MCフィニッシングサービス / Z1000Mk.II  カスタム写真
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カワサキ Z1000Mk.II

掲載日:2011年09月21日 プロが造るカスタム    

20年も前に、当時考えられる
チューニングをフル投入

今でこそバイクカスタムの世界にもフォークオフセットや車体姿勢、トレール量などのディメンションが重視されてきているが、カスタムブームが起こっていた'80年代末~'90年初等には、これらの用語も一般的ではなかった。もちろんメーカーが作る車両は多くのテストの末にこうした要素を決めているのだが、ユーザーレベルでそこまでを決めるためのハードルが高かった時代だったとも言える。

 

とは言え、元々が市販車であること、たとえば純正流用であっても、そうした数値が独自に設定されたパーツを組み合わせると、組み合わせた後に新たな数字は出てくる。要はそれを適正な数字として認められるだけのデータだったり、走行性能だったりを出せるかということになる。カワサキZ系のフロント19/リヤ18インチを前後18インチ、あるいは17インチ化する際に今も取り上げられるのは、基本的にはここだ。

 

当時は現FSW=富士スピードウェイもまだFISCOという通称だった。その頃から開催されていたMCFAJクラブマンレース、そのスーパーバイククラス参戦から得られたノウハウをすべて投入、20年前の当時として考えられる限りのチューニング技術と、最高のパーツをフィッティングしたのが、このZ1000Mk.II 。基本はストリート仕様となってはいるものの、保安部品を取り外せばサーキット走行も十分こなせるよう、セッティングがなされていた。

 

車両写真を見て、まず目がいくのはワンオフ製作されたインテークマニホールドが装着されたキャブレターまわりだろう。そう、このMk.II のエンジンは吸気効率を高めるために「インテークポートのストレート加工」が行われていたのだ。加えて当時アフターマーケットでようやく目にするようになったFCRキャブも通常のホリゾンタルではなく、ダウンドラフトタイプを装着。

 

ただフレームのバックボーンやタンクといったスペース上の物理的制限もあることから、当初からストレートポートを持つ水冷エンジンよりも取り付け角度が緩やかとなってしまうため、このような装着角度でも十分な油面レベルが確保できるようにフロート室の形状変更も同時に行っていた。パワー追求のために吸入効率を最重視しいち早くフラットバルブキャブを採り入れ、しかもストレートポート化までしてしまうあたり、いかにもレース的なコアな発想方法だ。しかもこのエンジン、点火もツインプラグ化されているのである。

 

一方、足まわりはモリワキKYBφ36mmフォーク+Z650用ステム(オフセットは60→50mm)、ビート製5本スポークフロント&ダイマグリヤホイールでの前後18インチといった内容。いかにも時代といった感じだが、武骨な仕上がり具合なども含め、当時の『ロードゴーイングレーサー』とは、まさにこんな車両のことを言っていたように思う。

 

こうした効率向上や、ステム変更=オフセット/トレール調整してディメンションを合わせ込む手法は、この頃始まったというわけではなく、これらの車両が現役だった'70~'80年代にも試みられ、実績を積んでいた。ただ一般向けには広がる土壌がなかった(カスタムブーム以後や今ほどまでにこの当時の車両がカスタム化して乗られるとも考えられていなかった)ため、一部レースユーザーやプロショップくらいにしかノウハウが残っていなかったのだ。これが今普通に使えて考えられる時代になったが、そこに至るにはこうした車両の存在があったのだ。

カワサキ Z1000Mk.IIの詳細写真は次のページにて

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