掲載日:2019年07月07日 原付漫遊記 › 松本よしえのゆるカブdays
え・文・写真/松本よしえ
ここは信州の山間にあるキャンプ場。山道をスルスル~っと軽快に走ってきたのは赤いリヤカーをけん引するカブです。錆び具合がリアルな“やれ感”を醸していて昭和からそのまま飛び出てきたみたいです。ハンドルの形状から「カモメカブ」などと呼ばれますが、オーナーの瀧澤さんによれば1975年式(昭和50年)C90DXはスーパースポーツCS90の血をひくエンジンを搭載していて一味ちがうのだそうです。
さて、そのカモメカブがけん引している赤いリヤカーが珍しかった。瀧澤さんが前オーナーから譲り受けた際に聞いた話では、かつては郵便局で使われていたもので、駅に届いた郵便物を郵便局に運搬していたのだとか。白い塗料で書かれた「飯島郵便」は当時のままで無加工です。
ちなみに瀧澤さんは、その「飯島」で材木店を営む三代目。リヤカーを手に入れたのも地元のご縁に導かれた必然だったのでしょうか。材木屋さんだけにカブやリヤカーに荷物を積むのはお手の物で、今回はキャンプの後始末のため、焚き火の灰や鉄板などの細々とした荷物を載せました。その流れるようなロープワークに見惚れていたら整然とした美しい荷姿が完成。こんな素敵な使われ方をしたら、きっとリヤカーも喜んでいることでしょう。
じつは今回が大勢の前でのお披露目だったのですが、キャンプ場までの道すがらも知らない人から声を掛けられて恥ずかしかったそうです。なにしろ目立ちますからね。このままカフェカブに登場したら人気が出そうですよ!