17年ぶりにフルモデルチェンジを果たしたホンダのゴールドウイングツアーを最速インプレッション 試乗インプレ・レビュー

ホンダ ゴールドウイング ツアー

GOLDWING TOUR(2018)
HONDA

17年ぶりにフルモデルチェンジを果たしたホンダのゴールドウイングツアーを最速インプレッション

掲載日:2018年02月05日 記事カテゴリ 試乗インプレ・レビュー   

取材協力/本田技研工業  写真/ホンダ  取材・文/青木タカオ

独自の文化とステータスを創り上げ40年超
ゴールドウイングは6代目へ

オートバイとしては唯一の水平対向6気筒エンジンを搭載する大型プレミアムツアラー「ゴールドウイング」。そう、泣く子も黙るホンダのフラッグシップモデルで、最新モデルの排気量はなんと1833ccもあるうえ、エアバッグまでも搭載する仕様もあるのだから何もかもがケタ外れ。

初代が誕生したのは1975年のことで、ターゲットは広い広いアメリカ。並列4気筒のCBで功を成したホンダの次なる手は、ハーレーらの得意とする大陸横断ツアラーなるものを自分たちでつくるというもの。今度は4気筒を縦置きにし、水平対向式に。ホンダ初となるリッターバイク「GOLDWING GL1000」を開発し、ビッグバイク大国北米へ殴り込みをかけたのだった。

4代目となる1988年式で水平対向エンジンを6気筒化すると、1100→1200ccと上げてきた排気量も1500ccにまで拡大。その頃にはもうアメリカやヨーロッパを中心にグランドツアラーとして独自の文化とステータスを創り上げ、2001年のフルモデルチェンジでは1832ccに。このモデルでは量産二輪車用としては世界初のエアバッグシステムを搭載した。

そして今回、ゴールドウイングが17年ぶりに全面刷新。ホンダが威信をかけてのぞむモデルだけに気にならないわけがない。アメリカ・テキサスでのジャーナリスト試乗会にて、さっそく乗ることができた!

ホンダ ゴールドウイング ツアー 特徴

若い人が見ても「カッコイイ」と感じる洗練されたスタイル
もうオジサンだけの乗り物じゃない!!

ホンダ ゴールドウイング ツアーの試乗インプレッション

プレスミーティングがおこなわれるオースティンのホテルに、ずらり並んでいたのは新型ゴールドウイングだった。スタイリングが見直され、見るからに新しくスタイリッシュ。従来型のボテッと大きい印象はなく、スマートで軽快感がある。

ホンダ ゴールドウイング ツアーの試乗インプレッション

誤解を招く言い方かもしれないが、これまでだとゴールドウイングはオジサンの乗るバイクという印象が強かった。“成功者の証”みたいな一面もあるし、装備も豪華絢爛。ワイパーが付いていたり、オーナーじゃないと絶対にわからないってくらいにボタンがアチコチにイッパイ付いていたり……。ところがどうだ新型は。操作系は集約されているし、フェアリングもコンパクトに。若い人が見ても「カッコイイ」と感じる洗練されたスタイルに生まれ変わっているのだ。

ホンダ ゴールドウイング ツアーの試乗インプレッション

大事なことをまず言わなければならなかった。新型ゴールドウイングではトップケース付きのフル装備を「Gold Wing Tour(ゴールドウイングツアー)」とし、サイドケースのみ装備のバガーカスタムスタイルを「Gold Wing(ゴールドウイング)」とネーミングしている。つまり、この写真は「Gold Wing Tour(ゴールドウイングツアー)」であり、今回はまずこのモデルの試乗レポートをお届けしよう。

ホンダ ゴールドウイング ツアー 試乗インプレッション

DCTと好相性のライディングモードがGOOD!!
ダブルウィッシュボーンも違和感なく快適

ホンダ ゴールドウイング ツアーの試乗インプレッション

アメリカホンダのスタッフが先導するテストライドは、およそ440マイル(約700km)の道のりを2日間かけて走るというものだった。出発前は真っ直ぐに続くフリーウェイを80mph(129km/h)くらいで延々と突き進むようなクルージング主体のものだと勝手に想像していた。というのもテキサスの高速道路といえば、全米1の最高制限速度85mph(137km/h)の区間もあると聞く。グランドツアラーなら、そういうシーンでこそ持ち味が発揮すると思っていたからだ。

