掲載日:2013年03月08日 バイク用品インプレッション
撮影・文/野岸 泰之
クルマやバイクの世界では、輸入車は個性的だとよくいわれるが、ヘルメットにも同じことがいえるかもしれない。海外製のヘルメットの中には、デザインにしろ機能にしろ、ユニークなアピールポイントを持った製品が少なくない。今回紹介するブレンボのB-techも、まさにそんな製品の一つである。
このヘルメットは、ブレーキで世界的に有名なメーカーであるイタリアのブレンボ社が世に送り出したもので、製作は同じイタリアのヘルメットメーカーであるNewMax社が担当している。
その際立った個性は、外観のデザインにも表れている。丸く、シンプルで球体に近い形状の帽体に、同じく柔らかなふくらみを持たせたバブルシールドの組み合わせ。これだけなら単なるレトロなイメージになるところだが、シャープなシルエットで突き出たチンガードに、鳥のくちばしのような菱形のマウスガードを組み合わせることで、まるで宇宙服のような近未来的な雰囲気を醸し出している。スクーターでのシティランからスーパースポーツでのツーリングまで、どんなシチュエーションでも似合ってしまいそうな、不思議な魅力を持ったデザインなのだ。
シールドは機能的にも優れていて、一般的なフルフェイスヘルメットのシールドにくらべて、視界が約30%も広いのだという。トレンドのインナーシールドは装備していないが、サングラスを併用してもまったく邪魔にならないデザインのため、その日の気分や好みに応じたスタイルを楽しめるというわけだ。
もう一つの大きな特徴が、AFBと呼ばれるシステムを世界で初めて採用したこと。これは、ボタン一つでループ状のあごひもをシュッと締めたり、ワンタッチで緩めたりすることのできる画期的な機構。あごひもを締める動作を毎回やらなくていい、というのは非常に楽なのはもちろんのこと、ベルトが締まるテンションが、とても自然で絶妙なのだ。この便利で快適な感覚はこのヘルメットでしか味わえないもので、一度体験してしまうとクセになる。デザイン、機能とも独自の主張を持つブレンボのB-techは、他人と違う個性派のヘルメットを求めている人にはぜひ検討してもらいたい一品だ。
赤いボタンを押すとベルトが瞬時に巻き取られ、首に絶妙にフィット。伸ばして開放するのもボタン一つ。ベルトは四輪のシートベルトで有名なsabelt社製で、しなやかさと抜群の強度を誇る。
後頭部には大きくブレンボ社のロゴマークが入り、遠くからでもひと目でわかるアイコンとなる。下部のパイピングはリフレクターとなっていて、夜間走行時の安全性にも配慮している。
前頭部にシャッターつきのベンチレーションを装備。効きはそれほど強くないが、内部の換気に役立つ。シールドと当たる部分にはフェルト状のパッドがあり、デザインと密閉性を高めている。
シールドのピボット部分のデザインは、同社の代名詞であるブレーキディスクとキャリパーをイメージ。中央の黒い部分が蓋になり、シールドの脱着はその中の六角ボルトを緩めて行う。
チークパッド、トップパッドともに取り外して洗える。要所にメッシュ素材が使われ、快適性を高めている。耳部分は多少の余裕があるので、インカムのスピーカーを仕込むのも難しくない。
ふだん使う巻き取りボタンは右手側。反対側にはベルトをバックルごと開放するためのボタンが隠される。緊急時はもちろんのこと、ヘルメットホルダーを使用する際にも便利なしくみだ。