自分ができることは? その問いを具現化した「浅間ヒルクライム」

掲載日:2017年07月19日 トピックス    

取材協力・写真/浅間ヒルクライム  文/高城一磨(ホワイトハウスオートモービル

参加することでより深く見えてきた
日本のモータースポーツイベントのあるべき姿

これだけ世界的な2輪/4輪メーカーが存在するにも関わらず、日本はモータースポーツ文化の浸透が浅いと言う声をよく聞きます。確かに、貴重なヒストリカルモデルを集めたイベントから、庶民的なスワップミートまで、老若男女のバイク/クルマ好きのイベントやコミュニティが数多く開催され、存在する欧米に比べると、いまだにそう思えてしまうことも事実です。またレース活動で世界的な功績を残しても、地上波等メジャーなマスコミでの扱いが小さい、もしくはほとんどない、という認知度の低さについても、同様の声を聞きます。

でも、嘆くだけでは前に進むことはできません。自分のできるところから、その意志に賛同してくれる仲間とともに、バイク/クルマが持つカッコよさ、美しさ、スピード、サウンド、匂い、それらをもっと身近に感じてもらおうと、活動を続けている団体が国内にもあります。そのうちのひとつが、2017年の5月末に開催された「浅間ヒルクライム」です。

試行錯誤を繰り返しながら、好き者が手弁当で運営している、公道を利用したモータースポーツイベントに、インディアンモーターサイクルの水冷Vツインモデルであるスカウトで参加しました。その様子とともに、このイベントが持つ可能性を写真でお伝えしたいと思います。

フォトTOPICS(写真点数/11枚)

01浅間ヒルクライムは、浅間山の麓からアサマ2000というスキー場へ登る、チェリーパークラインで行われる、タイムトライアルイベントです。本数は少ないですが路線バスも走る生活道路で、そこを一時封鎖し、1台ずつ30~60秒置きにスタートします。

02インディアンモーターサイクルのスポーツクルーザー、スカウト。エンジンは水冷VツインDOHCで、フレームはスチールパイプとアルミを利用したハイブリッドフレームを採用。アメリカンクルーザーながら、浅間のワインディングも楽しめました。

03公道封鎖区間ゆえ、コース幅(=2車線)をフルに使って、頂上を目指します。タイミングが合うと、先行していた車両に追いつき、競り合いになることも。こちらは直線で早いMVアグスタF4に対し、コーナーで追いつく4輪バギーという、異種格闘技戦の図。

04素晴らしいコンディションを維持している、アルピーヌA110。新緑溢れるワインディングを駆け抜けるその姿は、クルマに詳しくなくとも美しさを感じとれるものだと思います。多くの国内外の名車、旧車、スーパーカーが、素敵なサウンドを奏で疾走。

05懐かしのマッハ号も登場。ベースはユーノスロードスターで、ボディはすべて自作とのこと。フロントノーズ下からは秘密道具のノコギリが登場する芸の細かさで、年配のファンは感涙。ギャラリーコーナーは観客で埋め尽くされ、イベントの人気が伺えます。

06浅間ヒルクライム最大の特徴と言えるのが、参加者と観客の距離の近さではないでしょうか。クールダウンエリアでは、ゆっくりと走り観客とハイタッチ。道路脇から手を振るこどもたちには、バイクもクルマも手を振り、にこやかに応えていました。

07どの業界でも、先々の発展を考えた場合、こどもを取り込むことを考えないわけにはいきません。モータースポーツも然り。「バイクやクルマで遊ぶ=オトナだけの遊び」にしてしまっていたことが、文化的発展を阻む一因につながっていないでしょうか?

08開催に欠かせない縁の下の力持ちである、オフィシャル。全国からボランティアで集まり、受付業務やコース各所に散ってイベントの運営を支えています。多くのオフィシャルが、その機動性から自分のバイクで参加し、現場の足として活用していました。

09公道を使用するためには、自治体の協力を得ることも必要です。現在、小諸市や地元警察、旅館関係者等の協力を得て、町おこし活動としても注目されています。理解を得るために、情熱を伝え、メリットを生み出す仕組みを作ってきた賜物と言えます。

10「あなたはお客さんを何人呼べますか?」この問いは、4輪で活躍中のレーシングドライバー、W選手が先日SNSを通じ投げかけたもので、サッカー元日本代表のK選手の新聞記事を引用。この意識を個々で持つことが、やはり重要ではないでしょうか?

11モータースポーツ好きが自分にできること、それを具現化したものが今回紹介した「浅間ヒルクライム」ではないか、と思います。まだ発展途中で課題も多いですが、それでも理解の輪を広げ、周囲を巻き込み、観客を増やしています。積み重ねを続けている「浅間ヒルクライム」というイベントを知り、可能であれば見て感じてほしいと思います。

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