【Page2】STDからでも楽しめるセッティングの世界

掲載日:2010年07月12日 特集記事サス調整術    

記事提供/2010年3月24日発行 月刊ロードライダー 5月号

サスセッティングと言うと、すぐアフター製高性能ショックをイメージしてしまうものだけれど、近頃のネイキッドやスーパースポーツなら、STDサスでも十分にセッティングが楽しめる。言い方を変えれば、アフター製に変更するのは、STDを熟知してからでも遅くはないのだ。

'97年初出で13年目を迎えるZRX1100/1200シリーズは、サスセッティングを学ぶのに最適と言える素材。まず純正サスユニットに基本的な調整機構が装備されているし、アフターマーケット製前後サスも世界一と言えるほど豊富。その上、ZRXシリースは前後サスをいじった際の変化が実に分かりやすいから、初心者でもセッティングの傾向が掴みやすい

   
   
   

 

分かろうとすれば
違いは誰にでも分かる

サスセッティングを行う上で最も大事なことは、乗り手の“分かろうとする姿勢”だ。サスに限った話ではないけれど、セッティングの話になると「乗るのが下手だから」、「メカは苦手だから」といった理由で、突っ込んだ話を避けたがる人は意外に少なくない。確かにベストセッティングを見つけるには、ある程度の技術や知識が必要なのだが・・・・・・。

 

“分かろうとする姿勢”があれば、セッティング前と後の違いは誰にも体感できる。ウソだと思う人は今すぐ外に行って愛車を10分ほど走らせ、続いてリヤのイニシャル(どんな車両にも調整機構が付いている)を最強にして、もう一度走ってみてほしい。たいていは乗り心地が悪くなったりフロントが落ち着かなくなったり、あるいは旋回性が鋭くなったりするはずだが、サスセッティングはすべてこういった作業の積み重ねで、ベストを探っていくものなのだ。

 

乗り手の構え方の次に大事なのは走る場所、基本セッティングを決める道だ。もちろん、サスセッティングも季節やカスタムの進行具合によって変わるものだけれど、大前提となる基本セッティングは、一定区間を何度も往復・周回する形で行いたい(最も適した場所は交通量の少ない峠道)。その理由は同じ状況下を何度も走ることでセッティングの良否が判別しやすくなるからで、逆に言うと、刻一刻と状況が変化するツーリングなどで基本セッティングを決めようと思っても、アマチュアにそれはなかなか難しいのである。

 

このあたりを把握したらいよいよ実践だが、自分なりのテスト場所に着いて最初にやるべき作業は、フロントイニシャル→リヤイニシャル→フロント伸び側→フロント圧側→リヤ伸び側→圧側といった順序で、それぞれの最弱・最強状態を体感すること(次の項目に移行する際は、今やった項目をSTDに戻す)。こう書くと最強や最弱だと乗れたもんじゃないと思う人もいるだろう。危険を冒せと言っているわけではないし、サスセッティングではまず硬さや柔らかさを知ることが何より重要。

 

また、巷には“ノーマルサスはノーマル設定がベスト”説があるようだけど、近年のリッタースポーツでは標準設定でイニシャルがかかり過ぎたりダンパーが効き過ぎていたりも珍しくないし、逆に日本向けネイキッドだと、ダンパーを締め込んだほうが操作性がよくなることもある。

 

いずれにしても妙な先入観を持たずに各パートの変化を体感しておくことが、ベストセッティングを見つけるための第一歩なのだ。

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