ホンダ CRF250M
ホンダ CRF250M

ホンダ CRF250M – 2013年時点で最も新しいスーパーモタード車

掲載日:2013年08月23日 試乗インプレ・レビュー    

取材・写真・文/ダートライド編集部

ホンダ CRF250Mの試乗インプレッション

ホンダ CRF250Mの画像

ストリートからサーキットまで
楽しさを約束してくれる傑作車!

CRF250Mは、街中ではフットワーク良くキビキビとした走り、という感じだ。アクセルレスポンスも特別気になる点はなく、またエンジンはそれほど高回転を要求されるわけでもないので過度に回さなくとも気持ち良く走ってくれる。もちろん、新開発の水冷・DOHCエンジンは、アクセルを開ければそれに素直に反応してくれ、車体の軽さも相俟って(145kg)追い越し車線などでポッーンと前に出る事が可能だ。ここまでは、普通に移動の足として乗る分には何の不満も抱かない、乗りやすい「イイバイク」であった。

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次に、近所のワインディングまで足を伸ばして、公道で許される範囲で攻めてみた。そこで気付いたのが、まずフロントブレーキ。好みの問題はあるのだろうが、個人的には「利きにくい」という印象を持ち、コントロール性にも難があると思った。タッチがとても硬く、レバーストロークも短く、「ぎゅぅ」と握り込んでコントロールしながら制動させる、という感じではないのだ。他にも気になった点があったので諸々をメーカーに問い合わせたところ、得心する回答を得られた。「街乗りを考えると急制動による過剰なフロントサスの沈み込み(ピッチング)は時に乗りにくさを覚えます。そこで、必要にして十分な制動を発揮し、ピッチングを抑えるセッティングにしています」、という事だ。確かにストロークが長いサスペンションで「ぐわぁ」とブレーキが利くとノーズダイブする。これは市街地では非常に乗りにくいし、また危なく感じる時もある。CRF250Mのブレーキはライダーが感じる以上に、不思議と制動はしっかり出来ていて赤信号ですっと止まってくれる。過度のピッチングを防ぎながら上手くブレーキも効いている、少々慣れが必要だがモタード車としては見事なブレーキシステムだ。

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他にサスペンションのストロークを生かして、わざと側道にある段差や工事中の路面を攻めてみた。ここで印象的だったのが、サスペンションの高い能力。特に進入に重要なフロントは、遅い入力には早く反応し、速い入力にはソリッドに反応する印象でとても乗りやすい。これについてのメーカーの回答は、「はい。CRF250L同様、街乗り時の使い勝手も考え、乗り心地とピッチング抑制を両立したセッティングとしています」との事だ。この足のお陰で、路面の変化にすくわれる事なく積極的にストリートを攻める事が出来た。資料には書いてないが、LとMではディメンションの違いもあるようだ。

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そして足回りで語らないわけにいかないのが、タイヤだ。フレームの剛性としなり、前後サスペンションの秀逸さに加え、標準のタイヤがとても良い出来(IRC RX-01F/R)。不安なくそれでいて無駄のないグリップ力と、制動時のアスファルトへの食い付きは、とても驚くものだった。凄く良く出来たタイヤだと感じたので、この点も質問をしてみた。「足回りはIRCのタイヤ込みでセッティングをされましたか?  非常にバランス良い印象を受けました」。これについてのメーカーの回答は次の通り。「純正仕様はIRC社製を採用させていただきました。タイヤ剛性をCRF250M専用設定とし、車体剛性とのバランスを図りました」。ナルホド。その通り、もの凄いマッチングの良さで、この専用品と同等のものがアフターで入手出来るのかは分からないが、摩耗した時はぜひ同じ物をチョイスしたい。

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ここまで見ると、CRF250Mはとても良く出来たストリートバイクであるしモタード車であると言える。これほどまとまり良く不満もない車両だと、つい気持ちは「では、サーキットに」と行ってしまいそうになる。しかし、CRF250Mはあくまでも公道車だ。主に耐久性の面で不安があるサーキット走行やレース使用はどうなのだろうか? 今回、実際にテスト走行のような機会は作れなかったが、代わりにメーカーからその点について回答を得られた。それによると、「タイヤサイズ変更がポピュラーなカスタムと想像しますが、そのレベルではフレームに悪影響はないと考えています。しかし想定を超えるような大ジャンプなどではその限りではありません」と、まっとうなものであった。タイヤ交換によるグリップ力・制動力の増加によるストレスにフレームが音を上げる事はないが、サスペンション強化や大きな着地ショックなどでは安全とは言い切れない、というものだ。ただ、これはCRF250Lも同じ事だし、こちらは冒頭で書いたように非常にハードなレースをクリアしている実績があるので、ホビーレーサーであればMも充分に応えてくれるだろう。ブレーキの強化についても「耐久性の問題はない」と考えられ、それよりも「ボルトの緩みやホースの通しなどには十分配慮して欲しい」との事だ。普段は街乗り走行に、週末だけサーキットデビュー、のようなスタイルを目論んでいるユーザーは安心してCRF250Mを選んでもらいたい。二輪を愛するホンダの精神が詰め込まれたこのストリート兼スーパーモタード車は、豊かなモーターサイクルライフを提供してくれるだろう。

最後に、開発者が本機に寄せてくれた言葉を記して結びたいと思う。「Mにするにあたりどのようなテストをしたかについて、具体的なテスト項目を公表する事は出来ませんが、次のような観点で開発を進めました。車両の特性・性能としては、オフ車が持つ軽快性とオンロードタイヤの安心感により、街中での軽快かつ安心して扱え、様々な環境で楽しく乗っていだたける車になるように作り込みを行いました。また、ストリートを意識して、様々な服装で乗られるであろう乗り手が主役になるようなカラーリング、街中での扱い易さと、乗り手がサマになるような車体姿勢を採択しました」。

ホンダ CRF250Mの詳細写真は次ページにて

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