【Page3】 高剛性フレームとレスポンスの良さがクイックな走りを生む!(2)

掲載日:2010年01月27日 特集記事テイスティング YAMAHA WR250R    

2009年7月1日発行 月刊ガルル No.281より記事提供
テストライド/小林直樹  写真/長谷川徹  まとめ/小川浩康

もちろん林道も当然のごとく楽しい。ブレーキのタッチがよくて利きもいいから、止まれずに曲がれなくて怖い、というのがない。仮にパニックブレーキをかけることになってもフレームがこらえてくれるので、アクセルを全閉にしてしまっても車体の暴れが少なくて済んでくれる。それに接地感がいいから、オフロード走行経験が少ない初心者でも怖さを感じにくく、3速ホールドでも走れるから、荷物を積んでツーリングする人にも扱いやすい。アクセルを開けて走れる上級者には本物の作りが応えてくれて、思い通りのライン取りで攻めの走りも楽しめる。

 

エンジンのレスポンスがよく、サスの戻りもいいので、獣道アタックでも想像以上の扱いやすさを発揮してくれる。足着き性を克服してしまえば

もともとパワーバンドは広いけれど、クラッチを使ってやれば、エンジンの美味しい回転域をより幅広く使えるようにもなる。それができれば、最低地上高が高く走行ラインの自由度も高いから、獣道アタックもイメージより簡単にいける。サスのストローク感の少なさが姿勢変化の少なさになって、それがフラットな乗り心地を味わわせてくれる。姿勢変化が大きいと体の振られも引き起こし、こうなるとアクセルを閉じてしまいがちだ。でも、姿勢がフラットならアクセルも開けていけるし、エンジンのレスポンスもいいから、アクセルを開けることで丸太や岩などに引っかからず走りきることができるようになる。これはサスが動いていないのではなくて、ストロークの初期で障害物を軽くいなしてくれているということなんだ。

 

と言っても、XR230やセローと比べると足着き性は悪い。だから獣道ではバランスを崩し切る前に、シート上でお尻をズラしたりして早めにバランス修正したり、早めに足を出したりして転倒を防いでいるんだ。ただ、シートが硬いから、それがお尻の痛さを引き起こしたりするけれど、転倒するよりはマシだからね。それと、そうしたバランス修正は、街中のすり抜けやワダチ通過時にも行っている。だから、街中ではちょっと怖さを感じる瞬間があるのも事実なんだ。その足着き性を克服できるかどうか、それでWRを楽しめるフィールドも変わってくると言えるだろうね。

 

応えてくれて、思い通りのライン取りで攻めの走りも楽しめる。

それはアクションを一発で決めやすい反面、失敗した時の挙動も速くなってしまうという時に感じる。柔らかいフレームは、いけるかいけないかというところでのごまかしが利くんだけど、WRはフレーム剛性の高さが直進安定性も高くしているので、マシンの倒し込みやステップの踏み込み、ブレーキングと、ボディアクションを思い切り先行させてやらないと向きが変わっていかない。しかし、向きが変わってからの挙動はクイックだから、リヤがスライドしすぎたりした時のリカバリーが難しい。バイクの向きを変えるまでに思い切って体を使っているから、失敗した時にそこからまた体を戻していかないといけないんだけど、それはかなりスキルのあるライダーじゃないとできないだろう。だから、成功か失敗かの見極めを、早めにする必要があるんだ。

 

今回はすごく暑い日を走ったのだけど、気温や標高に左右されず、いつでも同じ条件で乗れたのも印象的だった。低速のアクションライディングではラジエターファンは回りっぱなしだったけれど、ノッキングは皆無だった。エンジンの感覚がまったく変わらないのは、インジェクションのおかげだね。キャブとは違う乗り物だって思ったよ。

 

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