BMW Motorrad R 1200 RT (DOHC)
BMW Motorrad R 1200 RT (DOHC)

BMW Motorrad R 1200 RT (DOHC) – 快適な長距離クルーズにスポーティな走り

掲載日:2010年03月19日 試乗インプレ・レビュー    

構成/バイクブロス・マガジンズ編集部

快適な長距離クルーズにスポーティな走り
普遍のキャラクターは継承される

初代 RT が誕生したのは1978年、当時世界中のモーターサイクル・ファンを驚かせた R100RS に、より「走行環境からライダーを保護する」機能を加えて登場した R100RT が始祖となる。以降連綿と続く RTシリーズの血統は、長距離長時間の高速移動のみならず、ワインディングで発揮される高いスポーツ性能やシティクルーズでの軽快なフットワークも兼ね備えている。2人分の荷物を満載したタンデム走行であってもそれが揺らぐことは無く、あらゆる国のモーターサイクル・ツーリスト、あるいは実用主義のライダーたちによって最大の評価を受けており、機動力と耐久性、なによりライダーの安全を優先する製品造りには信頼が厚い。国によっては公用車両として利用されていることもある。

OHVボクサー時代から SOHCボクサーへ、排気量を拡大しながら進化してきた RTシリーズは、2005年に 1200ボクサーへとフルモデルチェンジし、独自のキャラクターを損なうことなく工業製品として真っ当な進化を遂げた。そして2010年、伝統のボクサーエンジンは新型 DOHC シリンダーを備え、さらに RT としての個性に磨きがかけられた。

BMW Motorrad R 1200 RT (DOHC) 特徴

完成度の高い車体デザインと
贅沢な装備に拍車がかかる

BMW Motorrad R 1200 RT (DOHC) 写真
BMW Motorrad R 1200 RT (DOHC) 写真
BMW Motorrad R 1200 RT (DOHC) 写真 BMW Motorrad R 1200 RT (DOHC) 写真

ボクサーGS を皮切りに、R1200シリーズのバルブ駆動方式は SOHC から DOHC へと推移してゆく。その恩恵はエンジン回転数全域に渡って豊かなトルクを発生することと、大排気量ツイン・エンジンとは思えないシャープな吹け上がりで、欲しい出力が即座に捻出される点だ。走り出せば快適、安楽この上ない乗り物でも、低速走行では常にハラハラと危機感を伴う大型クルーザーにとって、低回転から厚みのあるトルクを発生することは、ライダーに対して大きなアドバンテージとなる。最大トルクは先代と比較して 5Nm アップの 120Nm/6,000rpm、最高出力は変わらず 110PS/7,750rpm だが、そこへ到る時間はずいぶんと早くなった。

オンロード・ツアラーなら RT、エンデューロ・ツアラーなら GS と言うように、RTシリーズは常に BMW Motorrad のフラッグシップ・モデルとして重要なポジションを担ってきた。今回の仕様変更においてもその役割は変わらない。ニュー R1200GS がオンロード志向へと明確に方向性を示している分、RT はより効果的なウィンド・プロテクションと、快適なクルージングを楽しむためのラグジュアリー装備を充実させることで差別化を図っている。次項の【PHOTO TOPICS】では先代 RT との外観の違いが確認出来るが、シルエットのみで新旧を判別するには、スクリーン上端部の形状とラジエーターへ走行風を導入するグリル形状に目を凝らすしかない。しかし各部を注視すると、主に車体中心よりフロント側に変更箇所が集中して見られ、外装からハンドル周りまで、ほぼ全てが異なる。そのような注意して見なければ気付かない細部の変更が、一体どれだけの意味を持つのだろう? と思ってしまうが、逆に言えば、RT の車体デザインはこれ以上手を加える必要が無いくらい、機能面において完成度が高いのだ。

細部多数に到るデザイン変更に加え、新しいオーディオシステムを装着することも可能となった。工場オプション扱いになるが、その装備はこれまでのモーターサイクルには見られない斬新なもので、左グリップとスイッチボックスの間に挟まれるように組み込まれた回転式コントローラーの採用がなんと言っても前衛的。これによって走行中、前方の視界から目を外すことなくオーディオの設定を容易に行うことが出来てしまう。また回転方向だけでなく、横(ハンドルバー並行)方向にも小さく動き、プッシュ・スイッチの機能も備わっている。

ニューRT には2つの価格帯が設定され、ベースとなる「ハイライン」にはインテグラル ABS やオンボードコンピューター、グリップヒーター、パニアケースなどが標準で装備される。さらに高い価格設定の「プレミアムライン」には、その装備に加えて ESA(電子調整式サスペンション)、ASC(オートマチック・スタビリティコントロール)、クルーズコントロール、シートヒーターなどが標準装備。新オーディオシステムはプラス10万5,000円で追加装備が可能。

エンジンとスタイリング、それに加えて新オーディオシステムの装着が可能となった今回の仕様変更により、価格面では先代よりも10万円強のアップとなる。…この記事の続きをバージン・BMWで読む

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SPECIFICATIONS - BMW Motorrad R 1200 RT (DOHC)

BMW Motorrad R 1200 RT (DOHC) 写真

価格(消費税込み) =
233万円(Hi-Line)
250万8,000円(Premium-Line)
※ツートンカラー:5万2,500円アップ

1150ボクサーから1200ボクサーへと進化した2005年以来、初の仕様変更となった RT。DOHC ボクサーの搭載とラグジュアリー装備の充実で、より運動性能と快適性が向上した。

■サイズ(空車時、ミラー含む) = 全長2,230×全幅905×全高1,430mm
■シート高(空車時) = 780/800mm
■車両重量(走行可能状態) = 259kg
■エンジン = 4ストローク水平対向2気筒
■総排気量 = 1,170cc
■クラッチ = 乾式単板
■ミッション = 6速
■最高出力 = 81kW(110ps)/7,750rpm
■最大トルク = 120Nm/6,000rpm
■駆動方式 = ドライブシャフト式
■Fタイヤサイズ = 120/70 R19
■Rタイヤサイズ = 180/55 R17

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