中でたまたま行き会った車に乗った初老の男性です。

 

「自宅が第一原発から数キロほどのところなので、いわき市に避難しているんです。今は震災のために無職になってしまい、毎日何もしないでいるのは嫌なので、今日は車で遠出して、警戒区域外の飯舘村などの様子を見にきたところなのです。バイクが好きなので、399号線は若い頃よく“攻めた”もの。たまたま止まっているイタリア製のバイクがいたので声をかけたというわけ。別に不審に思って声がけしたわけじゃないんだけど。復興はまだまだ進んでいないし、どれくらいの時間かかるのかまったく見通しが付かない。疲れてきて、嫌になってしまうので、こうやって出かけるのもいいということ。このあたりは滅多にバイク乗りなんて来ないので、こうして来てくれて見てくれたことが嬉しいという気持ち。墓参りに行く途中わざわざ寄ってもらって実態を見てもらうのはとてもありがたいと思いますよ」

 

バイク好きの方で、しげしげと私のバイクを見ておられたので私もちょっと安心しました。会話中、パトカーがそばを通りがかりましたが、特に声もかけられず、会釈しただけでした。

 

その後、よくテレビなどに出ていた飯舘村役場の前を通りましたが、ここには復興というか除染関係とおぼしき多数の車両が駐車している場所もあり、少しは活動の気配を感じられました。霊山を通って福島へと向かいましたが、途中からコンビニやスタンドその他多くの店があって、人の動きも多く、いくつかの通過した村々とはまったく趣の異なる状況にある種の違和感さえ抱きました。

 

私のレポートで、復興の現状、原発事故で避難を余儀なくされた地域の実情を少しでも知っていただければと思います。復興に寄与する方法は、募金、ボランティアなどさまざまあるでしょう。それぞれのやれること、やりたいことで貢献していく、それで良いのだと思います。

 

 

警戒区域への立ち入りに関する看板。パトカーの巡回も頻繁です。

警戒区域への立ち入りに関する看板。パトカーの巡回も頻繁です。

 

今回のツーリングの感想

私はすでに4月に「福島復興祈念ツーリング 三春滝桜ツーリング」と銘打って、10名以上のライダーのご参加を得て、福島で食べ、お土産を買い少しでも貢献するツーリングを実施しました。寄付やボランティアなどやれることはいろいろあります。でも、ライダーとしてできることは、観光でいいのです、遊びでいいのです、福島を訪れて賑わいを作る一助になればそれで支援になるのでしょう。高速道路の無料措置も終わって、観光にはやや逆風かもしれませんが、福島には見どころが豊富にあります。

 

ライダーとしての支援、それは訪れること!そう思い、7月28日(土)には、再度福島を訪れるツーリングを企画します。皆様も是非この夏は福島へ! 果物が豊富で美味しい、とても素晴らしい景色を楽しめる福島へ行ってみませんか。 

今回のツーリングルート

常磐道 湯ノ岳PA →国道399号線を使って→川内村→葛尾村→飯舘村→福島市→東北道 安達太良SA


より大きな地図で 2012.5.30.福島墓参と警戒区域外側399号線 を表示

スポット紹介

蕎麦酒房 天山

所在地/〒979-1201 福島県双葉郡川内村大字上川内字町分211

電話番号/0240-38-2033

営業時間/11:30~14:30

定休日/水曜

URL/http://www.kawauchi-tenzan.com/

 

WRTさん
プロフィール
WRTさん

所有バイク/
2011年式 BMW R1200GS Adventure
2011年式 Moto Guzzi V7Racer
2006年式 DUCATI Pole Smart 1000LE

32年のブランクを経てバイクの世界に戻ってきたリターンライダー。ツーリングで走るエリアは非常に広範囲で、関東を飛び出し甲信越や東北の一部まで達することも。愛車はロングツーリングに最適なモデル BMW R1200GS Adventure とモトグッツィ、ドゥカティポール・スマート。

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