『バイク乗りの勘所』

ヘルメットを放置しないで

掲載日:2012年07月09日 タメになるショートコラム集バイク乗りの勘所    

Text/Nobuya YOSHIMURA

駐車スペースに止めたバイクのミラーにヘルメットをひっかける。ツーリングの途中でよく見かける光景だ。確かに、止まったバイクに跨がったまま、あるいは降りてすぐにヘルメットを脱いだとき、それを置くのにおあつらえむきの場所が(ネイキッドバイクの)ミラーである。だがそれは、ジャケットを脱ぐとか、タンクバッグから何かを取り出すとか、続く動作のじゃまにならないようにするための間だけに留めて、あとはぜひ持ち歩いていただきたい。

ヘルメットをミラーにひっかけたままバイクを離れると、落下の危険、盗難の恐れ、接触~傷つきの可能性…と、ロクなことはない。これから真夏にかけては、炎天下に放置したヘルメットが熱くなって、次にかぶるときに不快なだけでなく、色あせや、物によっては変質のおそれもある。もちろん、雨が降れば浸水するかもしれないし、冬場は逆に冷え切って、やはり、かぶったときに冷たい思いをするのに加え、ただでさえ曇りやすいシールドの曇りを促進する。

先日、道の駅で見かけた交通機動隊員は、脱いだヘルメットを前輪左脇の地面に置いていた。「さすが、シートに載せたりミラーに引っかけたりしませんね」と話しかけると「そう。落ちると大変ですからね。置くときは前輪の左端と決めています。ここが最も蹴飛ばされにくいですから…」と答えてくれた。場所まで決めているとは “さすが” である。私はそこまで厳格ではないが、脱いだヘルメットは地面に置き、バイクから離れるときは常に持ち歩いている。

持ち歩くのは、上に書いた落下、盗難、傷つきその他のトラブルから守る以外に、極めて個人的理由がある。薄汚れたウェアや、街着としてはエキセントリックな格好をしていることが多く、それだけだと奇異な印象を与えるかもしれないが、ヘルメットを持っていれば “なるほど” と納得してもらえるのではないかと考えてのこと。免罪符のようなものだ。ともあれ、置くときは地面、離れるときは持ち歩く。この2つを “転ばぬ先の杖” として提唱したい。

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