カワサキ GPZ400R(1985)

掲載日:2015年06月05日 絶版ミドルバイク    

文/柏 秀樹(柏 秀樹のライディングスクール『 KRS 』)

記事提供/ロードライダー編集部

※この記事はカスタムNo.1マガジン『ロードライダー』の人気企画『ミドルバイク流星群』を再編集したものです

KAWASAKI GPZ400R(1985)
世界中の注目の的となったGPZ900Rに続くカワサキ入魂のミドル、GPZ400R。
速さに快適性を加えた新境地の秀作だった。

400cc最強の完成度!

阪神タイガースが21年ぶりの日本一に輝いた1985年。映画では「ターミネーター」がヒット。バイク界ではセロー(225)やTLM200Rなど200ccクラスのオフロードモデルがジャストサイズとして人気を集める。一方のロードスポーツはTZR250やRG400Γといった2ストレプリカが、当時国内市場最大排気量だったナナハンクラスにもGSX-R750が登場し、レプリカの全盛期が来ようとしていた。

そんな1985年にカワサキが送り込んだのが、GPZ400R。瞬く間に400クラスのトップセールスを記録した。レプリカモデルでないにも関わらず、だ。国内限定販売された同時開発の兄弟機、GPZ600Rと同じサイズと形状。そのボリューム感が理由とも言われたが、実際は外観だけではない。「クラスを超えてスーパースポーツ市場の完全制覇を狙った」という高い目標。その通りの出来だったからだ。実際にそれまでの400とは明らかに走りの次元が異なっていた。速いとかクイックという断片的な印象ではなく、きわめて俊敏だが、400とは思えない骨太な乗り味があらゆる速度域で堪能できた。そう、クラスを超えた完成度を、誰にも分かりやすく実感させていたのだ。

エンジンは180度クランクによって1次振動を0にし2次振動はラバーマウントで低減。シリンダーライナー外壁を冷却水が通ることで冷却性を高めたウエットライナーを採用しピストンの間隔を最小として、エンジン幅の広がりを抑えた。薄型高性能ジェネレーターをクランクシャフト左端に直接装着してメカロス低減/バンク角確保をしつつ、前面投影面積の最小化を狙った。エンジンを小さくする技術には先行した1984年型GPZ900/750Rでのサイドカムチェーンがあったがこれに拘泥せずセンターカムチェーンを採用。後述する独自のフレームとの兼ね合いから、適したのはこちらだった。

最高出力は当時の自主規制通りの59psだが、ロッカーアーム軽量化やピストンリング薄肉化、カムチェーン幅を詰めてリンクプレート数を減らすことによってロスを低減。メカノイズも減らし、従前のカワサキ車では想像できないほど扱いやすさと静粛性に優れるエンジンとした。

外観上は同じく見えるが、600Rの鉄に対して400Rではフレームにアルミ材を使う。フロントローのスタイルを生み出すためにステアリングヘッドパイプを従来よりも50mm低く配置。外装はヘッドライトのフラッシュサーフェイス化等に加え、空気抵抗の少ないフルカバードとしてCdA値0.29以下という世界トップレベルの空気抵抗係数を得る。

ホイールは前後16インチ。小径にして前面投影面積を減らし、同時にシャープな操縦性と高いグリップ力も狙った。ブレーキにはカワサキが早くから使っていた燒結=シンタードパッドを装備。サスペンションはフロントにイコライズドセミエア式フォークをセット。強いブレーキほど安定した踏ん張り感を引き出すAVDS(オートマチック・バリアブル・ダンピングシステム)を内蔵する。リヤはボトムリンク式ユニトラックサスペンション。エアバルブからエア注入してスプリング特性を調整可能。減衰力はプッシュ&プルレバーによって4段階の調整が可能。

専用のカム/バルブスプリング/コンロッドに吸排気やクロスミッションなどのレース用キットパーツも用意され、59→65psが可能にと、プロダクションレースも意識していた。ただ、同年2月に筑波サーキットで行われた発表会での印象はこうだった。大柄な車体とは裏腹にがっちりとした安心感に支えられたシャープなハンドリング。ワインディングでも同様で、レプリカではないのに速く、存在感の高いボリューム感あるボディなのに軽快で、レプリカのように古びず、新しいバイクというイメージを持ち続けられる。こうした要素をまとめていたことが、レプリカ時代にあって独特だったGPZ400Rが人気を得た理由だった。

カタログは時代の証明。カタログで知る名車の系譜…

GPZ900Rと同じく世界的な評価を得たGPZ600R。この600R(鉄フレーム)と同時開発されたGPZ400R(アルミフレーム)は、カワサキ初のサイドパイプ式ダブルクレードルフレームを採用した。GPZ900Rの開発で得た空力のノウハウによって高速走行時の安定性と快適性も群を抜くものだった。このGPZ400Rは後継となるGPX400Rが発売された後も人気が高く、1989年(ZX400D4)まで生産・販売されたほどだ

1985年2月デビューのGPZ400Rに続き、カワサキは同年9月にGPZ400Rのコンポーネンツ=エンジン、前後16インチのホイール、ボトムリンク式リヤサス等によってネイキッドのFX400Rを発表。GPZ400Rのカウルを外しただけではなく、専用鉄製ペリメターフレームを設定しキャスター角/トレール量とも小さくして、よりクイックな動きをアピール。マフラーはカワサキ初の4into1集合タイプ。角型ヘッドライトはフレームマウント式とし、乾燥重量はGPZ400Rより6kg軽い170kgだった

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