第1回 ライディングと医学の関係 コラム『医学でコーナリングを極める』

『医学でコーナリングを極める』

第1回 ライディングと医学の関係

Column #438  掲載日:2015年08月04日

Text/Toshiaki YOSHINO

コラム『医学でコーナリングを極める』 

みなさんはじめまして! ドクター吉野です。私は現在、ある大病院の理事長と、私の専門分野である頭頸部の骨格と噛み合わせ治療のクリニックを経営しています。これからしばらくよろしくお願いします!

さて、ドクターである私がなぜライディングについて語るのかというと、かつてF-3クラスでのレース経験が基にあります。当時F-3と言えば4ストローク400ccまたは250ccエンジンで、私はホンダのVFR400RとNSR250で、関東のサーキットを走りまくっていました。

1990年代のVFR400Rと私。

時は流れてドクターとなり、治療を重ねるようになってから、あることに気が付きました。

「ライディングに骨格と噛み合わせを上手く利用すれば、もっと速くコーナリング出来る!!」

これを確信し、実践していましたが、当時そんなことを言う人は誰もいなかったので、20年黙っておりました。でもゴルフや野球では、既にこれらの理論は一部ですが取り入れられていたのです。

Facebookという私にとっては画期的なツールがきっかけで、元MCFAJ全日本500ccチャンピオン、MFJ全日本選手権でもスズキRG-γ500で大活躍したロードレース界のスーパースター、Jinさんこと斉藤仁さんと運命的な出会いをし、さらにJinさんの紹介で、私の人生を変える出会いをしました。それは、レーサーでジャーナリストの故 松下ヨシナリ選手との出会いです。

松下選手は、私のアドバイスと私が発明したライディング用レーシングマウスピースで、筑波で1秒に迫るラップタイムの向上を、たった数か月で達成してしまったのです。

故 松下ヨシナリ選手(写真左)と元500ccチャンピオンのJinさん(写真中)、そして私(写真右)。

さて、松下選手のお話の前に、ライディングと骨格、それに噛み合わせ、とくに下顎の関連と重要性についてお話します。

現在MotoGPでは、コーナリング開始時、とくにホームストレートから第1コーナーに入るようなフルブレーキングの際に、ライダーはイン側の足を前に出していますよね? まるでモトクロスやダートトラックにそっくりです。公道でそんなことをする人はいないと思いますが、じつは一般ライダーでも、同じような事を無意識に行なっています。それはイン側にほんの少しだけ、下顎を移動しているはずなのです。

まるでダートトラックの様な体重移動、荷重のかけ方の近代ロードレース。

アルペンスキーを経験されている方なら分かると思いますが、歯を食い縛った状態ではスラローム出来ません。また、体操で平均台を渡るとき、綱渡りをするときでも、決して食い縛っては出来ません。じつは両手でバランスをとりながら、最後の最後のバランスは、下顎を左右に動かすことによって行なっているのです!!

ここでクイズです。モトクロスやトライアルでは、なぜジェットヘルメットなのでしょうか? とくに、モトクロス系でもスーパークロスなどの競技は、ロードレース以上に顔面を強打する可能性があり、危険ですよね? チンガードを装備しているとは言え、フルフェイスヘルメットほどの安全性はありません。それでもフルフェイスを使わないのは、下顎を固定してしまうと高度なバランスが取れないからなのです。

下顎を支えているのは、じつは肩甲骨と頸椎(首の骨)と肋骨と頸動脈なのです。つまり、これらグルングルンに動き回る骨である、肩や首の骨を顎が制御している、ということなのです。悪く言えば、邪魔しているのです。

顎は胸骨、肋骨、そして肩甲骨まで繋がっている。右は解剖学的図、左はその模式図。紫が肩甲舌骨筋という筋肉で、下顎が肩に繋がっていることが分かる。ライディングにも顎は重要!

このように、医学(とくに解剖学)とライディングは密接な関係があります。これまで、医学はレースで怪我をしたときに重要でした。あるいはトレーニングに使われてきました。このコラムでは、もっと積極的に“医学で曲がるコーナリング”の理論をお伝えしていきます。

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