【モンキー125試乗記事】現代の交通事情にもマッチ! バイクとしての魅力を増した新型モンキー

掲載日:2018年08月10日 試乗インプレ・レビュー    

取材・文・写真/田宮 徹

ホンダ モンキー125/[ABS] 試乗インプレッション

新たなファンを獲得できる
現代社会にマッチした走りがステキ!

「これはモンキーなのか?」とか「こんなのモンキーじゃない」など、新型モンキー125のプロトタイプが2017年秋の東京モーターショーで参考出品されたとき、ホンダのブースはちょっぴりざわついていた。前述のように原付一種時代のモンキーは半世紀もの歴史を持つため、ベテランライダーにとっては馴染みの存在であり続けてきた。加えて、その親しみやすい大きさとシンプルな構造から、カスタムベースとして実物大プラモデルのように楽しんでいる原付一種モンキーフリークも多い。つまり、「モンキーとはこういう乗り物」という想い入れを強く持っているユーザーは少なくない。

ホンダ モンキー125の試乗インプレッション

しかし筆者は、原付一種モンキーに特別な感情を抱いたことはこれまで一度もなく、だからこそ新型モンキー125の登場をうれしく思った。「ようやく、公道を普通に走れるモンキーに会えた」と。たしかに原付一種時代のモンキーは、その極めて小柄なボディが特徴的な愛くるしさの源となってきたが、超小径ホイールとスモールボディがもたらす頼りない操縦安定性や、クルマに囲まれて公道を走る際の小さすぎる車格は、イジることや飾ることより、しっかり操って乗ることをバイクの楽しさとする筆者にとっては、魅力となってこなかった。

ただし、モンキーが持つレトロで遊び心の感じられる雰囲気は嫌いではない。新型モンキー125は、原付一種時代のモンキーから名前と一緒に世界観を受け継ぎながら、グロムベースとなったことで走りの楽しさも期待できる。これは、筆者のようなタイプのライダーにとっては喜ばしいことだ。

ホンダ モンキー125の試乗インプレッション

そして実際、モンキー125は期待に十分応えてくれた。マニュアルクラッチ式4段リターン変速の124cc空冷単気筒エンジンは、トコトコ走るのに向くフラットな出力特性ながら、スロットルをワイドオープンしてシフトチェンジを積極的にすれば、そこそこスポーティな雰囲気も味わえるほどの加速力。少なくとも、市街地の道路でクルマの流れに置いていかれるようなことはなく、コミューターとして実用したり、一般道をのんびりツーリングしたりと、多彩な用途に駆り出せる。ちなみに、クラッチレバーの操作力が軽いのも好印象。女性やエントリーライダーでも、これなら操りやすいだろう。

ホンダ モンキー125の試乗インプレッション

原付一種時代と比べれば、だいぶ車格は大きくなったが、前後12インチホイールを履く車体はフルサイズモデルと比べればコンパクト。小さすぎる不安はないけど、どこでも機敏に操れる自由さがある。ハンドルバーはアップ&セットバックされ、上半身が直立したライディングポジション。おかげで、かなりリラックスして乗ることができる。前後サスペンションはよく動くセッティングで、シートもフカフカ。乗り心地はかなり良好だ。

ブロックパターン風の前後タイヤを履いているが、その気になればステップをガリガリ擦りながらのスポーティなコーナリングも可能。よく動きソフトな前後サスペンションだが、高速旋回時にムリな入力でもしない限り、ネガティブな印象は受けない。ハードブレーキング時でも奥でしっかり粘るイメージがあり、トコトコと乗るつもりが、気づくとついスポーティに楽しんでいた。

ホンダ モンキー125の試乗インプレッション

そのブレーキには、フロント側にアンチロック機構を搭載したABS仕様も用意されている。今回試乗したのはこのABS仕様。いろんなシチュエーションで、わざとフロントブレーキレバーを強く握り込んでABSを作動させてみたが、原付二種クラスだからといって制御がお粗末なんてことはまるでなく、しっかりロックを回避しながら制動してくれた。これは頼もしい!

ホンダ モンキー125の試乗インプレッション

原付一種時代のモンキーは、バイクとしてはちょっぴり特殊な存在で、モンキーそのものが持つ楽しさを知ることはできても、バイクという乗り物に対するエントリーモデルとしての機能はあまりなかったような気がする。しかし新型モンキー125には、マニュアルクラッチでバイクを操る楽しさと、初めて乗るバイクにちょうどよい車格、そしてこれまでのモンキーから譲り受けた愛くるしいルックスがあり、このモデルをきっかけにバイクという乗り物に興味を持ってくれる人も少なくないはずだ。

一方、既存のライダーにとっては、現在の交通環境にしっかり適応できる原付二種コミューターや、いつもとは違う遊びをするためのセカンドバイクにできるという魅力もある。車体だけでなく、乗る楽しさもスケールアップしたニューモンキーが、新たな時代を歩みはじめる。

モンキー125/[ABS]の詳細写真は次のページにて

こちらの記事もおすすめです

この記事に関連するキーワード

新着記事

タグで検索