ところがどうだ。案内されるのは片側1車線のカントリーロード、さらにはワインディングまで続くではないか。この巨体をどうやって操れと言うのだ……そう焦ったが、ゴールドウイングツアーは思いのまま動いてくれるではないか。ハンドリングにクセがなく、コーナーでは狙ったラインを外さない。車体は素直に寝ていくし、自在に操れてアグレッシブにライディングを楽しめてしまう。

ホンダ ゴールドウイング ツアーの試乗インプレッション

まず、フロントサスペンションがいい。このフォーク、じつは従来のオートバイのようなテレスコピック式フォークではなく、4輪車によく見られるダブルウィッシュボーン式をホンダが二輪車用に独自開発したものなのだ。衝撃の吸収と転舵を操るパートを分担させたことで、大きな車体も何のその。負荷をいくら掛けようとも踏ん張り続けるし、それでいてステアリングフィールにストロークが干渉しない。大きな段差を乗り上げようとも、車体は落ち着き放っているといった印象だ。

もちろん硬くて動かないということは決してなく、走り出すと低い速度から柔らかくストロークしてくれ、乗り心地の良い前後サスペンションになっている。そして、どこからでもアクセルを開けていけるのは“シーン別ライディングモード”のおかげ。素のままでもトラクション性能は高いのだが、こちらの舗装は粗悪で荒れていて、なおかつ天候が不安定で雨で濡れているエリアもある。路面はスリッピーで、1.8リッターエンジンの強力なトルクを一気に掛けるのは、躊躇わなければならない。

ホンダ ゴールドウイング ツアーの試乗インプレッション

しかし、トルクコントロールをONにしておけばタイヤの空転は食い止められた。ライディングモードは「ツアー」「スポーツ」「エコノ」「レイン」と4種あり、状況に合わせて手元のスイッチで選んでおけばいい。トルクコントロールの介入度、パワーフィール、シフトチェンジタイミング、プリロード、ブレーキを巧みに制御してくれる。

ゴールドウイングツアーでは、7速DCT(エアバッグも搭載)仕様車とスタンダードともいえる6速マニュアルミッション車のどちらかを選べるのだが、ライディングモードと相性がいいのは、クラッチレバー操作とギヤチェンジの要らないオートマチック感覚のDCT(Dual Clutch Transmission)設定車だ。ライディングモード任せのイージーライドは、今回のようなツーリングシーンではじつにありがたく、このコンフォート性こそ新型ゴールドウイングの真骨頂だと思う。

ホンダ ゴールドウイング ツアー こんな方にオススメ

駐車場での取り回しに苦労しないから
体格に自信のない人やビギナーにもオススメ

4月2日から新販売網のHonda Dreamより発売されるゴールドウイングツアー。ライディングはエキサイティングだし、車体はどこをとってみても上質感に満ちあふれていて、さすがはホンダのフラッグシップモデルと唸るばかりであった。

従来からのファンもきっと満足できるはずで、テキサスでの試乗会でも「聞きつけてきた」というベテランのゴールドウイング乗りがご自慢の愛車で見に来ていたが、「こんなのを待っていた」とのこと。「娘に会いにロスまでいつも走りに行くんだ。途中、ガソリンスタンドがないから携行缶に燃料を入れておくのは忘れない」と言っていたが、きっとまた新型に乗り換えて、広いアメリカ大陸をゴールドウイングで縦横無尽に走るのだろう。

そんなコアなファンからも早くも称賛の声が上がっている一方で、これまで大型バイクに乗ってこなかった若い人たちにもススメしたい。高性能で快適だし、スマホのアプリも使えるし、そしてなんといってもSFアニメに出てきそうなムードもいい。賢いところはたくさんあるが、取り回しに苦労しないよう「ウォーキングスピードモード」があって、駐車場での取り回しに苦労しないよう微速での前進&バックが手元のスイッチ1つでできてしまうのだ。もうオジサンたちだけに乗らせておくのは、もったいない!

