KTM 690 DUKE R
KTM 690 DUKE R

KTM 690 DUKE R – KTMの新世代ミドルスポーツ

掲載日:2013年09月26日 試乗インプレ・レビュー    

取材・文/佐川 健太郎  写真・動画/MOTOCOM  衣装協力/HYOD

KTM 690 DUKE Rの試乗インプレッション

KTM 690 DUKE Rの画像

一段と高められたスポーツ性能と
所有欲を満たす作り込みが魅力

程良い排気量と扱い切れるパワー、軽量コンパクトな車体サイズなどを武器に、軽快な走りで街やワインディングを駆け抜ける、ミドルクラスが世界的に流行っている。690 DUKE Rもその代表的なモデルのひとつだ。

KTMのカテゴリー的には“ネイキッド”に位置付けられているが、一般的なそれとは異なり、かなり特殊だ。ライディングポジションは上体が起きたアップライトなスタイルで、元々がモタード由来ということもあり、シート高も865mmと高め。特に “R” は前後サスペンションのストロークも伸びているため、見た目の印象は “足長系” である。ただ、実際に跨ってみると、イニシャルはソフトで沈み込み量も多く、また単気筒エンジンゆえのスリムさと軽い車体に助けられるため、数値以上に足着きはいい。STDと大きく違うのはステップ位置で、大幅に後退してやや高めにセットされている。スポーツライディングにはしっくりくるライディングポジションだ。

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エンジンはエンデューロレースで鍛えられた伝統のLC4をベースに強化改良されたものだ。LC4の弾けるトルクとパワフルな中速域はそのままに、出力特性はよりマイルドかつ高回転まで回るようになっている。特にフル・ライド・バイ・ワイヤの採用は大きい。スロットルレスポンスはリニアかつ穏やかで、パワーは出ているが乗り味がマイルド。やや電気的に制御された感じはあるが、すぐに慣れるだろう。

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フレームはR専用に強化されているそうだが、公道レベルの走りではそれを感じることはできない。ただ、サスペンションの違いは明らか。前後WP製であることは同じだが、STDと比べると格段にしっかり感が増している。STDがどちらかというとソフトセッティングだったのに対し、“R” はダンパーが効いてサスペンションの動きにグレード感が出てきた。ストロークは増えているはずなのにフワフワしないのだ。直線ではやや車高の高さを感じるものの、ブレーキングでフロントフォークを沈めて旋回中にきっちり荷重をかけてやれば、前後サスペンションがきれいにストロークして、スーパースポーツ並みのコーナリングもできる。

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ブレーキも秀逸だ。レーススペックのブレンボ製キャリパーとマスターの組み合わせにより、軽量な車体をそれこそ意のままに減速コントロールできるし、特にボッシュの最新型ABSは、ハードブレーキングでのロック寸前の繊細な操作を肩代わりしてくれる。加えてシフトミスをカバーしてくれるスリッパークラッチも装備されるなど、ある意味、過激でありながら非常に安心感の高いパッケージングなのだ。これはスポーツライディングを心穏やかに楽しむ上でも大事なことだ。

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装備重量150kgを切る軽量スリムな車体のメリットを生かし、混雑した市街地でもスイスイと走り抜けられるし、ワインディングでは存分にスポーツマインドを楽しめる。そして何と言っても、全身に散りばめられたオレンジ色のパワーパーツが誇らしい。走りの爽快感とともに、所有欲も満たしてくれるのが “R” だ。そう考えると、STDとの価格差も十分価値あるものと思えてくる。

KTM 690 DUKE Rの詳細写真は次ページにて

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