『バイク乗りの勘所』

チェーンのメンテを怠るな(4)

掲載日:2012年07月02日 タメになるショートコラム集バイク乗りの勘所    

Text/Nobuya YOSHIMURA

ドライブチェーンのメンテナンスで、張り調整と並んで重要なのが掃除と給脂。難しい張り調整はショップに任せていたとしても、清掃と給脂は自分でするという人は多い。だが、ちょっと待ってほしい。一見、簡単そうなチェーンの掃除と給脂ではあるが、すればいいってものじゃない。いろんなバイクのチェーンを観察したり、それらのユーザーの話を聞いたりしていると、「そんな掃除&給脂方法だったら、しないほうがマシですよ」と言いたくなる間違いが少なくない。

最も多いのは、せっかく掃除したのに、そのあとで、まるで汚れてくれと言わんばかりにネバネバのオイルをたっぷり塗るといった例だ。粘度が高いほうが飛び散りにくいから、ネバネバが良さそうだと思うのかもしれないが、そもそも飛び散るほど塗る必要はない。ローラーの表面やスプロケットの歯底が、うっすらと、オイルで湿って見えるくらいがちょうどいい。給油したあと、ウエスで拭き取って、拭き取れなかった分が残っている程度で充分なのである。

飛び散りによる周りの汚れさえ対策すれば、ネバネバ(流動性が低い)よりもサラサラ(流動性が高い)のほうが良い。ローラーとスプロケットが接触し、そこに力がかかったとき、間にあるオイルが押しのけられ、局部的に(顕微鏡で観察したレベルの話だが)剥げ落ちたようになる。このとき、流動性が低いオイルだと剥げ落ちたままになりやすいが、流動性が高ければ復旧しやすい。これが、ネバネバよりもサラサラのほうが適している理由のひとつである。

汚れにくさでも、ネバネバよりもサラサラのほうが優れている。ネバネバの飛び散りにくさは、接触した異物の離れにくさにもつながるから、汚れを集めやすい。しかも、ネバネバは、上に書いたように、押しのけられたときに戻りにくいから、局部的に溜まりやすく、そこに汚れが集まり、泥団子のようになってしまう。これを避け、良好な潤滑状態を保つには、マメな掃除とともに、流動性の高いオイルを用い、決して塗りすぎないように心がける必要がある。

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