カブ生活

ゆるカブ第百六回「カモメカブに真っ赤なリヤカー」

掲載日:2019年07月07日 原付漫遊記松本よしえのゆるカブdays    

え・文・写真/松本よしえ

6月某日、長野県のキャンプ場に赤いリヤカーをけん引するカブが現れました。オーナーの瀧澤輝雄さんは地元で材木店を営む三代目棟梁。カブの”やれ感”を大切にしながら少しずつ手を入れて乗っています。

キャンプ場の朝、昭和レトロなリヤカーをけん引する
カモメカブが登場しました。

ここは信州の山間にあるキャンプ場。山道をスルスル~っと軽快に走ってきたのは赤いリヤカーをけん引するカブです。錆び具合がリアルな“やれ感”を醸していて昭和からそのまま飛び出てきたみたいです。ハンドルの形状から「カモメカブ」などと呼ばれますが、オーナーの瀧澤さんによれば1975年式(昭和50年)C90DXはスーパースポーツCS90の血をひくエンジンを搭載していて一味ちがうのだそうです。

さて、そのカモメカブがけん引している赤いリヤカーが珍しかった。瀧澤さんが前オーナーから譲り受けた際に聞いた話では、かつては郵便局で使われていたもので、駅に届いた郵便物を郵便局に運搬していたのだとか。白い塗料で書かれた「飯島郵便」は当時のままで無加工です。

ちなみに瀧澤さんは、その「飯島」で材木店を営む三代目。リヤカーを手に入れたのも地元のご縁に導かれた必然だったのでしょうか。材木屋さんだけにカブやリヤカーに荷物を積むのはお手の物で、今回はキャンプの後始末のため、焚き火の灰や鉄板などの細々とした荷物を載せました。その流れるようなロープワークに見惚れていたら整然とした美しい荷姿が完成。こんな素敵な使われ方をしたら、きっとリヤカーも喜んでいることでしょう。

じつは今回が大勢の前でのお披露目だったのですが、キャンプ場までの道すがらも知らない人から声を掛けられて恥ずかしかったそうです。なにしろ目立ちますからね。このままカフェカブに登場したら人気が出そうですよ!

1975年(昭和50年)のC90DX。通称カモメカブとも。このカブが瀧澤さんの手元に渡ったときは年式がわからず、ホンダのお客様相談室に問い合わせたのだとか。

メーターはなんと100㎞までのフルスケール表示! ウィンカーを作動させると「ぷぃ~っぷぃ~っ」(瀧澤さんの声音)と懐かしい音色。

ウィンカーやレバー類もオリジナルのままです。レバーエンドの黒いラバーもしっかり残っているのが凄い。

居合わせたカブファンが続々と集まり、カブを囲んであれやこれやと鑑賞中。この日はHUB倶楽部のキャンプで、梅雨入りにも関わらずカブが9台集合。福井県からや兵庫県からの方もいました。(写真/野岸泰之)

「飯島郵便」とはっきり読めます。以前の持ち主は払い下げ品を庭先保管していたようでかなり錆びておりますが、昔のものは頑丈です。

タイヤ交換はボルトを緩めるだけでホイールが外れる構造です。

カブとの接続部分はヒッチボールとカプラーを手に入れ、あとは溶接や旋盤加工は自作です。

リヤカーは荷物を積むとカッコいい。材木屋さんだけにロープワークも早くて的確。この日はキャンプの後片付けに名乗りを上げていただきました。瀧澤さん、ありがとう!

カブにリヤカーを繋げるとゆうに長さ2mを越えます。前進するのはスムーズなのですがバック(後進)は難しい。オーナー自ら絶賛実践中。この設えでカフェカブに登場したら大注目まちがいないですね。

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