詳細写真

灯面を上下に分けたヘッドライトは、上側にロー、下側にハイとロービームを兼ねたシグネチャーランプをそれぞれ配置。ロービームのジュエルアイLEDは、磨き上げた光学レンズを左右5個ずつ用いた。

ハンドル左のスイッチで無段階調整できる電動スクリーンを装備。ダブルウィッシュボーンフロントサス採用などシャシーの全面刷新で乗車位置は前方へ移動しているが、ライダーとスクリーンの距離が近づいたことでスクリーンの小型化が可能となった。

ダブルウィッシュボーンフロントサスペンションは、ハンドル軸回りのスペースを削減するとともにフロントカウルの幅を抑え、コンパクトなスタイリングをもたらすことに貢献。快適な乗り心地ももたらした。

強力なストッピングパワーを生むラジアルマウントキャリパーをデュアル装備したブレーキシステム。前後連動によりレバーのみの操作でも前のめりになる感じが少なく、車体が安定した状態で制動力を体験できた。それはブレーキペダルを踏んだときだけでも同じことが言える。

メインフレームはアルミツインチューブ式を継承しつつ完全新設計。アルミダイキャスト製部材を全面適用し、重量低減を実現した。また、シートレール短縮によってマスの集中化も達成している。

シンプルに見やすくなったメーターは、右にタコメーター、左にスピードメーターをそれぞれアナログ式にレイアウトし、センターにフルカラーの7インチTFT液晶画面を置いた。オーディオやナビなどのインフォテイメントシステム、トルクコントロールON/OFF、プリロードアジャストなど各セッティングは画面上で可能だ。

新型ゴールドウイングにおいて大きなトピックスは、Apple CarPlayをバイクに初搭載したこと。iPhoneをライトニングケーブルで接続すれば、インストルパネル上で電話、ミュージック、マップ、メッセージ、PodCast、オーディオブック、Amazon Music、SpotifyなどCarPlay対応のアプリを起動させることができ、イヤフォンやマイクをBluetooth接続すれば音声認識での操作もできてしまう!

ライディング中でもグリップから手を離さず操作できるように、操作頻度の高い機能はハンドルにスイッチを集約した。ライディングモードやAT/MT切り替え、クルーズコントロールを右側で操作できる。

電動スクリーンの上下、オーディオなどのボリューム、ウォーキングスピードモードの操作、各種設定のセレクト/決定ができるのはハンドル左側のボタン。iPhone接続時にApple CarPlay対応のアプリを起動させたときも、ハンドルスイッチにて操作できる。

燃料タンクの左右に分かれて配置されていたスイッチ類も、手の届きやすいセンターコンソールへ集約。スティックボタンやホームボタン、グリップやシートヒーターのスイッチなどがまとまっていて使いやすかった。

収納容量は従来型より減ったものの、それでもリアトランクとサドルバッグ合わせて110Lの容量を確保。トランクはフルフェイスヘルメット2個を余裕を持って収納できる。

ダンパーが設けられ、滑らかで上質感のある開閉を実現したサドルバッグ、そしてリアトランク。3泊4日、2人分の荷物を想定している。

ゆったりとしたクルーズ性能とダイナミックな加速性能を両立した水平対向6気筒エンジン。ジェネレーター(発電装置)とスターターモーターの機能を1つに統合したISG(Integrated Starter Generator)は、大型二輪車としては初採用で、軽量コンパクト化と始動時の静粛性を上げている。

身長175cmのライダーだと両足がカカトまでしっかり届き、足つき性に不安は一切ない。カタログ値でのシート高は745mmと従来より5mm上がっているが、実際には地面に足が届きやすくなった。シート座面の内ももが当たるところを削るなどシート形状を全面見直し、さらに車体のシート跨ぎ部の形状も絞り込まれたことですんなり足が出せるのだ。

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