掲載日:2018年07月12日 トピックス
まとめ/宮崎正行 写真/柴田直行、関野温、富樫秀明、徳永 茂、野岸“ねぎ”泰之、長谷川徹、渕本智信、真弓悟史、山家健一
記事提供/BikeBros.2018編集部
※この記事は『BikeBros.平成三十年上期編』に掲載された内容を再編集したものです。
※個々に記された車両スペックは、ベースグレード(最低価格)のもので表記統一しております(車重についてもメーカー表記に準じます)。生産終了車につきまして市中の新車在庫が確認できたものに関しては掲載しております。また、掲載されている車種は一部に旧年式モデルを含みます。
テストライダー:青木タカオ/小川浩康/小松男/佐川健太郎/櫻井伸樹/鈴木大五郎/田宮徹/中村友彦/成田恒一/野岸“ねぎ”泰之/堀田修/松井勉/宮崎正行/吉友寿夫/和歌山利宏/渡辺学
ニューモデルラッシュが続きにわかに活況を呈してきた2018年の国内モーターシーン。インプレをまとめて読んで、次の新車購入の参考にしたい!」そんな読者の声に直球で応え、国内外のニューモデルを取り揃えて「気になるアイツはこんなヤツ!」と言い切る試乗インプレ記事をズラリ掲載!
第一弾となるこの記事では、スポーツネイキッド & スポーツツアラー、15車種を前後編にわけてお届け。お待ちかねの後編です!
R1ベースのネイキッドモデルと言われるが、実際はエンジンの40%を、車体の60%を専用設計とし、ストリートスポーツに最適化されている。とはいえDNAはR1、クロスプレーンクランクによるMTらしいトルク感と寛容性が織り込まれていることが試乗によって確認できるだろう。
足着きはR1ほど悪くなく、リッターネイキッドとしては標準的、ライディングポジションも自然だ。車重はR1よりも10kgほど重いが、取り回しはむしろ軽いし、クラッチ操作もライトでイージーだ。
SPはオーリンズの電子制御サスが装備されるており、上質感と接地感が増している。ワインディングキングの名をさらに盤石にするためのスペシャルパーツの架装は大歓迎だ。
SPEC/997cc 212kg 199万8,000円
11年目を迎えたカワサキのミドルツインが驚きの進化を遂げた。真摯な熟成を追求した先に辿り着いた新型ニンジャ650の出来の良さは、どんな場面でどんな走りをしても不安になることがなく、操る楽しさもしっかり維持されている。
少々やんちゃだった従来型を否定するわけはないのだが、あらゆるシーンできっちりテストを行われた印象が新型にはあふれているのだ。この特性であれば、速度域が高いサーキットでも、はたまた逆に路面がガタガタの酷道でも、それぞれ心からライディングが満喫できるに違いない。
コストが重視されがちなミドルの世界では、異例と言えるほど気合いの入った仕様変更を行ってきたカワサキの姿勢に感じたい。
SPEC/649cc 193kg 80万7,840円
インパクトの強いビキニカウルの装着をはじめ、つや消しブラックにペイントされたハンドルは左右で10mmずつ狭く、メリハリの効いた段付きシートはまるでシングルシートのような趣きである。シート高はRSよりも20mmほど高く、見た目の印象と同様に、実際に跨っても数値以上に違いを感じる部分だ。
ノーマルとは思えない元気な排気音とともにシフトアップを繰り返せば、外見ストリートファイター、中身スポーツネイキッドのベースモデルであるZ900よりも、さらに急かされない重厚なフィーリングで217kgの車体をグイグイと力強く前に推し出してくれる。ブレーキのナチュラルフィーリングもこのバイクの素性の良さを語るに十分だ。
SPEC/948cc 217kg 135万円
外装やクイックシフター、トラコン、アシスト&スリッパークラッチなど17年型で大幅な刷新が行われたMT-09だが、やんちゃで過激だった素性に大きく変化はない。一般的のライダーにこのアグレッシブさは手強く感じるだろう。
しかし爽快感は明らかにアップしており、ギアチェンジが超スムーズに行えるクイックシフターとアシスト&スリッパークラッチの出来の良さには感心した。吸排気系の見直しで官能的な吹け上がりを見せるようになった並列3気筒エンジンや、圧側減衰力調整機能を追加すると同時にダンパー全体の存在感が増したFフォークの存在も見逃せない。
誰にでも勧められるバイクではないが、過激さを求める向きには最高の選択肢だ。
SPEC/845cc 193kg 111万2,400円
CB1100の前後18インチから一転しての17インチ化……それによって本来のゆったり感が損なわれることにならないのか危惧したが、それは杞憂に終わった。
鷹揚さは失われておらず、そればかりかライディングポジション、エンジン特性や足まわりがRSのキャラクターンに最適化され、ひとつの新しい完成形となっている。軽薄さは微塵も感じられず、多くの前後17インチモデルとも一線を画す存在感を主張しているのだ。
コーナーでスロットルを開けリアにトラクションを伝えていくと、タイヤへの荷重の高まり感やトラクションの限界感は現在の17インチバイクのそれ。慣れ親しんでいるだけに自信も持たせてくれるし、攻める気にもなる。
SPEC/1,140cc 252kg 137万8,080円
思い出したのは、かつての2ストローク・クオーターのエキサイティングな走りだ。最高出力48psは必要にして十分で、最高速もオートポリスで190km/h近くまで達した。車格がニンジャ250と同じで扱い切れてエキサイティング……多くの人が待ち望んでいたスポーツバイクのバランス形、理想形が具現化されている印象なのだ。
エンジンは3000 ~ 4,000回転の常用域でしっかりトルクが湧き出てくるので、一般使用も自然にこなすことができる。そのまま8,000回転のトルクピークへとつながりながら12,000回転の上限まで回るのだが、そこで250のように高回転をキープすることに集中する必要はない。セオリー通りの走りができる特性が堪能できる。
SPEC/398cc 167kg 69万9,840円
「大型車とカスタム市場を盛り上げてくれてありがとう、そしてごくろうさま」。ファイナルエディションに前にし、過去の試乗を振り返るように各部の挙動と反応を確認するために試乗したつもりだったのだが……やっぱりバイクは乗ってみないと分からない。
数時間が経過する頃には、このフィーリングは今後も残していくべきでははいか? と感じていた。さすがに現状のエンジンでユーロ4以降の排出ガス規制をクリアするのは難しいだろうけれど、スチール製ダブルクレードルフレーム+古きよき時代に基本設計が行われた並列4気筒ならではの感触が、生産終了と同時にこの世から消え去ってしまうのは、なんだか非常にもったいない気が強くする。
SPEC/1,164cc 246kg 117万2,880円
近年の大排気量ネイキッドほどシャープな特性でなければ、80年代以前のビッグバイクのような重ったるさも感じないXJRは、周囲の環境変化に柔軟に対応することができ、だからこそ乗り手はどんな場面でもストレスを感じない。
しなやかなスチール製ダブルクレードルフレームの反応の伝わり方と、乗り手を急かさない朴訥な並列4気筒のフィーリングは、やっぱり近年の大排気量ネイキッドとは別物で、この特性に日本車の“お家芸”が見える。
もっともそのお家芸という言葉にはひと昔前かふた昔前のという注釈が付くのだけれど、世界中でネオクラシックモデルに対する注目が集まっている昨今の二輪事情を考えれば、XJRのキャラはアリだ。
SPEC/1,250cc 245kg 111万2,400円
愛車を売却して乗換しませんか?
2つの売却方法から選択可能!