掲載日:2009年03月12日 試乗インプレ・レビュー
構成/バイクブロス・マガジンズ編集部
リッタースポーツが人気の国内市場では比較的目立たない存在だが、ヨーロッパに目を向けると、600ccクラスのスーパースポーツは最も熱いカテゴリのひとつだ。ヨーロッパでは保険制度の関係上、掛け金が安くなる600cc未満のバイクの人気が元々高かった。また、4気筒600cc以下の公道用バイクをベースとしたマシンで争われる「スーパースポーツ世界選手権」の隆盛により、レースの結果がそのまま販売台数に直結するようになったため、各メーカーがしのぎを削る舞台となっている。今回インプレッションするのは、ホンダのミドルクラス・スーパースポーツ「CBR600RR
CBR600RRは、走りのために徹底的に作り込まれたマシン。取り付けられているパーツや、与えられたパフォーマンスから、ホンダの本気がひしひしと伝わってくる1台だ。搭載されているエンジンは、コンパクトながら高出力の水冷DOHC4バルブ4気筒エンジン。レーシングテクノロジーにより培われた高度な電子制御燃料噴射システム「PGM-DSFI」を採用しており、環境基準に適合させながら、国内仕様としては過去最高となる78PS/12,000rpmという高出力を実現している。エンジン自体のサイズもこれまでのCBR600RRシリーズの中で、最小・最軽量となっているのも特徴だ。このエンジンと軽量な中空構造アルミフレームを包み込みカウルは、徹底的に空力特性の最適化を行ったもので、エンジン部の排熱も高めながら、よりデザイン性を重視した形状となっている。
そして何より注目したいのは足回り。今回のABS仕様から採用された、世界初のスーパースポーツ用ABSである「電子制御式コンバインドABS」は、従来機械式の前後連動ブレーキであったコンバインドブレーキシステムを電子制御化したものだ。ライダーのレバーからの入力を制御ユニットで解析し、最適な制動力を自動的に分配してブレーキングを行うシステムで、スポーツバイクに求められる繊細なレバーコントロールを楽しめるようになっている。その他にも、車速や加速度を感知して、ダンパーの減衰特性をコントロールするステアリングダンパー「Honda Electronic Steering Damper(H.E.S.D)」を搭載。スポーツマシンの定番とも言えるラジアルマウントブレーキキャリパーや、細やかに減衰力調整が可能な前後フルアジャスタブルサスペンションを採用しており、まさに全身からホンダの本気をうかがわせるハイパフォーマンスパーツで武装されている。国内仕様唯一のミドルクラス・スーパースポーツとして、スキのない完成度だ。